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中尾の初灯籠(1)

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私が6年前から行っている研究で、長野県の野沢温泉村における道祖神祭りというのがあり、それを紹介させていただきます。

道祖神祭りというのは、長野県の北信地方で、初子の祝い・厄年の祓い・良縁祈願などを目的として行われるお祭りです。みなさんも長野を旅行したことのある人は、道端に下の画像のように可愛らしい男女の石像を見たことがあると思います。道祖神は、村の境界となる道や辻に祀られて村の守り、旅の守りとされる神です。

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野沢温泉の道祖神祭りでは、道祖神像が木造で3組作られるとともに、社殿と呼ばれる高さ10M、広さ8M四方ある社が造られます。お祭りは115日に行われるのですが、道祖神像は7月に伐採されたくるみの木から、社殿は10月に伐採されたブナや赤松によって造られます。お祭り本番では、この社殿に火をつけようとする村人と厄年の攻防があり、最終的には社殿は燃やされます。

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そして、この燃え盛る社殿に奉納されるのが初灯籠というものです。初灯籠は長男が誕生した家が、子供の成長を祈って奉納します。灯籠の高さは約9M, 中心の柱は下の段がミズナラ、上の段が杉を使って造られ、最上部にオンベ(御幣)、その下に傘(傘には家紋をつけた赤色の垂れ幕を垂らされ、丸灯籠・白い扇・ようらく(布で作られたサルボボのようなもの)が吊るされます。その下に菱灯籠・竹ひごでつくった花灯篭・万灯籠が付けられます。一番下には、親戚や友人・近所の人たちから寄せられた書き初めをたくさん下げます(下図参照)。

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北信州野沢温泉 観光協会オフィシャルウェブサイト(http://www.nozawakanko.jp/spot/dousozin.php) より

今回はこの初灯籠の撮影をしてきました。私達の研究の目的は、祭りの支度を共に行うことで祭りの現役世代と後継者世代が祭りにまつわる様々な知識を学習するやり方を明らかにするというものです。

初灯籠つくりに参加するのは、奉納する家の祖父の同級生、父親の同級生、親戚、友人、近所の人々です。

今回の初灯籠が少し特殊なのは、それが中尾という地区に住む奉納主であるという点です。野沢温泉には13の外湯があるのですが、およそそのお風呂ごとに湯仲間というのがあり、湯仲間同士で一つの地区を構成しています。中尾もその一つなのですが、戦後になって初めて野沢に統合され、野沢からお湯を引いてもらって民宿業を始めた地区なのです。それまでは、中尾は農村の一つだったそうです。だから、少し野沢の他の地区とは距離があります。これまでは長男が生まれても灯籠を出すお家はなかったそうです。

ところが近年では灯籠を奉納するお家も減ってきており(作成にお金がかかる上、最後には燃やしてしまいますからね)、是非中尾からも出してほしいと強い要望があったそうです。そこで、中尾の名士である丸金屋さんに白羽の矢が立ったのです。

そんな事情もあり、今回は特にご近所連中が大喜びです。

つづく。

文責:榎本美香

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