タイピングの話
2019年9月10日 (火) 投稿者: メディア技術コース
大学の1年生の前期には「情報リテラシー演習」という、大学の授業あるいは将来必要になるであろうIT関連の基礎知識をトレーニングする演習が用意されています。この演習を担当していると昨今の大学生のコンピュータースキルの変化も分かって興味深い面があります。
授業前にアンケートを行って各学生がどの程度のパソコンの習熟度があるかを調べるのですが、近年はパソコン教育も充実して使い慣れた学生ばかりになっている…かと思いきや、逆にスマホなどの普及によってパソコンを日常で使う習慣が薄れてきているような印象を受けます。そうですよね、スマホがあれば大抵のことができるので、わざわざパソコンなんて使わないのです。
ちなみに、パソコンを持っている人へのアンケートをしたところ、「パソコンでメール操作を行うか?」という項目では、メールを扱う学生はパソコン所有者の43%に留まる結果になりました。現代の若者はメールより身近なLINEなどのツールに流れているようです。
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さて、パソコンの一番のハードルとして四苦八苦するのがタイピングです。大学1年の「情報リテラシー演習」では、タイピング練習も必須になっています。パソコンに普段触っていないと訳が分からないのがこのキーボードのキーの並びですね。
1980年代のSF映画を見ているとしきりに未来のコンピュータの仕様として、音声で命令というのが出てきます(あとよくわからないチカチカ点滅するランプも)。映画「スタートレック4/故郷への長い道(1986)」の中では、80年代に戻った未来人が、パソコンの操作インターフェースを見て、音声入力が無いのに驚き、キーボードを見て「なんて原始的な」と面白がってタイピングをする様子もあります(未来人は習わなくても、さくさくキーボード打てるのです)。この映画の製作から30年以上経っていますが、いまだにパソコンの操作はキーボードです。
文字を印字するタイプライターの発明自体は19世紀中ごろですが、商業的に量産され始めるのは20世紀初めくらいで、この時、タイピングの効率化を図るために、1882年に作られたQWERTY配列のキーボードが使用されます。このキー配列は上段にAIUEOの母音を配置し、残りを“アルファベット順〟に中段左から右に、下段右から左に並べたもので、さらに当時の年号19XXや18XXが打ちやすいように数字の8,9の近くにIを配置(数字の1と兼用)したり、モールス信号の翻訳結果を打鍵しやすいように似た符号のZ,S,Eが並んだり(さらに下段からTQPRYが上段に)、という経緯で現在の並びになっています。一見、キーの並びはランダムに見えますが中段は左から右、下段は右から左にある程度アルファベット順に並んでいるのが観察できると思います。決してランダムというわけではないのです。
タイピングの速度は早い人は1秒間に25打鍵!くらいできるようなので(1分間に25×60…)皆さんも頑張ってその域に達するように心がけましょう。わたし?私はいまだにキーボードを見て打っている派です。
…と、この記事を書いていたら、“脳波でタイピング〟をする技術のニュース記事が目に留まりました。(ソースはこちら)
天津大学の大学院生の方が1分あたり691.55バイトの情報伝達速度を記録したとか(そして、普通の人のスマホ操作が1分に600バイト程度とか)。もっとも、打鍵には結構集中力が問われるようなので、まだまだ思っただけで簡単に文字が打ち込める世界は遠いようです。
(以上 文責:1年次「情報リテラシー演習」担当 永田)
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