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メディア学部3年生が新海誠監督作品の背景画を研究し,独自の表現を実現

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メディア学部の3年生滝野君が制作した静止画が,芸術科学会誌に掲載されたので,その作品紹介を書いてもらいました.ぜひ,読んでください.
メディア学部3年の滝野翔です。
私はゲームデザイナーとシナリオライターに興味を持ち東京工科大学に入学しました。大学1年次には『インタラクティブ・ゲーム制作』やプロジェクト演習『DigitalCampus』に所属し、プログラミングやプロデュースについて学んでいました。
しかし、2年次になってから現役のアニメーターの方とお会いしたことがきっかけで絵に対する強い興味が湧き、そこから絵を描き始めました。その頃履修していたプロジェクト演習『Creative Application』でメディア学やメディアに関する作品、人物、技法からアート、デザインなどの芸術、学会やコンテストなど多くの分野にかけて調査する経験をしました。この頃に経験した調査方法ならびにまとめ方、学びに対する姿勢や工学的な思考に基づく考察は、絵の上達において大いに役立ち、今まで絵を描いたことがない私の経験値を補ってくれました。
 また、2年後期に行ったメディア専門演習の『CGアニメーション制作』からアニメーション制作の特に演出に興味を持ち3DCGだけではなく手描きのアニメーションなどを個人で制作し始めました。現在は、アニメーションの演出を勉強している傍ら、3DCGや作画のアニメーション制作を個人で行っています。

■芸術科学会誌 DiVA Displayに掲載された作品の紹介


 芸術科学会誌に掲載された静止画は、新海誠監督作品の背景画を独自に研究し、自ら築いた背景画の工程を用いて現代アニメーションの背景画に拮抗しうる作品を個人で制作するという目的の元で制作いたしました。
視聴者に対して印象に残るような画像にするために、自然主義に乗っ取った作品にしませんでした。
 

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                   放課後の下駄箱(静止画)
■本作品のクオリティに到達するにあたっての段階

 新海誠作品の背景画は光と反射光、そして陰影が重要でそれらを意識して初めに制作しました。以下にこの作品の制作内容を順番に紹介します.
 
(1)この作品は描き始めて間もないということもあり全体的なディティールは乏しいですが、草原の反射具合や電柱のテクスチャ、空のグラデーションと雲の色に気を使うことで全体的な空気感を統一させました。この頃色彩検定の勉強をしていたということもあり、特にドミナントカラー配色が強い時間帯(夕日)に時間設定することで、絵に不慣れな私でも扱う色数を少なく抑え、無駄な色乗せを防ぎました。
 

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                                               空気感を統一した画像
(2)上の作品から時間を経て制作した作品が以下の画像です。
空気感を統一するときに意識したように、この段階でもドミナントカラー配色による色数の抑制をしました。前回の試行から画力が上がっているということもあり、細部の描き込みが可能になりました。更に、光の反射について実際の反射とは異なる部分での反射や光の光沢を入れることでより目標としている絵に近づいたと思います。またこの試行では陰影に反射光の色味を含むと目標のクオリティに迫ることができました。

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                                               反射光の色味の付加
(3)芸術科学会誌に掲載された作品は,前回までの二つの作品で意識したことを踏襲しました。そして次の画像のようにカメラのレンズを意識してガウスぼかしを活用したピント調節をして遠近感を持たせました。
 

3_2

                                              ピント調節による遠近感
(4)前回意識したように陰影に反射光の色味を持たせます。
次の画像のように現実世界では黒く見えるような影も青紫の色味を加え、輪郭にそれより明るい色を塗ることで半影を表現しました。
3_1
 
                                                      半影の表現
 
(5)さらに、下の画像の様に実際にはあり得ないような光の筋を加えることで,リアルさを保ちつつ、ファンタジーのようにみえるアニメーションの背景画を描きます。

3_3

                                                  光の筋の付加
以上のような段階を踏みながら今回DiVAに掲載された作品の完成に至りました。
1. 放課後の下駄箱(静止画) 誌上展示会「DiVA Display」, 芸術科学会誌, 第41号,36ページ,(2016年冬号)
2. 芸術科学会誌 DiVA : http://art-science.org/journal/diva.html
投稿責任者:メディア学部 近藤邦雄

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