タイからの短期留学生に数学と物理を教えた話
2018年10月 9日 (火) 投稿者: メディア技術コース
メディア学部の渡辺です。
ちょっと紹介するには遅くなってしまいましたが、6月下旬から7月末までにかけて、タイにあるタマサート大学の学生2名を指導しておりました。留学生2名のお名前は Ployphilin Srirongrueng (愛称「Ploy」)さんと、Kunnatee Trakooltham (愛称「Gamyui」)さんで、二人ともまもなく4年次生になる学部生です。
タマサート大学は、タイではチュラロンコン大学(ここも本学と親交があります)に次ぐ歴史がある名門大学だそうで、この2名もタイの中ではかなり優秀な学生達なのであろうと思います。実際、英語も非常に流暢で、むしろ私の英語力の方が問題でした。
彼女たちはこれまでもグラフィックスプログラミングを学んでは来ましたが、物理シミュレーションやアニメーションについてはやったことがなかったそうで、留学中に Ploy さんは破壊シミュレーションを、Gamyui さんは水面シミュレーションをやってみたいという希望を持っていました。当初は学部長の柿本先生と指導を分担することも考えましたが、柿本先生はお忙しいということと、2人一緒にやるとお互いに教え合えるのでいいだろうってことで、今回は私が2人とも面倒を見ることになりました。
これまでも短期留学生のアドバイザーになったことは何度かあったのですが、これまでやってきていた研究に対して助言したり、作成しているゲームに対して簡単なアドバイスをする程度で終わっていました。しかし、今回はガチで彼女たちにシミュレーションで使う数学や物理を教えなければなりません。これまで日本語でそういった授業は何度も行ってきましたが、英語で教えるのは初めてだったのでまずは英語での資料作成からです。これがなかなかに大変でした。
毎週一回、彼女たちを研究室に呼んで物理シミュレーションに関する説明を行います。当然英語なわけで、正直これまで言ってきたどの海外出張のときよりも、よっぽど多くの英語を喋ったと思います。むしろ私の方が英語の勉強になったとすら思います。
ただ、破壊シミュレーションにしろ水面シミュレーションにしろ、基礎となる数学や物理学、そして実装するためのプログラミングの素養がなければまったく太刀打ちできません。彼女たちには悪いのですが、私は当初は初歩的な勉強だけで終わってしまうのではないかと思っていました。しかしながら、私は途中でその考えを改めることになります。彼女たちの数学の素養は日本の理系大学生の平均レベルよりもかなり上であり、プログラミングも(彼女たちがこれまで勉強してきていたのはC++言語でした)こちらの指導した内容をスラスラと書き上げていきます。私以外の他の先生達も、タマサート大学の留学生はみんなプログラミング能力がかなり高かったとのことです。さすがは名門大学の学生さん達だなーと感心しました。やはり基礎力がしっかりある学生は成長が早いですね。以下が、彼女たちが最終発表で作成した発表用ポスターです。クリックすれば拡大した図を見ることができます。
もし彼女たちの人生に今回の経験が少しでも役立てば、私にとってはこの上ない幸いです。
(メディア学部准教授 渡辺大地)
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