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バラエティ番組に「素人出演者」はなぜ多いのか

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 学生に「好きな番組は?」と質問すると、一番多い回答は「バラエティ番組」。毎年同じ質問をしても変わらないので、若い世代に定着していると思っていい。
 そこで「最近のバラエティ番組」で気になるのは、お笑いのプロが登場するのはもちろんなのだが、それ以上に「素人」の発言が番組の「面白さ」を特徴付けていることなのだ。バラエティ番組と限らず、一般的に番組を成り立たせる要素として「素人」に頼るというのは、オーソドックスな番組制作作法としては邪道のようにも思えるのだが、それがむしろ主流となっているのには訳がある。それを少し、紹介してみよう。

 そもそも「お笑いのプロだったら、いつでも必ず面白いこと言ってくれる」というのがプロに対する期待というものである。それに対して、「素人は偶然面白いこと言うかもしれないが、いつ言うのかわからない」というのが常識的な判断である。
 ならば、素人の面白さを引き出すためには、例えば延々と長時間インタビューしてみる、あるいはできるだけ多くの人に会うことにより「偶然面白い」という確率を上げることができるのではないか、というのも自然な発想である。ところが、TVのロケ方式がその簡単なことを阻んでいたのである。

 TV
放送が始まって(1953)から70年代に至るまで、ロケ方式は16mmフィルムを使ったフィルムカメラ時代が続いた。しかも、音声を同時に収録することは難しく、かつフィルム1巻(100フィート)で撮影時間は3分弱。1974年に登場した画期的な音声同時録音カメラ「キャノンスクーピック」でも、1巻(200フィート)6分弱。これでは「いつ面白いこと言うかわからない素人主体の番組制作」など夢のまた夢であった。
 ところが、70年代に入るとビデオロケ機器が急激に発展する。詳しいことは別の機会に譲るとして、放送規格のテープ幅2インチポータブルVTRではおよそ1巻20分、それが1インチポータブルVTRでは60分にまで拡大する。こうなるとインタビューというものは、際限なく聞きたいだけ聞けることになる。(あとで編集の手間が膨張するのだが)
 最もよく使われた「βカム」というVTR一体型カメラだと、20分のカセットテープが多く使われた。80年代では、例えば同僚のディレクターが「NHK特集」の取材で「カセット100本まわしちゃったよ」などといっていたことを思い出す。そうなると、この方式をエンターテイメント分野にも利用しようというのは、自然な流れである。そして、先行的にこうした制作手法を開拓したのは地方の放送局なのであった。なぜなら予算は少ない、(お笑いなどの)プロ出演者がなかなか来てくれないといった不自由な制作環境を逆手にとって、制作者の意地を見せてやろうという意欲にあふれたディレクターが各地にいたからである(私もそのひとりだったつもり)。

 この時代の代表作のひとつが、福井テレビ制作の「俵太の達者でござる」(1993〜2004年)である。概要はWikiに紹介されているが、「探偵ナイトスクープ」で人気者となった越前屋俵太が越前若狭見回り奉行に扮して現代にタイムスリップし、福井県内のごく普通の住民の生活ぶりを訪ね歩く番組だ。1994年には、日本民間放送連盟賞グランプリを受賞している。
 私は、この番組の企画者谷雅徳氏(=越前屋俵太)からDVDを送ってもらって見たのだが、今見ても十分面白い。おじいちゃんおばあちゃんの福井弁はよく理解できないところもあるが、それでも面白い。そして飛躍すると、みなさんが大好きな「月曜から夜ふかし」(日テレ)の人気コーナー「個人的ニュースを聞いてみた件」も、この制作手法の延長線上なのだ。渋谷の街角で面白い人に出会うまでインタビューを続けているディレクターは、70年代に重量25Kgの2インチポータブル(?!)ビデオを田舎道で運んでいた私たちの真っ当な後継者と思える。がんばってね。(メモリ録画カメラは重さ数百gだろうけど)

 実は、この制作手法は誰でもできる。だから、YouTubeなどで「達者でござる」「月曜から夜ふかし」「家族に乾杯」(NHK)スタイルの動画が多数出て来ても良さそうなのだが、TVの「バラエティ番組」を超えるものは見かけない気がする。なぜなんだろう。いま私の研究室では「バラエティにおける素人効果とは何か」という問題に、卒業研究として取り組んでいる学生がいる。制作手法はわかるのだが、「素人が面白い」と思える本当の理由は何なのか。もう一歩先のこの疑問に、あなたならどう答えるだろうか。   (宇佐美 亘)

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