国際学会Interspeech2018で音声信号処理・音声科学の発表をしてきました
2018年10月 2日 (火) 投稿者: メディア技術コース
9月2日~6日にインドのハイデラバードで開催された、音声・音響信号処理、音声科学についての国際学会Interspeech2018に参加し、発表を行ってきました。ハイデラバードはデカン高原にある都市で、この時期は雨が多いそうですが、空気はからっとしていて過ごしやすい気候でした。
学会は、工学系の音声・音響信号処理、音声科学といった、音声・音に関わる文系・理系は問わない世界中の研究者や学生が集う場で、インドでは初開催でした。インドはたくさんの言語を持つ国ということで、今回はインドの諸言語での音声認識(音声信号から発話内容を書き起こす技術)、さらにその言語でのデータの量が限られているときに対応した音声認識に焦点を当てたセッションが組まれていました。
色々な言語の文字がお店の看板に併記されている様子(下)。
今回私は、音声信号処理の福祉応用である、(1)「機械学習を使った発話障害(吃音症)の言語訓練の自動評価方法」と、共同研究である英語学習についての(2)「日本語母語話者による日本語および英語の発話時に呼吸の比較」について発表を行いました。
(1)は医療と関わる分野です。言語訓練(発話のリハビリ)では患者さんが症状を減らす効果がある発声方法の練習を毎日練習する必要があるので、うまく発声ができているかを携帯端末などで自動評価して練習を行いやすくすることを目指しています。そのために、色々な人の発声を学習データとして使い、その音響特徴量から機械学習によって発声ができているかを判定する手法を提案し、9割程度の精度で判別できることを示しました。
(2)は音声学などの人文系と理工系の融合した分野の研究です。言語によって呼吸の仕方を変えているのか調べるために呼吸に関わる器官の動きや呼吸量を測り、信号処理と分析をしました。下の写真には写っていませんが、地元インドからの学生さんがたくさん参加していて熱心にポスター発表を聞いている姿がありました。
話は変わりますが、学会の合間に食べた料理は、会場周辺にある学会スタッフおすすめのお店に行ったこともあり、どれもおいしかったです。とくに下のようなビリヤニと呼ばれる細長いお米でできたピラフのような料理は名物で、写真は撮れませんでしたが下ような容器で底のほうにお肉がごろごろと入っていて少し香ばしくおいしかったです。
下の色々な色のカレーはスパイスや素材のバリエーションが豊富で色々な味が楽しめるようになっています。水を買いに立ち寄った地元のスーパーでは予想通りスパイスがたくさん量り売りで売られており、写真のように大きな箱に山になっているところから容器ですくって詰めるようになっていました。
また、学会では通常初日の夜に参加者同士の交流のために歓迎行事が開かれますが、今回の学会ではバンド演奏があり、色んな国からの参加者が自然と音楽に乗って踊っていました。日本国内の学会では参加者が踊ったりする姿はみられないので、ノリのよい雰囲気は国際的な行事ならではかなと思います。
学会論文
- K. Ochi, K. Mori and N. Sakai "Automatic Evaluation of Soft Articulatory Contact for Stuttering Treatment," Proc. Interspeech 2018, pp. 1546-1550, 2018.
- T. Isei-Jaakkola, K. Ochi and K. Hirose, "Respiratory and Respiratory Muscular Control in JL1's and JL2's Text Reading Utilizing 4-RSTs and a Soft Respiratory Mask with a Two-Way Bulb", Proc. Interspeech 2018, pp. 3012-3016, 2018.
「在学生向け」カテゴリの記事
- チュラロンコン大学からのインターン学生との再会(2019.03.14)
- あにめたまご2019「文化庁若手アニメータ等人材育成事業」(2019.03.12)
- タイの提携校、キンモンクット大学トンブリに短期訪問しませんか?(2019.03.11)
- 学会紹介:ADADA Japan学術大会と情報処理学会EC2019(2019.03.09)
- 大学院授業:プロシージャルアニメーション特論の紹介(2019.03.08)
「研究紹介」カテゴリの記事
- 映像表現・芸術科学フォーラムにて卒研生が優秀発表賞を受賞(2019.03.17)
- 自由な言葉でライブパフォーマンスをアレンジする(2019.03.16)
- 先端メディア学II(2年生)の学生が人工知能学会の研究会で発表(2019.03.15)
- 映像表現・芸術科学フォーラムでの発表(2019.03.10)
- ゲームの学会?!(2019.03.07)
「雑感」カテゴリの記事
- ランニングマシンもインタラクティブな時代に(2019.03.02)
- 映画鑑賞(2019.02.21)
- 転ばぬ先の....(2019.02.19)
- 論文を書くためのソフトウェア(2019.02.18)
- 3学年合同で最終発表してみた(2019.02.17)
「高校生向け」カテゴリの記事
- チュラロンコン大学からのインターン学生との再会(2019.03.14)
- 大学院授業:プロシージャルアニメーション特論の紹介(2019.03.08)
- ゲームの学会?!(2019.03.07)
- 香港理工大学デザイン学部の紹介(2019.03.04)
- 香港理工大学デザイン学部を訪問し、学部長Lee先生にお会いしました!(2019.03.03)
「おもしろメディア学」カテゴリの記事
- 【研究紹介】お城を数値で作り上げる!:日本城郭のプロシージャルモデリング(2019.01.22)
- 【研究紹介】プロジェクションマッピングはエンタメだけじゃない!プロジェクションマッピングによる動作支援(2019.01.15)
- 高大連携企画・映像制作ワークショップを開催しました(2019.01.14)
- 【再掲】世にも恐ろしい本当にあった話...(からぁ~の,エール!)(2019.01.09)
- 【研究紹介】”匂い”で季節感を感じさせることはできるか?(2019.01.06)