メディアの基礎としてのコンピュータ
2019年6月30日 (日) 投稿者: media_staff
技術コースの羽田です.
今日は1年生むけの講義科目,「システム基盤技術の基礎」についてのお話です..
この科目は1年生にむけて,コンピュータとインターネットを中心とした「システム基盤」についての基礎知識を学ぶという科目です.コンピュータサイエンスの基礎にあたる内容のうち,メディア学部らしいトピックに関連するようなものを抜き出して行っています.
現在は,前半のコンピュータの仕組みについての話がおわり,最後のトピックであるインターネットとその応用についての授業が行われています.
先週の授業では,インターネットの歴史について簡単に話をしました.
今の学生くらいの年齢の人たちには信じられないかもしれないのですが,四半世紀つまり25年ほど前には,インターネットは未だ「誰もがつかえる」ようなものではなかったのです.実のところ携帯電話もちょうど存在が知られるが手に入りにくいものだった頃ですね.私も大学院でコンピュータの研究をしていなければインターネットに触れることはなかったでしょう.多くの家でインターネットが使えるようになっていくのはこのあとしばらくたってからになります.
インターネットの歴史で一番誤解を生んでいる話といえば,「インターネットと核戦争」の話です.もともとインターネットの祖先にあたるARPANETというネットワークはアメリカ国防総省の高等研究計画局というところが資金を提供して,複数の大学や研究所で開発された技術です.
この「国防総省」という言葉と,ARPANETの始まった1969年(アポロ11号が月に行った年ですね)という年から「核戦争」という言葉が強く連想されたようです.しかしながらこの説は多くの当事者から否定されており,インターネット=核戦争を生き抜くためのネットワークである,というのは都市伝説にすぎないようです.
この国防省が主導してはじまったネットワーク接続のプログラムは有効性が知れるにつれ,多くの研究所や大学が加わるようになってきましたが,軍のネットワークに直接接続できない人たちも数多くいたようです.
そこでアメリカ国立科学財団(NSF)というアメリカの科学技術振興のための組織が資金提供をはじめ,CSNETやNSFNETと呼ばれるネットワークが整備されます.これらが元となって現在のインターネットは始まりました.日本のインターネットもこのNSFNETに1989年に接続されて世界と繋がるようになりました.
インターネットは今では世界中でなくてはならない社会基盤の一つとなりましたが,その歴史は浅いものです.
今後もますます発展するであろうインターネットとそのサービスはメディアにとっても欠かせないものとなっていくことでしょう.
(羽田久一)