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卒研の成果を学会発表(その2)学生奨励賞受賞

2018年3月31日 (土) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の寺澤です。

(その1)に引き続き、情報処理学会第80回全国大会におけるネットワークメディア研究室の発表を紹介します。最終日の発表は藤島久麿 君で”家庭向けネットワーク機器のホワイトボックス化の提案”というタイトルです。

IoTという言葉をよく聞くようになりました。IoT(Internet of Things)は、今まではインターネットに接続していなかった様々なモノをインターネットに接続してデータ収集や処理を行ったり、その結果を用いてモノ同士を連携させようという考え方です。これは広い概念で、文脈によって「IoT」が指している具体的な内容が違っていることも多いのですが、この研究では、家庭内で利用されている、インターネットに接続されている機器、例えば、無線LANルーターやネットワークカメラ(監視カメラ)、セットトップボックスなどの機器類を対象に考えています。最近、これらの機器の欠陥(セキュリティホール)を悪用した様々な事件が発生しており、それらは「IoT機器のセキュリティの問題」として認識されています。

通常、これらの機器はハードウェアとそれに内蔵されているソフトウェアで構成されており、セキュリティの問題に対しては、メーカーがソフトウェアの修正版を用意して対応しています。しかし、その新しいソフトウェアは自動的に機器にインストールされるわけではありません。ユーザーが手作業でインストールする必要がある場合がほとんどです。したがって、見過ごされたまま、対処されない機器が大量に存在し、それらは無防備なままです。どうやったらこのアップデートを効果的に行き渡らせることができるかについて、様々な取り組みや研究が行われています。

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これに対して、藤島君の考えたアプローチは全く異なります。家庭でのインターネットへの常時接続が一般化していることを踏まえ、これらの機器は、起動する際にソフトウェアをメーカーのサイトなどから自動的にダウンロードしてきて動くようにするということを考えました。従来のようにハードウェアにソフトウェアが内蔵されないので、ソフトウェアのアップデートはメーカーが行い、それを専用サイトに置いておくだけで済みます。細かい部分では、いろいろ検討することはあるのですが、今回の研究では、そのようなことがこれらの機器に使われているようなハードウェアで実現可能なのかプロトタイプを作ってみることにしました。ハードウェアとしては、Raspberry Piという名刺サイズ程度のボードコンピュータを使用しました。結果としては、うまくできたこととできなかったことがあり、その原因も完全にはわかっていないのですが、彼の発表は、アプローチの新規性と将来性を評価され、セッションで2名だけ選出された学生奨励賞を受賞することができました。

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この研究も引き続き発展させて、別の機会に学会発表したいと考えています。

(メディア学部:寺澤卓也)

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