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ギャンブルのヒントになるかどうか

2019年6月20日 (木) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

 

先日の「音響コミュニケーション論」では、独立成分分析という手法を紹介しました。この手法を使うと、例えば複数の楽器を演奏している音を複数のマイクで録音すると、それぞれの楽器の音を取りだすことができたりします。この手法の鍵となるのが「独立性」という概念なのですが、これがなかなか難しい概念で、数学が苦手な人にこれをどうやってわかってもらうかが、悩みどころです。

 

悩んだ末に、こんな例を考えてみました。まずは以下の表を見てください。

 

A 3 1 3 1 1 1 3 2 1 2 3 2 2 2 1 1 1 3 1 3 1 3 2 1 2 3 1 1 1 2
B 3 4 2 1 4 4 2 3 1 3 3 2 3 2 4 4 1 2 1 3 4 3 2 1 2 3 4 1 1 2

 

あるカジノに、1から4のどれかが出るルーレットがあるとします。上の表のA行は、ディーラーが「今から○の目を出しますよ~」と言って宣言した数字です。そしてB行は実際に出た数字です。さて、A行とB行には何らかの関係があるでしょうか?

 

少し統計学を学んだことがある人は、こういうときに、A行とB行の相関係数を求めます。Excelでも簡単に計算できますが、やってみると0.037というとても小さな値になりました。だから関係は無い、と結論付けた人は、残念ながらこのギャンブルには勝てません。

 

もう少し注意深い人は、上の表をよく見ると、AとBの間の関係性に気付くはずです。例えばディーラーが1と言ったときには、ルーレットの目は1か4のどちらかです。他の数字でも同じような関係があります。この関係に気付いた人にとっては、ディーラーの宣言を聞くことはとても有益です。2回に1回は当たるはずですから、仮に当たりのオッズが4倍だとすると、ボロ儲けですね。

 

こんなふうに、片方の値の予想をしたいときに、もう片方の値が役に立つかどうかというのが、独立性の定義です(役に立たないときが独立、役に立つときは独立では無い)。そして、取り出した2つの音の独立性を計算できるようになると、独立成分分析による音の分離が可能になるというわけです。

 

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