大学院生が「映像表現・芸術科学フォーラム」で音響演出に関する研究発表を行いました
2019年3月31日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース
メディア学部の伊藤謙一郎です。
「映像表現・芸術科学フォーラム」での研究発表についてはこれまでの記事でもいくつか紹介されていますが、本日は私の研究室に所属している大学院1年生、宮園知奈さんの研究をご紹介しましょう。
宮園さんが研究対象としている「オーディオドラマ」は、声や効果音などのサウンドのみで作られています。映画やテレビドラマ、ゲームのように映像に付けられたサウンドとは異なり、サウンドそのものがコンテンツを形作っているので、作り手は映像コンテンツでのサウンドとは違った演出を考えなくてはなりません。一方、聴き手は一つ一つのサウンドから自由にイメージを膨らませ、登場人物の表情や仕草、そして登場人物の周りに広がる風景を自由に思い描くことができます。時には、自身がその場にいるような臨場感を味わうこともあるでしょう。
本研究はオーディオドラマのうち、聴き手が登場人物に語りかけられているかのように進行する作品を対象に、その中での音響演出の手法を調べるものです。「聴き手が登場人物に語りかけられているかのよう」な作りのオーディオドラマを指す用語が無いため、ここでは「POV(Point of View)ショット型オーディオドラマ」と名付けました。「POV(Point of View)ショット」とは、もともと映画において、カメラの視点と登場人物の視線を合わせた撮影手法を指す用語です。観客がその登場人物になったかのように感じさせる効果があり、作品への没入度がより高められます。
発表を終えた宮園さんのコメントを紹介しましょう。
私は今回、「POVショット型オーディオドラマにおける恋愛シーンの音響演出分析」というタイトルでポスター発表を行いました。
本研究では、「自分に語りかけている」ような形式のオーディオドラマにおいて、どのような音響演出が施されているかを分析するための知的基盤の形成と、その体系化を目指しています。
学部3年後期からこれまでの約2年半、この研究を続けてきましたが、研究目的につながるようなデータがようやく揃い始めたことから、専門分野でない方にも理解いただけるような発表ができた手応えを感じています。
最終的に良い成果が残せるよう、今回の発表を踏まえて今後さらに精進していきたいと思います。
今回は「恋愛シーン」を分析対象としましたが、1つの作品の中でのさまざまなシーンを分析することで、作品全体がどのように構成されているかが見えてくるかもしれません。今後の研究に期待しています。
(伊藤謙一郎)
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