レポートブログ第一回はこちら。
8月26日に開催された、本年度最後の八王子キャンパス・オープンキャンパス(OC)レポートブログ第二回。
今回も私、メディア学部新任の森川がご報告します。
今回のOCでは、午後から入試説明会が2度実施されました。
夏休みも終わりに近いということで、時期的に高校3年生だけでなく、2年生や1年生も多かったようですが、入試説明会には意欲ある高校生や保護者の皆さんが大勢参加してくださいました。
また、毎回恒例となっている教員・学生による個別相談コーナーも、もちろん片柳研究所5階のMTC(メディア・テクノロジー・センター)前に設置。
入学についてや、学生生活についての皆さんからの具体的な質問にお答えしました。
気軽な雰囲気なので、今回も多くの皆さんが立ち寄ってくださったようです。
ではブースのレポートに移りましょう。
第二回は、メディア技術コースです。
今回、このコースからは、本年度最多・計9件の出展がありました。
【片研4F】
■ VRとARの未来(担当教員:羽田)
このブースには今回、氷でオブジェクトを作る装置が設置されていました。3Dプリンターをカスタマイズし、立体的な氷の造形物を作れるようにしたそうです。
この装置を使えば、高速で氷のオブジェが作れるため、店舗のノベルティなどに利用できそうです。
また、氷の“解ける”という特性を使って、試作品等、すぐ不要になるものの制作に使い、ゴミを出さないという社会貢献にも役立てられるかもしれません。
■ 3Dプログラミング(担当教員:渡辺)
前回のレポートブログでご紹介した「突撃!スリングショットマン」のバージョン2.0が発表されていました。
バージョンアップ版ではスリングショットマンがダメージを受けると目が赤くなります!
修士1年の星光彦君は、「レヴァルシーブロック」という、迷路の謎解きパズルゲームを展示。
正方形でできたマップを進み、ゴールを目指すというものなのですが、これがなかなか手強いらしく、プレイしていた高校生が「意外と難しくて面白い!」と目を輝かせていました。
【研究棟C】
■ デジタル音響処理と人間の聴覚(担当教員:大淵・越智)
音の聞こえ方は、楽器が鳴らしている音そのものだけでなく、聞いている人がどこでその音を聞いているかによって変わります。
音は壁に反射するため、その材質や距離などによって響きが変わるからです。
ここでは、バイオリンの演奏が、場所によってどう聞こえ方が変わるかを、コンピュータ上で再現していました。
例えばホールで聞いた時と地下駐車場で聞いた時とでは全く響きが変わります。
部屋の「インパルス応答」を基に算出し、再現しているそうです。
その他、「立体音響と女性向け恋愛ゲーム」という展示等もありました。
■ 最新のIT技術で問題解決!(担当教員:寺澤)
寺澤研の加賀谷早織さん(4年)は、「安全に歩きスマホをするための衝突回避アプリの実装」をテーマに研究を行っているとのこと。
近年、歩きスマホ防止アプリの標準搭載をルール化しようという動きもありますが、なかなかユーザーに受け入れられていないというのが実情ですよね。
歩きスマホは危険だと知りつつ、無理矢理やめさせられようとしても、決してやめないのが人間というもの。
それなら安全に歩きスマホできるアプリの方が、皆受け入れてくれるのではないか、という逆の発想がこの研究の原点だそうです。
確かに、こういうアプリなら皆使ってくれそうですよね!
■ ビジュアルシュミレーションの研究紹介(担当教員:柿本)
ここでは柿本研所属の清水柚希君に研究の話を聞きました。
「視線一体型テレビ会議システムに関する研究」というものです。
PCの内蔵カメラを使ったテレビ会議では、カメラをモニターの中央に配置できないため、微妙に相手と視線が合わないですよね。
やはりコミュニケーションは目と目を合わせながら取りたいもの。
先行研究では、①目線を合わせた画像を用意しておいて、目の部分だけ置き換える方法と、②ミラーを置いて反射させ、目線を合わせる方法を提案しています。
しかし、①は事前準備が必要で、②は装置が大きくなるというデメリットが。
そこで清水君は、二つの欠点をカバーする仕組みを構築しているとのことでした。
今後が楽しみな研究ですね!
その他、ビジュアルシュミレーション研究等の紹介もありました。
■ 人工知能実験室(担当教員:藤澤)
出展ブースとなった藤澤研究室の前に行くと、私の姿を感知し、「おーい、そこのあなた、こちらへどうぞ」という機械音の呼び掛けが。
導かれるように中へ入りました。
ここでは、Google Homeを使い、声だけでTwitter投稿をする実演を見せてもらいました。
「IFTTT(イフト)」というサービスを使い、GoogleアシスタントとTwitterを連携させると、こういうことができるのだそうです。
■ 健康メディアとスマートフォンの活用(担当教員:千種)
4年生の佐藤聖高君の研究は、「環境音と音楽をポモドーロテクニックに適用した集中力向上法」。
ポモドーロテクニックとは、「25分間の集中した作業」と「5分間の休憩」を繰り返すことで作業効率や生産性を高めるというもの。
佐藤君は、このテクニックに環境音と音楽を足すことで、さらに作業効率や生産性が高まるのではないかと仮説を立て、調査を行っているそうです。
環境音では雨音やホワイトノイズ、水の音、カフェの音を試しましたが、雨音が最も効果が高かったとのことでした。
ここでは、他にもいくつかの研究発表が行われていました。
■ 顔画像処理あれこれ(担当教員:永田)
4年生の宮沢光輝君はゲームプレイヤーの視線を研究しているそうです。
見ている場所に赤いポイントが出る視線探知のシステムを使い、ゲーム上級者と初心者の視線の動きを比較しました。
その結果、上級者が操作するキャラクターだけでなく、そのキャラクターが向かっている先々の方まで見ているのに対し、初心者は自分のキャラクターしか見ていないことがわかったとのことでした。
最近、e-sportsがにわかに注目を集めている中、とてもタイムリーな研究だと感じました。
■ インタラクティブ・コンテンツ研究の紹介(担当教員:太田)
太田研究室では、「コムメディアデザイン」をテーマに、生活環境の一部としてコンピュータ機能が存在するようなものの研究を行っているそうです。
例えば、禁煙の場所でタバコを吸わせないようにするために、もしタバコを吸ってしまったら、広告の中の人たちが一斉に煙たいポーズをとって嫌がるようなサイネージを設置すると、タバコを吸いにくくなりますよね。
そういった、社会や生活に直結するメディア技術も大事だと思います。
今回のレポートはここまで。
次回はラスト、メディア社会コースの展示をレポートします。
(メディア学部 森川 美幸)