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フローラ逍遥(本の話)

2019年4月29日 (月) 投稿者: メディア技術コース

「フローラ逍遥」というタイトルの本があります。著者は澁澤龍彦です。様々な花をひとつづつ挙げて、植物画とともにそれにまつわるエッセイを書いたもので、非常に綺麗な本でもあり、花を題材として文章をまとめるという視点が面白く、好きな本です。ちなみにフローラ(flora)とは大雑把にいって植物全般を意味する言葉(動物はフォウナ:Faunaといいます)で、逍遥というのは気ままに歩くことを意味します。いろいろな植物(花)を巡って、そぞろ歩きのようにそこから感じたり思いついたことを書き留めたというイメージが喚起されて、簡潔でありながら本のイメージを的確に表現していて格好いいタイトルです。

 

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さて、そんな本にあやかってではないですが、先日タイに行ったときに面白い花をみかけたので写真を撮ってきました。形が面白いのもありますし、色も花が真っ白で、緑の葉を背景にして非常に綺麗です。これはなんだろうかと帰ってきてから調べてみました。昔であれば、植物図鑑を端からずーっと眺めて見つけ出すか、詳しい人を見つけて聞くなどをしなければならなかったと思いますが、今では画像をGoogle検索にドロップするだけであっという間にでてきました。スパイダーリリー(Spider Lily)という花で、学名は Hymenocallis caribaeaとあります。学名(caribaea) からわかるようにカリブ海地方が原産の花のようです。Spiderは蜘蛛で、Lilyは百合ですから、蜘蛛百合ということですね。なるほど、細い花の部分が拡がっている様子が蜘蛛の足のように見えます。ただし、この名前を知るまで、この綺麗な花から蜘蛛は想像しませんでした。

 

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さらに和名として、ササガニユリ(笹蟹百合)とあります。ササガニとは何ぞや?と思い、これもネットで検索してみたところ、以下の画像のようなカニがヒットしました。

 

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うーん、足の拡がりが似ているように見えるだろうか?そもそもあの花を見て思いつくほどササガニって有名なの?と疑問が沸き起こりました。ということで、さらに「笹蟹」を調べてみると「笹蟹とは蜘蛛の古名」とあります。なんと、笹蟹とは蜘蛛のことで、結局、蜘蛛百合を別の呼び方をしているような名前だったのですね。ちなみに、笹蟹で検索すると、笹蟹や笹蟹丸という名前のサボテン?(多肉植物)の画像が沢山でてきます。これも、細長い葉?のような部分が沢山外側に伸びているようなものでした。

 

ネット上の情報の逍遥をしてみたという感じですが、今ではすぐに情報が見つかって、関連の情報を次々と辿ることができます。それらを一つの繋がったものとして見ることが簡単にできて、なかなか面白く感じる散歩になりました。ただ、この花に関連して何かエッセイの題材を思いつくことはできませんでした。あまり、花やカニや蜘蛛に関連した知識や体験が無いのです。いくつもの花をとりあげそれぞれに何か思い浮かぶような教養を改めて感嘆しましたが、デジタル技術でそうしたものの一部が補完できる過程を体験できたように感じました。

 

太田高志

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