« 「性格を考慮した群衆シミュレーション」(三上研芸術科学フォーラム学生発表その2) | トップページ | 「散点透視映像生成のためのカメラ制御手法」(三上研芸術科学フォーラム学生発表その3) »

あそぶヒトのためのデザイン

2018年5月16日 (水) 投稿者: media_staff

こんにちは初めまして、今期からメディア学部に特任准教授として参加している安原です。主に専門としている「ゲームデザイン」に関する知見のシェアと指導、そしてその研究を深めるために参りました。
大学を卒業して当時まだ小さかったゲーム会社のセガに入社したことからゲーム制作に携わるようになり、アメリカ駐在中に転職して以来シリコンバレーやシアトルを主な活動の場所として暮らしてきましたが、今回実に25年ぶりに東京での生活を始めました。満員電車での通勤も今のところ東京観光の余興のような、いや、なんとも懐かしい感覚も相まって、楽しめているところです。

昔と比べた時、東京生活で一番驚いた光景の変化は、通勤電車内で学生だけでなく多くの人がスマートフォンでゲームをあそんでいる様子です。アメリカでは多くの人が自動車で通勤するのでスマートフォンのゲームを遊ぶことができませんから、ゲームを遊んでいる人を見かけるのは空港の出発ロビーや歯医者の待合室くらいです。
「通勤時間」が生み出す日本独自のマーケットがあるなぁ、と感じた次第です。
かつて電車のなかで読まれていた漫画雑誌の連載は各16ページで、それは駅から駅への移動時間にちょうど良い長さだったという話を聞いたことがあります。電車であそばれるゲームも同じように「いつでも始められていつでも止められる」というようなデザインの工夫がされているはずです。短時間でグッとのめり込み達成感を得られるので、かなり長くあそんだように思えて、実際のゲーム時間を計ってみると意外と短いものです。もしも、おもしろ過ぎてプレイする人が電車を乗り過ごしてしまうようなデザインをすると、「おもしろいけど通勤時間は危なくてできない」ゲームになってしまいますね。ゲームに限ったことではありませんが、常に使う人のことを思い描いてデザインすることが大切です。
では、これからよろしくお願いします。

コンテンツ」カテゴリの記事

« 「性格を考慮した群衆シミュレーション」(三上研芸術科学フォーラム学生発表その2) | トップページ | 「散点透視映像生成のためのカメラ制御手法」(三上研芸術科学フォーラム学生発表その3) »