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【研究紹介】”匂い”で季節感を感じさせることはできるか?

2019年1月 6日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

本ブログをご覧の皆様,こんにちは.

メディア学部教授 菊池 です.

本日のブログでは,菊池研究室で行った「季節感を感じさせる嗅覚刺激に関する研究 [1]」に関して紹介したいと思います.

人間には,視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の「五感」がありますが,昨今の VR ( Virtual Reality )の発展・普及に伴い,嗅覚ディスプレイの研究・開発が盛んに行われるようになってきました.
嗅覚ディスプレイとは,匂いを提示する装置のことで,映画やゲームのシーンに合わせて匂いを提示して臨場感を高めることや,電子広告と同期して匂いを発生させて新たな宣伝方法を実現することが期待されています.

皆様も一度は,テレビ番組で美味しそうな料理を見たときに「あぁ~,どんな匂いなんだろう?」っと思ったことがあるでしょう?(笑).
嗅覚ディスプレイが実現できれば,その願いが叶うわけですね!

さて我々菊池研究室では,近い将来「映像と匂いを同時に提示するコンテンツ」が実現できると考え,それに先立って「映像と同時に匂いを提示することによって,映像から受ける”季節感”を増幅させることができるのか?」ということを明らかにする研究を行いました.

予備実験では,市販されている精油を数十種類集め,その匂いを嗅いだだけで季節を感じることができるのかどうかを調査しました.
その結果,トンカビーズ, プチグレンなど,ある特定の匂いが季節を感じさせることが明らかになりました.

この予備実験から抽出された精油をもとに,本実験では「季節感を感じさせないような映像と同時に,予備実験で明らかになった匂いを提示する」実験を行いました(下図).

01
図.本実験の様子


その結果,映像のみを鑑賞した時と比較して予備実験で抽出された匂いを同時に提示したときのほうが,明らかに季節を強く感じることがわかりました( t 検定にて有意差を確認しました).

「匂いから季節を感じる」要因は人それぞれで,それまでの経験などが大きく影響を与えていると考えられます.
したがって,本研究は今後もより多くの実験を重ね,さらに「季節感を感じさせる匂いの”要素臭”」を明らかにすることを目指して研究を継続しています.

なお,本研究は「映像表現・芸術科学フォーラム 2018」において「協賛企業賞」を受賞しました.

[1]川満 陽太,菊池 司,”季節感を感じさせる嗅覚刺激に関する研究”,映像情報メディア学会技術報告 = ITE technical report,42(12),pp.285-288,2018-03


文責 : 菊池 司

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