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音楽系研究室の学生の研究発表紹介:ゲームサウンド(ADADA Japan 学術大会)

2018年12月 6日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤謙一郎です。

私の研究室の学生3名が、さる9月3日(月)に東京工科大学蒲田キャンパスで開催された「ADADA Japan 学術大会」で研究発表を行いました。

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私の研究室では音楽そのものだけでなく、音楽が関連するものを幅広く研究対象にしていますが、今回発表した3名はいずれもゲームにおける音楽やその機能について研究している学生です。

映画やアニメ、TVドラマの中で流れる音楽は、その様相によって映像の意味や印象を左右するものですが、コントローラーの操作によって画面やキャラクターの動きが変化するゲームは、音楽や効果音のありようが、映像に接している当事者の感興に強く作用する点で他の映像コンテンツとは大きく異なります。また、コントローラの操作そのものが音楽を変化させていくゲームも多く、このようなインタラクティブ性が他の映像コンテンツにはない特徴であり、魅力と言えるでしょう。

ゲームのこのような特徴を踏まえると、ゲームにおけるサウンドの機能は多岐にわたり、ゲーム機器の性能の向上とともに、その可能性は今後さらに広がっていくことが考えられます。
ここで3名の発表タイトルとともに、それぞれの感想をご紹介しましょう。

■佐藤初心さん(4年)
『J-RPGのサウンド構造分析に向けたストーリーとゲーム内ジオメトリの可視化デザインに関する検討』

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【コメント】
今回、初の学会発表でした。学会の雰囲気もあまり掴めていなかったため、舞台上で行われた発表前の研究紹介にあたる宣伝で、とても緊張し記憶が一瞬飛びました(笑)。それでも今は無事に発表を終わらせることが出来て良かったです。

発表内容として、シリーズ化・アニメ化が多くなされている日本のRPG作品は、ゲーム内での音楽の曲数が年々増えてきています。ゲーム性もストーリー性も両方重視されており、その音楽やサウンドを構造的に分析する際には、ストーリーおよびゲーム内の位置との比較検討が必要になりました。その膨大なゲーム構造と音楽を照らし合わせ、どのような曲がストーリー上で多く使用されているのかを見つけるための前段階の研究調査過程、可視化案の検討を発表しました。

多くの方に研究を見てもらい、いくつか貴重な意見も頂き、とても有意義な時間でした。特に「難しそうな研究だけど、面白そう」という意見が多かったです。正直、自分でも今、行なっている研究がとても表現が難しいものと認識しているので、この先はどうなるのかは分かりません。それでも研究は楽しいです。

今後は、最終的な目標である楽曲分析まで頑張りたいと思います。

■柴田知洋君(4年)
『Music Dovetailingの概念による動的な音楽デザインの基礎検討』

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【コメント】
私は今回の「ADADA Japan」で、自身が研究対象としているインタラクティブミュージックの構築において、どのようなGUIデザインが適しているかを検討し、ポスター形式で発表しました。

その中でも特に苦労したのは、音楽を専門としていない方々に、どのように研究内容を理解してもらうかということでした。はじめは言葉だけで伝えようとしていたため、説明が難しく思えましたが、ポスターに掲載した図表を活用し説明することで、来ていただいた方にも理解していただき、多くのアドバイスをもらうことができました。

初めての学会発表ということもあり、緊張してうまくいかない点も多くありましたが、非常に有意義な時間を過ごすことができました。この経験を生かし、今後も研究をより深めることができればと思います。

■松村佳音さん(4年)
『ゲームコンソール内蔵音源のサウンドデザインを想定した音色分類手法の検討』

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【コメント】
私の研究発表は、音色の分類や特定が困難な16bitゲームコンソールの音色を、トランスクリプションを用いて、80年代のディジタルシンセと類似する音色と比較し分類していく手法の検討を行い、その手法を用いてゲームミュージックの音色分析を実施するという内容です。

こういった場で発表するのは初めてで、卒業研究の過程で検討した手法なのですが、違う専門分野の方からの指摘によって自分の研究の問題点や穴が見つかり、今後詰めていく部分と課題が見えたことが大きな収穫でした。

更に手法を精錬させて、今後の研究活動に活かしていきます。


今回紹介した佐藤さん、柴田君、松村さんを含め、私の研究室に所属している全11名の4年生は論文のタイトルを確定させ、1月中旬の卒業論文提出に向けて現在、執筆に励んでいます。その様子も今後、このブログでご紹介したいと思います。

(伊藤謙一郎)

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