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続・ニューヨークタイムズにまつわる話

2019年4月27日 (土) 投稿者: メディア社会コース

皆さんこんにちは、着任2年目の森川美幸です。

先日、私の研究室のニュース(ブログ)ページに、「ニューヨークタイムズにまつわる話」と題し、米ニューヨークタイムズ社が刊行している雑誌媒体についての記事を載せました。

その記事の最後に、もうひとつニューヨークタイムズにまつわるネタがある、と書いていたのですが、その話について、こちらのブログの方に書きたいと思います。

皆さんの中にも、ツイッターやインスタ、YouTubeなど、いわゆるSNSや動画投稿サービスを利用して、情報発信や作品発表をしている人は多いのではないでしょうか。

インターネットの普及で、昔はメディア企業にしかできなかったマスへのコミュニケーションが、個人でもできるようになったことは、メディア文化史において革命的な出来事でした。

一般人ながら何千人、何万人のフォロワーを持ち、人気者になっている有名ユーチューバーやインスタグラマーもいますよね。

これはもちろん日本だけの現象ではなく、世界中に起きていることです。

 

近年、北米で注目されているひとりの詩人がいます。

彼女の名前はルピ・クーア。

今年27歳になる、インド系カナダ人女性です。

2014年に刊行された初の詩集『ミルクとはちみつ』(日本語版も出ています)は全世界で250万部を売り上げました。

この出版不況の時代に、詩集が250万部も売れるというのは、驚異的なことです。

このルピ・クーアが人気詩人になったきっかけが、何を隠そうインスタグラムだったのでした。

そう、彼女はインスタで自分の作品を発表するインスタ詩人だったのです。

自分で描いたイラストや、セルフポートレートと共に投稿される、恋愛や失恋や性に関する強い感情がこもった彼女の詩に多くの人が共感し、インスタフォロワーは350万人を超え、今も増え続けています。

彼女の詩は一編一編が短いですし、使っている単語も難しくはないので、英語が苦手な人も一度彼女のインスタを見てみるといいかも知れません(@rupikaur_)。

ここで、ニューヨークタイムズとの絡みに戻るのですが、私の手元に彼女の最新詩集『the sun and her flowers』がありまして、そのオビに“#1 NEW YORK TIMES BESTSELLER”の文字が踊ってるわけですね。

 

  Img_9849 Img_9850    

 

ニューヨークタイムズのベストセラーリストと言えば、出版業界の中でも非常に権威ある書籍ランキングなのです。

音楽チャートでいうビルボードのランキングみたいなものです。

そこで1位、ということは、本当にすごいわけです。

インスタから出てきた、20代の詩人が、ニューヨークタイムズのベストセラーランキング1位を取れる時代。

 

しかし待ってください。

インスタを見て、熱狂的に彼女を支持しているフォロワーは若い人中心なのではないか?

デジタルネイティブ世代が、果たして紙の本をそんなに手に取るものだろうか。

だとしたら、彼女の出版された詩集を手に取っているのは中高年齢層?

でも、20代女性の愛と恋の葛藤が描かれた詩を、好んで読む年齢層ではないのでは??

皆さんはどう思いますか?

ルピ・クーアの詩集を買っているのは誰なのか。

ネット時代の今、紙の本や雑誌の読者とは、一体誰なんでしょうね。

 

(メディア学部 森川 美幸)

 

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