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チューリング・パターンを用いたうり坊の模様

2019年1月16日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

コンテンツコースの加納です。

松の内も過ぎ、お正月気分もすっかり抜けた頃かと思いますが、前回の記事に引き続き、年賀状と干支に関する記事を投稿します。

今年の干支は、亥(い)、つまりイノシシです。

私は毎年、その年の干支と科学を絡めたネタを年賀状に書いているのですが、今年はイノシシの子ども、うり坊に注目しました。

イノシシは幼少期、縞瓜に似た縞模様が体に沿って生えており、その姿から俗に「うり坊」や「うりんこ」と呼ばれています。今回、この模様を数式で表現することができないかと考え、調べたところ、チューリング・パターン (Turing Pattern) [1]にたどり着きました。

チューリング・パターンとは、コンピュータの生みの親として知られるイギリスの数学者アラン・チューリングが考えた、反応拡散方程式(物質の反応と拡散を支配する方程式)によって描かれるパターン(模様)です。近年、さまざまな生物・植物の模様が、このチューリング・パターンであるという事実が、実験的に明らかになっています。

その中でも、化学反応系における自己複製パターンを定性的に表している Gray-Scottモデル[2]は、以下のようなシンプルな系で表現されます。

Wqn_3

ここで u, v はそれぞれ化学物質 U, V の濃度を、r は拡散率を、fU の供給率を、(f + k) は V の除去率を表しています。この反応拡散方程式は、U + 2V → 3V, VP (P: 不活性生成物)の2つの化学反応をモデル化したものとなっています。

私は今回、この Gray-Scottモデルを用いて、うり坊の背中の模様を描けないか挑戦してみることにしました。Gray-Scottモデルでは、パラメータ fk の組み合わせ方により、さまざまなパターンを生成することが可能となっています。

まずは、f = 0.041, k = 0.063 の結果です。
G2

供給率が除去率に比べて低いため、線分が短く切れてしまっています。

次に、f = 0.070, k = 0.061 の結果です。
G1

今度は線が繋がっており、局所的に見るとそれらしい縞模様に見えるかもしれませんが、全体的に線が波打っていて、小さく閉じた領域も多く見られます。

そして、f = 0.078, k = 0.061 の結果です。
G3

線分の波打ちも少なく、この3つの中では最もうり坊の縞模様に見える結果となりました。今回は、単純なパラメータ調整と、私の主観による定性的な評価しか行っていませんが、実際のうり坊と比較しながら数式を掘り下げていくと、面白い発見に繋がるかもしれません。

最後に、絵心がなくて大変恐縮ではありますが、これらの模様をうり坊の背中にはめ込んでみた画像を以下に掲載します。

Uri

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

加納 徹

[1] A. M. Turing, The chemical basis of morphogenesis, Philosophical Transactions of the Royal Society of London, B (Biological Sciences), Vol. 237, No. 641, pp. 37-72 (1952)
[2] P. Gray and S. K. Scott, Autocatalytic Reactions in the Isothermal Continuous Stirred Tank Reactor, Chemical Engineering Science, Vol. 39, No. 6, pp. 1087-1097 (1984)

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