NICOGRAPH2018での発表報告 (経路探索・店舗レイアウト自動生成)
2018年11月21日 (水) 投稿者: メディア技術コース
メディア学部の渡辺です。
例年、11月は多くの学会が開催されます。そんな中で、「NICOGRAPH」という学会では毎年メディア学部の教員や学生が多数の発表を行っています。11月3-5日に福岡市で行われた「NICOGRAPH2018」では、私の研究室から8名の学生がポスター発表を行いました。私は大学教員として今年で19年目となりますが、1つの学会で自身の指導学生が発表する件数としては過去最高となります。
このブログでは、これらの研究を4回に分けて2件ずつ紹介したいと思います。今回は、大学院修士1年の津川巧君と義澤勇輝君の研究を紹介します。彼らは「学士・修士一貫早期修了プログラム」(詳しくはこちら)の適用学生で、大学入学4年目にして既に大学院生として研究を行っています。
津川君は「経路探索」と呼ばれる分野の研究を行っています。経路探索は様々な分野で用いられており、例えばカーナビの目的地経路算出や、鉄道駅間の路線経路算出などがあります。また、ゲームAIにおいても重要な機能で、近年は大変複雑なマップ内を各キャラクターが目的地に向けて移動する処理がとても多く、経路探索技術は欠かせません。
ここから少し専門的な話になりますが、経路探索の理論の多くは「マップが変わらない」という前提の元に構築されており、マップが動的に変化する状況、例えば道が破壊されてしまうとか、障害物が取り除かれて移動できるようになるような状況ではかなり処理が遅くなる場合があります。津川君は、このようなマップが変化する場合でも拘束に経路探索を行える理論の研究を行っています。彼の理論はまだかなり限られた条件でしか既存手法よりも高速にはならないのですが、現在理論を改善中であり、これからさらに有用な手法となることを期待しています。以下の図は、津川君が学会中に提示していたポスターデータと発表の様子です。
次に義澤君の研究を紹介します。彼の研究は「食料品スーパーマーケット屋内売場の自動生成」というものです。2年前に、「駅形状の自動生成」という研究を紹介(リンクはこちら)したことがありますが、その研究と発想はとても似ています。
近年では、建築物の自動生成はかなりリアルなものができるようになっているのですが、多くの手法はあくまで外面的な部分のみであり、屋内についてはまだあまり事例がありません。世の中に「建築物」はとても多様な種類のものが存在しているわけですが、義澤君は(私も理由は知らないのですが)「食料品スーパーマーケット」(以下「スーパー」)に着目しました。確かに、スーパーはどこも似たような店内の作り方になっていますね。実際、スーパーは客が移動したり品物を探したりといったことを快適に行うため、配置には様々な工夫がこらされています。義澤君はその法則を踏まえた店舗レイアウトを自動生成する研究を行っています。将来的には、プレイヤーが何気なく設定した店舗の中身が自動的に生成され、その中を歩き回るというゲームも出てくるようになるかもしれません。以下の図は、義澤君が学会中に提示していたポスターデータと発表の様子です。
(メディア学部准教授 渡辺大地)
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