先端メディア学II(2年生)の学生が人工知能学会の研究会で発表
2019年3月15日 (金) 投稿者: メディア技術コース
先端メディア学II(2年生)の宮崎太我くんが人工知能学会の研究会で発表を行いました。
前回の初発表(2018/11/20)に続く2度めの発表となります。前回も聴講者の皆さんから「初めてとは思えない!」「本当に2年生なの!?」と褒めていただきましたが、今回も「良かったで~!」との声をかけてもらっていました。
2つの宮崎くんの研究の書誌情報は以下です。
宮崎太我・榎本美香. (2018)「二者間バイアスの間にどう割って入るか」人工知能学会研究会資料 SIG-SLUD-B802, 39-44頁
宮崎太我・榎本美香. (2018)「二者間バイアス中の相槌・頷き」人工知能学会研究会資料 SIG-SLUD-B803, 31-36頁
論文本体は以下からダウンロードできます。(人工知能学会の会員じゃないとフリーじゃないみたいです。すみません)
AI書庫
内容を簡単に紹介します。
三人会話において、2人だけが話していて、残る1人が取り残されてしまうということはよく起こります。この3人目がどうやって会話に復帰するか、というのがテーマです。
どういう発話で復帰するかを分類した結果、以下の8つになりました。カッコ内は生起頻度。
横槍:二者で話している内容にメタ的な意見や揶揄を差し挟む(30)
詳細化:」先行する発話に出てきた言葉を用いてより詳しい内容を聞き返す(23)
知識依存:自身が持っているより詳しい知識を話す(13)
独り言:低いトーンで視線を誰にも向けず、独り言を挟む(4)
投擲:誰に向かってでもなく自分の意見や感想を無責任に差し挟む(3)
セカンドストーリー:二者が会話している内容に類似した体験談を語る(3)
宛先取得:話し手が視線によって第三者を次話者に選び、選ばれた第三者が発言する(2)
司会者的な発話:二者の会話が一段落したとき、第三の者が司会者のような発話をする(1)
今回は、これらの発話がなされる前に、3人目がどういう風に相槌や頷きを行っているかを調べました。
その結果、二者間バイアスに含まれる2 人は普段より積極的に相槌・頷きを行うということが分かりました。これに対してバイアスに含まれない3 人目は、バイアス区間以外の一般的な位置と同様に相槌・頷きを行っていました。また、比較的相槌や頷きの回数も少なく、2 人の会話を静観している様子が伺えます
。
さらに、3 人目が話者交替に復帰するときの発話内容によっても相槌・頷きの頻度が変わることがわかりました。横槍・詳細化・知識依存に加えてセカンドストーリーのときに相槌・頷きは増えます。2 人の話をメタ化してみていたり、関心をもっていたり、自身が関連する知識や経験
を持っている時、相槌や頷きを表出しやすいといえます。このことから、二者間バイアス区間における3 人目のあり方には2 通りあることがわかります。一つは今2 人が行っている会話にとても関心を抱いている状態であり、自身の発言機会では、その話の続きを行う横槍・詳細化・知
識依存・セカンドストーリーが展開されます。他方は、今の話に関心がなく何となく話者交替から離脱している状態です。復帰するにしても、投擲といったようにこれまでの話の流れとは無関係な発言を行う傾向にあります。ここで興味深いことは、独り言の前にも頷きが多く表出されることでした。独り言を発するような時には、前の2 人のやりとりに強い関心や同意を抱いていたときではないのかという帰納的な推論が成り立ちますね。
榎本
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