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大学院生の学会発表(奨励賞受賞)

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皆さん、こんにちは。
メディア学部の寺澤です。

少し前のことになってしまいますが、11月17日、18日に秋葉原で日本e-Learning学会の学術講演会がありました。私の研究室の大学院修士課程1年の西村希槻 君が口頭発表を行いましたので、報告します。

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西村君の発表テーマは「ベイズ理論を用いたキー入力の間違い推定法の検討」というものです。大学生はレポートや論文の作成などでPCを使った大量の文字入力を行います。社会人でも仕事でそのような作業はたくさんあるでしょう。この時、通常はワードプロセッサ(ワープロソフト、マイクロソフト社のWordなど)を使用します。ワープロには辞書を用いた入力間違いの指摘や、表記のゆれ、助詞の好ましくない使用などを指摘する機能がありますが、書き上がった文章をあらためて読むと、日本語変換ミスのほかに誤字脱字が良く見つかります。

この中には、キー入力の時点での間違いが含まれています。西村君のアイディアは、ユーザーはそれぞれ「キー入力の癖」を持っていると想定し、それによって、特定のパターンの時に入力間違いを起こしやすいのではないかと考え、それをあらかじめ見つけ出しておけば、書き上がった文章に対して、どこで間違いを起こしている可能性が高いかを指摘できるのではないかということです。

そこで彼はまず、ユーザーにいつも作業をしている環境で10000字程度のキー入力を行ってもらい、その記録からそのユーザーのキー入力の癖を見つけ出すことにしました。具体的には、今回はどのキーの入力の後に誤入力が起きているかに注目しました。このために、どんな時にBackspaceなどの修正のためのキーを使っているかを手掛かりにしました。

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つぎに、そのデータからベイズの定理を用いて、どの文字を打った後にキー入力間違いが起こりやすいか確率を求めます。ベイズの定理は、結果を示す数値などの観測データから因果関係が成り立つ原因を推定するときに用いることができます。応用例として、スパムメール(迷惑メール)の分類にベイジアンフィルタとして用いられています。ベイズの定理は以下の式で表されます。P(B)はBという事象の生じる確率を示します。

P(B|A)=P(A|B)P(B)/P(A)

要するに条件付き確率です。ここで、P(B|A)を事後確率、P(B)を事前確率、P(A|B)は同時確率あるいは尤度、P(A)は規格化定数といいます。詳細は省略しますが、今回は、「誤入力が起きた」という結果(A)に対し、「その直前に入力した文字が特定の文字であった」ということを原因(B)とみなして、事後確率P(B|A)を計算しました。

求めた確率を基に、同じユーザーが10000字の時と同じキー入力環境で作成した別の長文文書を解析したところ、実際に誤入力を起こしていた個所を、高い割合で見つけられることがわかりました。この割合は被験者によっては80%に達しました。

今回の学術講演会では学生の発表が6件ありましたが、西村君はその中で、奨励賞を受賞しました。

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今後は、発表の際に質疑応答で指摘されたことや、発表後の、研究を進めジャーナルペーパー(論文誌の査読付き論文)を作成するための「論文化支援イベント」でもらったアドバイスを基に、3月投稿を目標にさらに研究を進めていく予定です。

(メディア学部 寺澤卓也)

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