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お金を持つと金銭感覚がマヒする? ― ウェーバー‐フェヒナーの法則

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私たちの金銭感覚には少し変なところがないでしょうか?例えば、食料品の特売で10円安い品があればそちらに走って買いに行くのに、何千円もするような服を買うときは、10円安くてもそんなにありがたくない…、というか、あっさり大枚をはたいて購入してしまいます。

 

当たり前ですが、買い物をするときの「安くなった」「高くなった」の金銭感覚は、その対象となる買い物の元値段に左右されます。

 
 

新たな刺激が加わった時に、元の刺激の強さに応じてその「感じる量」が変化する法則を〝ウェーバーの法則〟と言います。これは人の生理学的な現象で、例えば光の刺激であれば、〝暗い場所ではほんの少しの光でも感じる事ができるけれど、明るい場所では少しの明るさの変化は無視される〟という現象として現れます。

 

私たちの知覚現象には常にこのウェーバー‐フェヒナー則がついてまわります。



ドイツの生理学者ウェーバーが発見したのは刺激の強度と感覚の増分の関係で、〝基礎刺激量の強度〟をRとし、これに対応する〝識別閾値〟をΔRとすると、Rの値に関わらず

 ΔR/R=一定

となるという法則です。砕いていうと、100の刺激がもともとあったとき、刺激が110になって初めて〝増加した〟と気付くのであれば、200の刺激がある場所では刺激が210に増加しても気付かず(さっきと同じ増加量なのに)、気付かせるためには刺激を220にする必要がある、ということです。

 

ちょっとややこしそうですが、要は高い買い物をするときには、安い買い物の時と比べると、値段の感覚がにぶる、ということですね。

 

さて、買い物の話に戻ってみましょう、下記のグラフは100円の買い物をするときと1000円の買い物をするとき、どこまでの値段までなら許せますか?という質問を大学生の皆さんにした結果です(467人の大学1年生)。



100円の買い物の時には10円を大切に思うのに、1000円の買い物だと100円単位でモノを考える様子が表れています。


私たちが感じる「ものの大きさの感覚」には常にこの「元の値段」のような〝背景〟の強度がついてまわります。なので、より大きな刺激を与えようとする場合はその直前の感覚をなるべく〝小さく〟することで効果が大きく現れます。

 

最近公開されていた「ドント・ブリーズ('16)」というホラー映画では、「音を立ててはいけない」という条件を登場人物に課すことで、静かな環境を作って観客の感覚を鋭くさせる演出を沢山使っていました。つまり、びっくりさせるシーンの直前はシーンとした静寂場面が多いのはこの効果の応用ともいえるわけです。

 
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ちなみに、買い物の話に戻すと、学生に「1万円の買い物のときは、どこまで余分にお金を出せる?」という問いも同時に行ったのですが、こちらの場合は〝一万円も出すのだから、それ以上びた一文も出せません〟と、急に財布のひもが固くなる現象が見られました。なかなか全部理論通りにはいかないものです。



(以上 文責「視聴覚情報処理の基礎」担当 永田)


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