4年生が「日本デジタルゲーム学会」でゲーム音楽に関する研究発表を行いました
2019年3月26日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース
メディア学部の伊藤謙一郎です。
3月3日(日)~4日(月)に岡山理科大学で開かれた「日本デジタルゲーム学会」第9回年次大会で、私の研究室の4年生、佐藤初心さんが「「場所の音楽・状況の音楽」の二重機能性を考慮した分析楽曲選定手法に関する検討 -『テイルズオブジアビス』の分析を事例として-」と題して研究発表を行いました。
音楽やサウンドによってゲームの迫力や臨場感、楽しさは全く違ってきますよね。特にストーリー性を伴うRPGでは、キャラクターの心情やシーンの状況をプレイヤーに印象付ける重要な働きがあります。
この研究では『テイルズオブジアビス』を例に、ゲームに付与されている音楽を「場所」と「状況」の2つの観点で捉え、その両面を支える機能を持つ楽曲をゲーム内から抽出することを試みています。研究題目に「分析楽曲選定手法」とあるように、ここでは「楽曲の分析」をするのではなく「分析する楽曲を選ぶ方法」を検討しています。そして、得られた結果の妥当性を検証することで、ゲーム音楽の分析に必要なプロセスを見出そうとしています。
以下は、発表を終えての佐藤さんからのコメントです。
私がこれまでに参加した学会発表はポスター形式でしたが、今回のDiGRA JAPANでの発表は口頭によるもので、しかも1年半にわたる研究の全ての工程を網羅するものとなったので、大幅に内容が増えて準備が大変でした。
実は、口頭発表の資料は発表直前まで作成していました。私の発表が2日目の最後ということもあり、すごく緊張しました。また、私の前の発表者は、どの方もこの分野の専門の先生ばかりだったのも緊張した原因の1つでした。発表後の質疑では、自身の意図をあまりうまく伝えられず心残りもありましたが、発表を無事終えたことで安心した気持ちの方が強かったです。
諸事情で心の余裕があまりないまま、数日間で発表資料を急ピッチで作成することになったのですが、ここまで来られたのは正直、奇跡と思っています。この発表にたどり着くまで、たくさんの方々にいろいろと助けていただきました。私一人では途中で諦めてしまい、きっと発表まで辿り着けなかったでしょう。それも一つの選択肢でしたが、その道を選択しなかった自分がいることをかみしめるとともに、諦めないで良かったと今は心の底から思っています。
ゲームに関する学術的な発表はどれも強く興味をそそられるものでしたが、そのほかでは基調講演をされた方の刀の話がとても楽しかったです。私の推し刀の一振りが備中青江派の元大脇差なので、刀の話はとても勉強になりました。今度、岡山に行くときは、「青江の太刀」を鑑賞しに林原美術館に足を運びたいと思います。
ゲーム音楽は多種多様でその数も膨大ですから、それぞれの楽曲の性質をあらかじめ把握しておくことで、分析の効率化や精度の向上が期待できます。こうした地道な作業の積み重ねが、作曲者やゲームクリエイターの創意の一端を知る手がかりとなるかもしれません。
(伊藤謙一郎)
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