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オランダ大使館での「第1回シリアス&アプライドゲームサミット」開催報告

2017年2月27日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

 メディア学部メディアコンテンツコースの岸本 好弘です。

 2月24日(金)、オランダ王国大使館(東京・港区)で開催された「第1回シリアス&アプライドゲームサミット」(以下サミット)に学生らとともに参加しました。
 ゲームの力を教育や社会問題の解決に活用する取り組みは世界中で活発に行われており、一般には「シリアスゲーム」と呼ばれていますが、先進国であるオランダでは“実践的”また“実用的”という意味で「アプライドゲーム」と呼ばれています。この度、オランダの「アプライドゲーム」関係者と日本のシリアスゲーム関係者が一堂に会するサミットを開催するに当たり、私 岸本が主催者代表を務めました。

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サミットの会場となったのはオランダ大使館(港区)の「出島ラウンジ」です。定員75席に立ち見がでるほどの盛況ぶりで、日本、オランダのみならず、フィンランドやベネズエラからの来場者もありました。

第1部:オープニング(13:00~14:10)

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 まず、主催者代表として私から、「合言葉は『ゲームの力で世界を救おう!(Let's save the World by the power of Games!)』」と挨拶させていただきました。

 

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 つづいてオランダ王国大使館公使マーク・ヘリッツセン氏のスピーチです。「江戸時代の長崎・出島ではビリヤードやバトミントンを楽しんでいたという記録が残っています。そんな遊びの精神が今日のサミットに繋がっているのだと思います。これからもオランダと日本が協力してシリアス&アプライドゲームを盛んにしていきたいですね。」
 

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 来日されたオランダ王国ユトレヒト州副知事ピム・ファンデンベルグ氏のスピーチです。「ユトレヒト州は小さな州ですが、アプライドゲームを含むクリエイティブ産業がとても盛んです。日本からも沢山の企業が進出しています。」

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 基調講演は、東京大学 藤本徹先生です。藤本先生は日本の「シリアスゲーム」研究の第一人者で、「日本でもシリアスゲームの認知度が向上して、オランダのように一つの産業分野となれば、ゲーム開発技術者の可能性が更に高まるであろう」とのことでした。

 

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 特別講演は、オランダ大使館のライテ・ドウマ氏です。オランダのゲーム産業の現状や、日本最大のゲームショウ・東京ゲームショウでのオランダブース出展の様子を紹介しました。彼はとても背が高く、本サミットの実行委員でもあります。

第2部:講演 (14:10~15:20)
 日本とオランダにおける教育・訓練シリアスゲーム、医療・福祉シリアスゲームの紹介、日本オランダ共同プロジェクトの講演が行われました。

 

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 敬愛大学・阿部学先生から、大学における学習ゲーム開発の事例が紹介されました。将来教員を目指す学生らが大学の授業の一環として学習ゲームの開発に取り組んでおり、小学校での教育実習で使用して効果測定も行っているとのことです。

 

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 九州大学・松隈浩之先生からは、九州大学医学部のリハビリセンターと共同で開発しているリハビリ用のゲームが紹介されました。全国の病院等で使われているほか、既に商用化されたリハビリゲームもあります。


 

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 大阪電通大学・ナガタタケシ先生からは、オランダのユトレヒト芸術大学(以下HKU)が紹介されました。日本で働くHKU卒業生の話のほか、今年の4月から1年間HKUへ研究員として行かれるとのことで、アプライドゲームとインタラクティブアートを融合させた作品について期待が語られました。

 

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 本サミットの運営委員の一人である日本大学・古市昌一先生からは、昨年12月の「第5回シリアスゲームジャム~みんなのバリアフリー」の成果報告がありました。オランダ王国大使館に協賛していただき、オランダからの留学生2名もゲーム制作に参加しました。


 

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 オランダからは、Monkeybizniz代表で、HKUの教員でもあるディム・バンデルハウト氏の医療ゲームの紹介がありました。オランダでは、病院の中にゲームメーカーのスタッフが駐在するオフィスがあり、医師と協力してゲームの企画を練っているのだそうです。例えば、子どもたちのための「注射の怖さを緩和するゲーム」などが開発されているそうです。

コーヒーブレイク(15:20~15:45)

第3部:インタラクティブセッション(体験展示)(15:45~18:00)
 講演で紹介されたゲームをはじめ、シリアスゲーム・アプライドゲームを実際にプレイしたり、ワークショップに参加してもらうコーナーです。

   
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 本学からは、「第5回シリアスゲームジャム~みんなのバリアフリー~」で最優秀グランプリを受賞した視線追跡ゲーム『ゴーゴンの館』と、「Benesseグローバルマスコンテスト2014」最優秀賞の小学生算数ゲーム『てくてくロボット』を展示しました。

 日本大学の小学校教科教育支援用・学習ゲーム、千葉大学の小学校教科教育支援用・学習ゲーム、島根大学・伊藤先生の視線入力訓練ソフト「EyeMoT」、九州大学・松隈先生の高齢者の転倒防止に有効なバランス感覚が養われるというシリアスゲーム「ロコモでバラミンゴ」が展示されたほか、NTTコミュニケーションズ株式会社による『セキュリティリテラシー向上のための社会人向けシリアスゲームトライアル』ワークショップが行われました。

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第4部:交流会 (18:00~19:30)
 ニシンやチーズ、ワッフルなどのオランダ料理を楽しみながら、サミット参加者、講演者、スタッフにオランダ大使館員も参加して、これからのシリアスゲームを話題に交流しました。

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サミットに関わった日本、オランダのシリアスゲーム関係者たち

 

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ライテさんと、私・古市先生の身長の違い

 

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終了後、オランダ大使館から見えた東京タワー

 メディア学部ではこれからも他大学やオランダ大使館と協力しながら「シリアスゲームジャム」「シリアス&アプライドゲームサミット」の開催に携わり、日本のシリアスゲームの研究・発展に力を入れていきます。

■公式サイト
第1回シリアス&アプライドゲームサミット The 1st Serious and Applied Game Summit
http://www.mediadesignlabs.org/SUMMIT/

■執筆記事一覧
http://kishimotolab.org/mediabloglink.html
■教員紹介 岸本好弘
http://www.teu.ac.jp/info/lab/teacher/?id=1566

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