映画アングリーバードなどの制作にかかわったメディア学部OB若杉氏の講演(その2学生らの感想)
2017年1月30日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース
学部の講義「コンテンツディベロッピング論」の時間にソニーピクチャーズイメージワークスでアニメータとして働くメディア学部OBの若杉 遼 氏に講演をしていただきました.その内容は先のブログ記事に書きました.この講演を聞いた3年生たちはとても有益な先輩の話を熱心に聞いており,160名の履修者からは多くの質問がありました.
■映画アングリーバードなどの制作にかかわったメディア学部OB若杉氏の講演(その1講演内容)2017.01.29
この記事では,学生らのコメントのごく一部を次の4つの項目に分けて紹介します.
■CG制作の分業,制作プロセスについて
■海外で働くために
■海外で働くために
■英語の学習と重要性
■就職にむけて
■CG制作の分業,制作プロセスについて
●海外と日本のCG業界の分業の違いについてわかってよかったです。日本ではジェネラリストとして、モデリングとアニメーション、ライティングなど複数の仕事が求められることが多いが、海外ではどれか一つに特化して、ほかの工程には「まったく触れないといったような傾向があることがわかりました。日本でもこの、海外のような分業制が採用されつつあると知って、自分も何かに特化したCGデザイナーになれれば良いなと思います。いまは、ジェネラリストを目指して、まんべんなく勉強しているので、ジェネラリストとして働けるように技術や知識を養いつつ、自分の武器になるようなこと一つをもっと伸ばしていきたいと思います。
●海外ではキャラクターの動きやライティングなどを分業で専門性を高めて作るが、日本は全ての分野で活躍できる人が求められる傾向にある。海外ではゲーム業界は面接時間がとても長く、アニメーション業界は面接時間が短い実力主義的な面が大きい。アニメーション制作ではモデルなどが完成形でくるわけでは無いので、しっかり考えて作る事が大切。一番大切な事はコミュニケーション能力でニュアンスの理解や、言い回しをしっかり理解する事が大切、仕事の7割がコミュニケーションとも言える。アニメーターはスケッチやリファレンスの動画で体系的に自分の仕事を理解する事が大切である。リファレンスを大事にする必要があるので、アドバイスを貰うためにもどんどん監督などに見せていくことが大切と思う.
●日本との制作の違いがたくさんあり、声優が先に声を録って、それに合わせてアニメーションを製作するというのには驚きました。また、映像の制作で1日8時間の作業を一週間続けても3秒のシーンしかできないというのは、とても大変な作業でアニメーションのクオリティを保つためにはこのペースでやる必要があるのだなと驚きしました。また、制作する際にリアティを出すために、自分の動きを録画してそれに合わせてアニメーションを制作するという方法もあるのだなと思いました。日本でなにか作品を提出する際にだいたい完成版まで作り込んで、だめだったらリテイクをもらい最愛の場合は最初からやりなおすという効率の悪い作業と違い海外では、まだ途中でも上司に確認を取って少しずつ直して完成形に近づけていくという方法がとても効率が良いなと思ったので、是非こちらでも取り入れてほしいなと思いました。自分でも実践してみようと思いました。
●海外の制作工程と日本との違いを実体験をもとにおっしゃっていたので、非常に違いが理解できた。ゼネラリストを求められる日本の環境とは違い、スペシャリストを求められる。一人ではできないことが全員が関わることで初めてキャラクーが作られ、アニメーションが映える。技術はもちろんのこと、コミュニケーション力が非常に重要になってくる。言葉によるコミュニケーションにも限界があるので、スケッチなどを使ってイメージを共有していく。海外ではリテイクという意味合いは薄い、どちらかというとラフを見せて早めにディレクター等と共有する。
●3DCGアニメーションは2Dのものに比べて手描きのセル画を用意する必要がない分仕事量は減るのかと思っていましたが、高いクオリティを維持するためにはやはり多く細かい作業が必要だと知りました。「アングリーバード」の例では毛の動きや嘴の質感にも注意していると聞き、普段何気なく視聴しているアニメーションには多くのアニメーターの拘りが詰まっているということ聞き、そういった点に注目して映画などを視聴しても面白いと思いました。海外で働く際にも必要とされる能力には日本でも必要なものが多く、技術が高かったり人柄の良さというものはどこで働くにしろ役に立つものなのだと改めて思いました.がむしゃらに頑張って見えてくる景色があるというのは非常に心に残る言葉でした。常に胸に置いておきたいと思います。
■海外で働くために
●若杉さんの講義を聴いて、海外で働くことは自分が思っている以上に難しくなく、そして可能性があると感じました。英語力よりもコミュニケーション力の方が重要で、監督が指示したこと、表現したいこと、ニュアンスなどを理解することが重要ということが、とても参考になりました。また、英語が喋られないことが時には武器になるとは思いも寄らないことでした。そして海外で働くと、日本のコンテンツに対して客観的になれるのは、コンテンツ制作において有利だし、いろんな考え方ができるなと思いました。海外で働くことは眼中になかったのですが、講義を聴いて海外で働くことに興味を持ちました。
●SONYRICTURESimageworksで働いている若杉さんの話を聞いて海外への興味がわきました。仕事の内容についても良く分かっていなかったので、アニメーターの仕事がどういうものなのかを良く知れて良かったです。海外と日本では重要視されるものが違っていて、実力主義である海外で仕事をしていることが大変だということがこの講演を聞きよくわかりました。
●今回の講演を聞いて感じたことは、海外進出のメリットの多さです。日本語しか出来ないというだけで海外進出を諦めることは早計であり、より自分のスキルアップのためにも行けるならば行くべきだと感じました。また、そういった活動を支援するシステムや企業も必要なのではないかと思いました。自分の視野を広げる為にも物事を見る際に一歩引いて
考える癖をつけようと思います。そうでなければ、海外進出のデメリットばかりを考えてしまい自分が成長出来ないと感じたからです。今回の講演は自分の知らない世界や分野のお話で、大変勉強になりました。
●海外で働くというのは環境や境遇など日本で何かをするのとは勝手が違って大変だと感じた。海外は空気を読む文化がないから人から言われたことを素直に受け取れるのは深読みしなくていいし評価がわかりやすいと思った。
●世界的なコネクションを作る事で広い視野を持つことや多くのオプションを持つことが出来る。海外では技術が高い、人柄が良い、締め切りを守るの3つの内の2つを守れたら生き残れるとよく言われている。その際の日本人としての丁寧さは役に立つことが多い。好きな事を仕事にするのは大切なので、その為に自分なりの楽しみ方などを見つけていく事が大切である。
●私自身もいずれ国外に出て仕事をしたいと思ってはいるが、言語的に自信がない事や傾向として自己主張をしっかりとしていかないと円滑に仕事ができないのではという先入観から非常にハードルが高いように感じていた。なので海外の院に進むという決断も強い決意がないとできないと思った。私が一年の頃、当時四年の先輩が同じくバンクーバーの大学にVFXを学ぶため進学するという話を聞いて、とんでもない勇気だと思ったことがあり、その先輩や若杉さんの行動力を見習いたいと思った。
●私は日本が好きなので、海外で働くことに対して全く興味はなかったのですが、若杉さんの話を聞いて海外のCG会社で働くことに興味を持ちました。海外では分業制なので、ひとつの分野に対して追求できるのは面白そうだと感じました。私は専門性を追求するのではなく、いろいろな作業に手を出して中途半端になっているところがあるので、海外で働かないにしても得意なものを持っていた方が良いと思いました。若杉さんは本当に楽しく仕事をしているということが良く分かるお話で、自分も楽しく好きな仕事ができるように学生のうちにできることはいろいろと頑張りたいと思いました。
●CGアニメーションのただ動きばいいわけじゃなくてモデルが崩れたり途中の動きがおかしくないように綿密なチェックが行われてさすがだと思った。くちばしの表現が難しいと聞いて、本来固くて動かないところを作品では実際のものに近くありながら唇のように表現するというのが思っていた以上に難易度が高い作業だとわかった。
■英語の学習と重要性
●私は今まで英語をしっかりと勉強して、何不自由なく話せるようにならないと海外で活動をすることはできなと思っていたが、今日の講演で英語に対する抵抗をなくすことによってコミュ二ケーションの取り方が違ってくるということを聞いて、少し気が楽になった。将来自分が海外に行くかどうかに限らず、抵抗感を失くして少し英語を勉強してみてようと思った。
●若杉さんのお話は本当に知らなかったようなことも多くあり、非常に今後の参考になり、ためになりました。このコンテンツディベロッピング論の締めくくりによい講義だったと思いました。また、海外で働くにせよそうでないにせよ英語は覚えた方がいいのかなと思いました。
●世界に進出知る必要は必ずしもないが、英語が出来るとできないでは得られる情報や知識に大きく違いが出てしまうので、ある程度は出来たほうが良い。
●一番障害になるのはやはり言語能力の有無なのかと思っていて、英語がしっかり聞き取れなければ話せなければと思ってしまっていたが、自分が思っているほど高い壁ではなく、もう少し気楽に考えても良いんだなと感じた。
●業界での裏話や説明会じゃあまり言わないようなことなど普通の説明会やセミナーでは聞けないような話ばかりで大変ためになった。特に自分は英語も話せないし海外も怖いし海外で働くことにまったく興味がなかったのだが、実は英語ぺらぺらみたいな英語力は(あれば有力だけど)絶対必要ではなく、コミュニケーション力さえあればOKというのを聞いて少し海外で働くということに興味が出た。
■就職にむけて
●若杉さんのお話は我々クリエイターを目指す学生にとって希望でもあり、こううかうかしていられないなという気持ちにもさせるものがある。単身で海外へ飛び出す勇気も凄いが、夢をつかみ今や人気ゲームの映画化のリードアニメーターにまで登りつめる力は、大学のうちにある程度の実力を持っていないとできないことだと思うので、今のままではいけないと鼓舞された。このお話を今年1年は心のどこかに置いておき、就活や研究に励みたいと考える。
●海外に行けないから日本にるのではなく、海外も選択肢に残しつつあえて日本で働くのは有意義である。国際企業には海外で働いていたりする経験のある人はいるが、英語がペラペラな人はあまりいない。新しい技術等はたいていが英語でかかれて、英語圏に集まるので、すぐにキャッチアップできる。
●今回講演を聞いて海外で働く大変さややりがいを知ることができる良い機会をいただくことができてとても有意義な時間を過ごすことができました。これからの就活に役立てたいと思いました。
若杉氏略歴: 2010年に東京工科大学を卒業後、サンフランシスコの美術大学院に進学。その後、PixarAnimationStudiosにてアニメーターとしてキャリアを始める。2015年よりアメリカサンフランシスコからバンクーバーに移り、現在はSony Pictures Imageworksに所属。
若杉氏のTwitterアカウント:@Ryowaks
これまでに関わった作品は、「映画アングリーバード」、「コウノトリ大作戦!」「Smurfs: The Lost Village(2017)」など。
昨年の講演記事:
海外で活躍するメディア学部OBの若杉遼さんの講演(メディア学部ブログ)2016.02.01
メディア学部 近藤邦雄
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