得意なことを見つけよう
2019年4月 4日 (木) 投稿者: メディア技術コース
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
メディア学部は1999年に設立されましたので、皆さんは第21期生ということになります。
メディア学は幅広い分野にまたがっています。本学部での多彩な授業から主体的に選択し、進路をじっくり考えながら自分の専門分野を決めてください。
具体的なお話は来週から始まる講義のひとつ「メディア学入門」などでもする機会があります。今日は、少し一般的に自分の専門、あるいは天職を見つけるという観点での意識について話します。
皆さんは小さい頃から「好きなことを見つけましょう」と言われることが何度もあったと思います。私も結果的には同じことを言いたいです。大学には「皆さんが好きになれるはずのこと」は無数にあるはずです。
そのような「好きなこと候補」は必ずしもわかりやすい姿で皆さんの目の前に現れるわけではないです。最初の一瞬から「これが自分の好きなことだ」となることがらもあるかもしれませんが、それにばかりとらわれると実は一番才能に合っていることがらを見過ごしてしまう危険があります。「一目ぼれの好き」と「才能」は一致するとは限らないのです。
そこで、好きなことを見つける手段として、ぜひ皆さんには、自分の得意なことを見つけるようにしてほしいです。何か他の人と同じ課題や仕事や作業に取り組んだとき、普通にやったつもりなのにほかの人よりも早くできた、あるいはうまくできた、ということがこれからあるはずです。そういうときに「これって自分の得意なことかも」と敏感に感じ取ってほしいのです。それが自分の好きなことかどうかはとりあえず置いておきます。
好き嫌いはわからないけど得意、ということがらに出くわすことはあるはずです。そのときに、好きというわけじゃないから、という理由でスルーしないことが肝要です。そのことがらにまた取り組んでみてはどうでしょうか。ほかの人が口をそろえて「すごい大変だったよね」と言っているのに自分は簡単だったと思ったとしたら、得意なことである確率は高いでしょう。別の言い方をすると才能があるかもしれないということです。
ほかの人ほど努力しなくてもより良い結果が出るのであれば、だんだんそのことがらは楽しくなっていきます。得意なことは、最初は好きかどうかに関わらず、いずれ好きなことになる確率は大きいといえます。そうなれば「好き」と「才能」が一致します。
才能があるというのはプロとして標準以上に通用する、と言っていいでしょう。大学生活の中で得意というぐらいでプロとして通用するわけでないのはもちろんです。でも、同じ年代で同程度の学力の人たちの中で抜け出ているということがらは、社会に出てから切磋琢磨したときも標準以上の才能として開花する可能性大です。
もう一つ、得意なことを見つける効果的な方法は、人から褒められたときを見逃さないことです。その褒められたことがらを自分なりに分析してみましょう。
私はエンジニアとしてサラリーマンをしていたころ、お客さんのいかにも学者然とした大学の先生から「あーたは学者タイプだからね」と言われました。よりによってこの人にそれを言われるか、と思いました。その先生は皮肉を込めておっしゃったのだと思われます。しかし、考え方を変えれば、たとえ皮肉でも、いかにも学者の人から学者タイプと言われるのは最高の誉め言葉ではないか、と思うようにしました。少なくとも自分は学者になってもおかしくはないのだというイメージは持てました。そして今は学者のはしくれにはなっています。
今言った方法の裏返しですが、友人が何かすごいと思ったらそのことを口に出して言ってみることです。できれば本人に対して直接がいいですが、やりにくければだれかほかの人に話してみましょう。そしてそういう話を聞いた人は、ぜひ本人にそれを伝えてください。
そうやってお互いの得意なことを指摘し合えるような学部になっていけば、多くの人が好きで才能もあることを見つけやすくなると思います。
メディア学部 柿本正憲
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