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【研究紹介】紙って四角形?三角形?: 紙の皺をCGでシミュレーションする

2018年12月20日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

本ブログをご覧の皆様,こんにちは.

メディア学部教授 菊池 です.

突然ですが...「紙」は皆様が必ずと言っていいほど毎日手にするものだと思います.この「紙」を CG で表現しようとした場合,どのようにしたらいいと思いますか?

紙も布も,CG では有限要素法(Finite Element Method:FEM)と呼ばれるアルゴリズムで計算することができます(もちろん,そのほかにも様々なアルゴリズムがあります).

FEM は,解析的に解くことが難しい微分方程式を数値解析で近似的に解く手法のひとつで,複雑な形状・性質を持つ物体を小部分に分割することで近似し,全体の挙動を予測しようとするものです.
FEM によるシミュレーションでは,(紙や布のような)モデルを細かい三角形に分割して計算を行うのが一般的です(クロスシミュレーションの例は,こちらで紹介していますので是非ご覧ください).

さて,我々の研究室ではこの FEM アルゴリズムを応用して,「書道における和紙の乾燥皺」の CG シミュレーションを行っています.

皆様の多くが,小学生の時などに「書道」を経験しているかと思います.書道で何かしらの文字を墨汁と筆で和紙(半紙)に書いたあと,教室の後ろなどに貼り出されますよね?
すると,時間が経過していくとだんだんと和紙に皺が寄っていくのを覚えていませんか?

そうです!あれです,あれ!(笑)
あの様子を CG でシミュレーションしているわけです.

NICOGRAPH 2018」において我々が発表した論文では,「和紙の流れ目を考慮したベースレイヤー」と「三角形メッシュに細かく分割したトップレイヤー」の 2 層の FEM レイヤーを質点バネモデルで接続しフックの法則による反力を計算することで,トップレイヤーのメッシュの変形を制御するという手法を提案しました [1].

この手法による成果映像はこのようになります.



このように,「四角い紙を細かい三角形に分割して計算する」というアプローチって,とても面白いと思いませんか?

CG にはこのような柔軟な発想によるアルゴリズムがたくさん存在しています.
そしてそれは,誰もが自由に考え出すことができます.

皆様も,CG を勉強して世界で初めてのアルゴリズムを発明してみませんか?

[1] 林 瑞樹,菊池 司,” 2 層の FEM レイヤーを用いた和紙の乾燥による皺生成アニメーション”,Proc. of NICOGRAPH 2018,pp.037-047,2018


文責 : 菊池 司

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