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日本認知科学会第36回大会の紹介(2)

2019年9月 7日 (土) 投稿者: メディア技術コース

今日の午後のオーガナイズドセッションの紹介(榎本)

 

7日午後からは,いろいろな大学の先生が企画したオーガナイズドセッションというものが開催されます.こんな発表を募集します,こんな議論がしたいです,というような企画を自由にしてよいというものです.午後一には次の4つが開催されます.

 

OS06「新しい認知科学には何が必要か(諏訪,青山,伝)

情報処理モデル

・心の内側を

 ・知識を格納

 ・世界情報に対して知識を適用

 ・計画,アイデア,仮設を得る

と表現

・環境は心に相対する存在

 

情報処理モデルの限界

Representation をづてkぃな物事としてとらえていない

  ーRepresentation :世界を動見るか,どういう側面に着眼するか

CF. 認知の本来のあり方(状況依存)

 ・知覚は受動的ではない.自己,心の状態,行動に応じてその場できまる.

・身体を持たない(身体性を扱えない)

 

これまでの認知科学は「科学」にならんとするあまり,上記をあまり使ってこなかった

近代科学の普遍性,客観性,論理性を重視

⇔ 生きるということ

・「私」が世界の中で行動し,世界を捉える(身体性)

・「他」に出会い,「影響を受ける」

実践の場に出た研究者はその実践の対象をどのように記述すべきか?

 

他者の研究成果をどう理解すべきか?

 -> 臨床的な(物語的な)理解をすべき

個別具体の物語として,そのエッセンスを「味わう」

 ⇔ Cf. 普遍的な/検証された知見やモデルを求める

 

 

OS08プロジェクションの理論とモデルへ向けて(島田,久保,川合)

モノマネやカリスマ,フリ遊び,物語,自己イメージ的な「プロジェクション(投射)」という概念を用いるとうまく説明できる現象は何かを中心的テーマに取り上げ,プロジェクションの理論とモデルの構築を目指します.

投射とは

・トップダウンの予測=投射

・双方向的

・単なる知覚ではない,主観的「意味」を帯びた世界

Projected Reality = 世界と内部モデルが混合した主観的経験としての「世界」

 

うまく説明できそうなこと

・なぜ我々は墓石に対して経験な気持ちをいだくのか?

・なぜスポーツ選手やカリスマに鉄橋的な応援・支持をするのか?

・なぜなにもない所に人の気配を感じるのか?

・なぜ小説は読むたびにその印象が変わるのか?

・なぜ人類は神々を生み出したのか?

 

身体的投射と物語的投射

Gallagher(2000)

・身体的自己(minimal self)

    ー身体所有感

 ー運動所有感

 「現在】における感覚運動的な自己感

・物語的自己(narrative self)

ー時間的に拡張した自己の一貫性

ー人生の連続性を感じさせるには「物語」が有効

 

 

OS09 ゲーム研究の新展開と認知科学(伊藤,松原,山本,狩野,大澤)

Deep Blue vs カスパロフ(1997)

AlphaGo vs 柯潔九段(2017)

Ponanza vs. 佐藤天彦(2017)

 

古くからゲームを題材とした思考(問題解決,学習)研究が行われてきた

ーパズルや4枚カード問題

ー囚人のジレンマなどのゲーム理論

ーチェス,将棋,以後などの二人完全情報確定ゲーム

ー麻雀,カードゲームなど

 

1997年から今日までの20

1997年:コンピュータチェス Deep Blue(IBM)がカスパロフ氏に勝利

1997年:ロボカップサッカー大会

1998-2001年:さきがげ「情報と知」将棋プロの熟達化の研究

2006年 コンピュータ将棋:Bonanza

2006年 コンピュータ以後 モンテカルロ木探索の登場

2017年 コンピュータ将棋 Ponanza

2017年 コンピュータ囲碁 AlphaGo

新しい機械学習手法の登場で人工チノが扱えないとされてきた問題が解決可能になる

この後の課題

  1. より複雑なゲームをプレイする人言の認知過程(人狼,ロボカップ,カーリング)
  2. 賢くなったゲームAIと人間の新しい課題(人間らしさの変化,価値観(美意識)の変化)

 

OS10 言語コミュニケーションにおける階層性と意図共有の統合:人間性の進化的理解へ向けて(橋本,小林,岡ノ谷)

 

階層性

人間言語の特質

例) 大きな 縞々の 服

     ー大きな縞なのか大きな服なのか?

概念構築物の形成

 

意図共有

・人間のコミュニケーションの特質「相手が実現したい状態(意図)を理解し,自分もそれを実現しようとすること,相手も自分がそれを実現しようとしていることを理解すること」共になにかを成す

 

言語の起源,コミュニケーションの進化

 

人間の進化的理解へ

 

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