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是枝裕和監督作品『万引き家族』がカンヌ映画祭パルムドール受賞!

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今月19日に閉幕した第71回カンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールに、是枝裕和監督の『万引き家族』が輝いたというニュースは、新聞の一面を飾るほど大きな話題になりました。今村昌平監督の『うなぎ』以来21年ぶりの快挙だそうです。素晴らしいですね。

毎年5月に開かれるカンヌ国際映画祭は、世界三大映画祭(ベルリン、ヴェネツィア、カンヌ)の中でも、最も有名で格式高い映画祭です。フランスは映画発祥の地でもありますので、世界中の映画人にとって特別な場所なのでしょう。私も前職在職中、二回ほどカンヌ映画祭に参加しました。そのうちの一回、2013年のカンヌには、『そして父になる』を引っ提げて、是枝監督も来仏されていたのでした。主演の福山雅治さんを伴ってのレッドカーペット登場は日本のメディアにも取り上げられ、現地でも非常に注目されていたのを覚えています。結局、『そして父になる』は審査員賞を受賞。審査委員長は何とあのスティーブン・スピルバーグ、審査員には日本人映画監督の河瀨直美さんも名を連ねていました。(ちなみにこの年のパルムドールは『アデル、ブルーは熱い色』というフランス映画で、そのセンセーショナルな内容が批評家たちの度肝を抜きました)。

あれから5年、名女優ケイト・ブランシェットが審査委員長を務めた今回、是枝監督はパルムドール受賞監督となりました。ひょっとすると来年の米アカデミー賞の外国語映画賞の候補になるかもしれません。

是枝監督はもともとテレビ業界出身で、ドキュメンタリー番組の演出家でした。その後『幻の光』(95年)という作品で映画に進出。ドキュメンタリー出身の監督らしく、是枝作品は実際の事件に触発されて生まれることが多いそうです。今回の『万引き家族』も親の死亡届を出さずに年金を不正受給し続けていた事件から着想を得たそうですし、『そして父になる』も実際に起きた「赤ちゃん取り違え事件」が下敷きになっています。社会で起きている事件や事象に常に敏感でいること。そしてそこから何らかのメッセージを受け取り、作品にしていくこと。映画に限らず、“モノ作り”を目指す人間にとって、是枝監督のスタイルから学ぶべきものは必ずあるはずです。

 何かを作りたい・作らなくてはいけないのにテーマが見つからない、という人は、是非社会の声に耳を澄ませてみてください。そこにはどんなメッセージがあるでしょうか。それを作品にして人々に伝えていくのも、クリエイターの大事な役目なのです。

 

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 Photo: 2013年のカンヌ国際映画祭会場(森川撮影)

 

メディア学部 森川美幸

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