大学の授業は1月5日(金)から再開です。
5日金曜4限、2年次生向けの「メディア特別講義Ⅰ」は、西田友是(にした ともゆき)先生(ドワンゴCGリサーチ所長)を迎えての「携帯でも学べるJavaScript/ゲームエンジンを利用したCG基本技術」の授業です。先生は本学大学院の客員教授も務められました(大学院講義の記事)。
西田先生は日本でのCG研究のパイオニアです。1970年代、まだコンピュータグラフィックスという言葉が定着していなかった頃から先端的な研究を行ってきました。点光源以外の照明シミュレーション技術を1982年に世界で初めて実現してみせたのが西田先生です[1]。今でいうソフトシャドウという技術です。
世界初の線光源のCG映像[1]
この画像を見て、Pixar社の初期の有名な短編CG「Luxo Jr.」と雰囲気がそっくり、と思った方は多いかもしれません。ですが、Luxo Jr.は1986年の作品で、西田先生らが作成した映像はその4年前です。
西田先生は、1985年にも世界で初めて間接照明をCGで実現しました[2]。
そのほかにも数多くの新技術をCGの国際学会SIGGRAPHで発表し、2005年には「クーンズ賞」という2年に一人しか選ばれない賞を、アジアの研究者として初めて受賞しました。つい先日2017年11月には、CG研究業績が認められ紫綬褒章を受章しました。
西田先生の素晴らしいところは、2013年に東大を定年退官したあともCG研究の第一線で活躍されているところです。さらに、研究だけでなく、CG技術の教育についても尽力され、プログラミング教材を制作しました。今回の特別講義の授業では、携帯端末にも対応した最新版の教材を通じてCG技術を紹介されます。
最先端の研究で長年貢献した研究者からCGの基本技術のエッセンスを学べる貴重な機会です。正月明け初日で翌日から3連休ですが、履修者の皆さん、この機会を逃さないでくださいね。
[1] T. Nishita et al., "Linear Light Source," ACM SIGGRAPH'82 Art Show, 1982.(映像作品)
[2] T. Nishita, E. Nakamae, "Continuous Tone Representation of Three-dimensional Objects Taking Account of Shadows and Interreflection," Proc. ACM SIGGRAPH'85, 1985.
メディア学部 柿本正憲