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2019年11月

メディア学部 研究紹介動画の撮影

2019年11月30日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

こんにちは。コンテンツコースの椿です。

東京工科大学公式ホームページでは、メディア学部をより深く理解してもらえるように、多くの動画を公開しています。こちらからご覧頂けます。研究紹介、実学紹介、学部・コース紹介の3つに分類して掲載しています。

研究紹介に追加する新しい動画を作るために、先日、撮影を行いました。学生のみなさんが、最新の研究成果を紹介する動画です。撮影中の様子を写真に撮りました。

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カメラの前に立つと緊張するのではないかという私の心配をよそに、みなさん伸び伸びと話していました。公開に向け、これから編集作業が行われます。ユニークな研究が盛りだくさんです。どうぞご期待下さい。

17th ADADA 2019

2019年11月29日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさんこんにちは.メディア学部助教の兼松です.
今週(11/26〜11/28)はマレーシアでADADAという国際学会が開催されました.

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この学会に東京工科大学からはメディア学部の近藤先生,大渕先生,太田先生,私,学生数名,そしてデザイン学部から松村先生が参加しました.
それぞれの研究発表については,また別途掲載してくださると思いますのでそちらをご覧ください.

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会場はManagement & Science University (MSU) という大学で,校舎はまだ新しく綺麗で,活気にあふれたとても素敵な大学でした.

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キャンパスにはこの写真のような水路があって,魚がたくさん泳いでいました.
今年の日本は夏から冬の気候に変わる時期がわかりづらく,私はマレーシアに向けて出発する直前くらいに冬服に完全移行するかしないかといった感じでしたが,マレーシアは思っていたほどではなかったものの,とても暑いです.
そんな中,MSUの学生さんたちはこの水路の周りで座って軽食をとっていたり,雑談していたりしていました.涼しげで良いですよね.
また,マレーシアは今の時期は雨季だということで,日中も激しい雨が降っては止み,降っては止みを繰り返す日が多いです.

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学会自体も様々な国から参加者が集まり,多くの研究発表や交流が行われました.
メディア学部の近藤先生は,ADADA会長としてオープニングセレモニーで登壇されました.
私も研究発表しましたので,また後日ご紹介します.

(メディア学部 兼松祥央)

バンクーバーのオススメは中華?(IEEE VIS2019)

2019年11月28日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

もう、1ヶ月ほど前になりますが、可視化の世界最大の国際会議(IEEE VIS2019)に参加してきました。
基本、アメリカ国内での開催なのですが、今年は、お隣カナダのバンクーバーでの開催でした。

海外に行ったら、まず、名物は何だろう?と調べますが、検索しても、メープルシロップばかり出てきます。
そこで、現地の人に聞いてみたところ、「中華料理と日本料理がおいしいよ。」と。
カナダなのに、中華?と思いましたが、聞いてみると、中国への香港返還後にたくさんの人が香港から移住してきたとのこと。
日本と同じく、タピオカ屋さんもたくさんありましたよ。

さて、本来の目的である可視化の国際会議IEEE VIS2019ですが、アメリカのInstitute of Electrical and Electronics Engineers (IEEE)が主催しています。ちなみに、IEEEは、アイ・トリプル・イーと読みます。
世界中の様々な分野の可視化研究者が一同に介する重要な国際会議です。
私が、最初に参加した1997年はあるホテルを会場として、3部屋のパラレルセッションで400名程度の参加者だったと記憶しています。
今年は、コンベンションセンターを会場として、5~8部屋のパラレルセッションで参加者も1164名でした。3倍近く増えてますね。

海外からは多くの学生が発表をしています。しかし、残念ながら日本からの採択はほとんどありません。
具体的な研究の話は、ちょっと難しくなってしまうのでまたの機会にしますが、このような国際会議で発表できるような研究が学生のうちからできるといいですね。

(文責:竹島)

ポーランドの美術大学 その3

2019年11月27日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

コンテンツコースの佐々木です。

このシリーズを読んでくださって、
Dziękuję! (ジンクイエ= ありがとうございます!)

今日は、ポーランドのシレジア地方にある、シレジア大学の芸術学部での授業についてお話します。この芸術学部には、ビデオ・ゲーム アンド バーチャル・スペース・デザインというコースがあって、私はいまこのコースの短期教員として滞在しています。

ポーランドの美大生に対して、私の授業内容が受け入れてもらえるかどうかドキドキです。特に今日はワークショップ(メディア学部でいう『演習』ですね)なので、学生さんたちが、ちゃんと作品を作ってくれるのかどうか心配です。

課題は「現代の妖怪をつくる」です。





ゲームキャラクターの「ポケモン」や、アニメの「妖怪ウォッチ」のデザインは、実は江戸時代に遡って「妖怪」が創り出されたプロセスに似ているのです。そこには、いろいろな法則性があって、スライドでは以下のようなカテゴリーに分けてみました。




1番のモノ妖怪というのは、付喪神絵巻に出てくるような「古くなったモノたちが化け物になる」というパターンです。2番の動物妖怪は、江戸時代に河鍋暁斎が描いた浮世絵にでてくるような、化け猫や魚たちのキャラクターです。

3番以降はちょっと難しいですよね。3番の怨霊というのは、たとえば「北野天神絵巻」に登場する菅原道真の怨霊などで、4番は「風神雷神」や「龍神」のようなキャラクターです。5番の例としては、蓮華王院(三十三間堂)の、千手観音の眷属たちなどにインスピレーションを受けたものです。

実は、これに加えてもっとコワいものもあります。江戸時代の奇想の画家、曾我蕭白が描く、狂った人間などなのです。これはほんとにコワいですよ、生きてるんですから。

さて、これらの事例を見てもらって...
ポーランドの美大生のみなさんに、現代の妖怪をデザインしてもらいましょう。
制限時間は2時間です。




おお!君はもう5つも妖怪を作ってしまったの!
速すぎるー。しかも上手ですね。



ええー! あなた、これを30分で描いたんですか。脱帽です。



彼女は、結局2時間で、3枚も作品を仕上げました。びっくりです。



彼は「楽器妖怪」を作成中... すごい集中力で作業しています。



これは「ソーシャル・フォービア」という名前の妖怪だそうです。
つまり、SNS中毒になってひとつの固まりになってしまった人間たちです。
うん、これは新しい妖怪だ!

ところで...
今日ご紹介した学生さんたちは、実はまだ1年生です。
この9月に入学したばかりで、まだ大学生活は1ヶ月ちょっと。
なのに、このスピード、この集中力、このうまさ。
私としては、ほんとにびっくりの結果となりました。


シレジア大学とメディア学部との間では、今後も教育的な提携が続きます。
学生や教員による相互の訪問やゲームジャムなど、交換留学プログラムなどが行われる予定です。
高校生のみなさん。メディア学部に入学して、ぜひ海外留学にも挑戦してみませんか?

それではみなさん、Do widzenia!(ドゥビゼーニャ=さよなら)



この記事は、コンテンツコース・佐々木が担当しました。




ポーランドの美術大学 その2

2019年11月26日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、Dzień dobry!(ジンドブレ=こんにちは)
コンテンツコースの佐々木です。

さて、昨日にひきつづきポーランドのシレジア大学からご報告です。
前回の学部ブログにも書いたように、今回のように2週間ものあいだ外国の大学で授業をするなんて、私にはまるで未経験のことですので、本当にドキドキしながら準備をしてきました。いったいどうなることでしょう?



さて、いよいよ一日目の授業開始です。
さすがに私も緊張気味で、おそるおそる自己紹介などを始めています。

Przedstaw się (プセツダーブ ジェ=自己紹介)
うーん、なんかみんな冷ややかな反応...
いきなり、すべってしまったかも?



それなら、これはどうだ!

ウルトラマンを取り出したら...
おお、一気に受けました!

今回の授業は、日本美術と日本のキャラクターとの関係なので、講義の中でも怪獣やウルトラマンが大活躍します。こちらの学生さんも怪獣は大好きのようです。





それから「鳥獣戯画」!
11世紀の「付喪神絵巻」とならんで、まさに、日本の漫画文化の原点ですよね。
うさぎやカエルが相撲をとったり、みんな可笑しくて笑ってくれてます!

おかげでやっと、みなさん話についてきてくれたので、話を進めることができました。
古代の仏教彫刻のスタイル変遷を紹介したり、日本の絵巻物のいくつかを解説したりしつつ、これらの中からいかにして、現代のアニメやゲームのキャラクターが生み出されてきたかと解説しました。

なんと、みなさん、本当に熱心に聞いてくれました。
初日の午前中の授業をなんとか無事に終えて、私もやっと安心しました。
これならば、ポーランドの大学での授業も進められそうです。




次回は、この授業内容をベースにした、ワークショップの様子を紹介しますね。
学生さんたちが作った作品もご紹介しますので、お楽しみに!



この記事は、
コンテンツコースの佐々木が担当しました。



ポーランドの美術大学 その1

2019年11月25日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさんこんにちは!
コンテンツコースの佐々木です。

私はいま、ポーランドのシレジア地方にある、シレジア大学・カトヴィツェ校の芸術学部来ています。この学部の「ビデオ・ゲーム アンド バーチャル・スペース・デザイン」というコースの学生にむけて、授業やワークショップを行うためです。

この学部とメディア学部は、2017年より教育的な提携を結んでいて、これまでもさまざまな交流が行われています。教育内容もメディア学部のコンテンツコースにとても似ていて、まさに兄弟のような学部だと思います。

普段、私がメディア学部で行なっている教育的な手法が、ここでも活かせるかどうか不安です。教員としての腕試しのようなところもありますので、私自身、ドキドキ緊張しながら準備を進めて来ました。使用する言語はもちろん英語です。ポーランドに滞在していると、街中で英語が通じる確率は30%くらいな感じがします。タクシーやスーパーのレジなどでは、ほとんど通じません。この大学の教室では、一体どれくらい英語で通じるのでしょうか?




シレジア大学カトヴィツェ校の入り口です。
はじめから圧倒されてしまいますね。

今回の授業とワークショップのテーマは、"Quest to Japanese Traditional Game World"としました。こちらの学部は、芸術学部というだけあって、まさに「芸術」が中心なので、私の授業やワークショップも、日本の美術史を基本として、その中で現代のコンテンツデザインに活かせるようなテーマを選んでみました。

今週のテーマは「日本の美術史から生まれた妖怪」です。日本では7世記〜8世紀の古代に仏教の伝来があり、その後日本の彫刻美術は飛躍的な発展をとげました。それがいずれ、11世紀ころから、日本的な解釈が中で絵巻物などの形で生まれ、ジャポニズム的な芸術に引き継がれていきます。「ポケモン」や「妖怪ウォッチ」に登場するキャラクターは、その後江戸時代に花開いた、自由で発想豊かな絵画芸術にそのルーツを見ることができます。

でも、一体こんなにムズカシそうな固い話をしても、ポーランドの学生さんたちに通じるのだろうか? 教える言葉も英語で大丈夫だろうか? 歴史のあるポーランドの美術大学の学生さんって、一体どんな感じなのだろうか...  教えるほうの私が、ドキドキしていてはいけませんよね。

さて、このポーランドでの授業とワークショップ、いったいどんなことになるでしょう?
次回のブログで、続きを報告いたしますので、お楽しみに!



コンテンツコース・佐々木が担当いたしました!





[シリーズ難聴-10]ICTを活用した聴覚障害者支援

2019年11月24日 (日) 投稿者: メディア社会コース

今回で「難聴シリーズ」の連載も最後となります。10月から新しく始まったメディア専門演習「聴覚障害理解とコミュニケーション支援」では、「聞こえないフィールドワーク」「指文字と手話の習得」を通じて、聴覚障害者の気持ちを少しでも理解する努力をしました。特に、耳栓をして手話で会話をした際には、慣れない視覚のみのコミュニケーションだと不安になることを実感しました。私たちの社会は聞こえることを前提に設計されていますので、聞こえにくい方の立場を少しでも理解できたのではないでしょうか。また、技術の進歩により補聴器や人工内耳が普及していることも学びました。しかし、健聴者と同じように聞こえる訳ではなく、雑音下や複数による会話の際には苦労があることも知りました。

メディア学部の学生としては、ここからが重要な演習となります。大学で学んだ情報工学を生かして、聴覚障害者にどのような支援が出来るかを提案してもらいます。そこで、まずは現在どのような支援が実現されているのかを2つご紹介します。

<会話のテキスト変換>
聴覚障害の学生が大学で授業を受ける際に、ノートテーカーと呼ばれる学生が先生の話をパソコン上でテキスト変換する支援があります。これを音声認識技術を使って自動的に行うアプリがあります。

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図:会話の見える化アプリ「UDトーク」

このアプリがあれば会話をリアルタイムに文字化して表示することが出来るので、聴覚障害の方への情報保証が可能となります。このアプリには翻訳機能もあるので、聴覚障害者への支援だけでなく、多言語間のコミュニケーションにも役立ちます。

しかし、コンピュータによる自動変換の場合、変換ミスもありますので、それを人間が見つけて修正するという仕組みになっています。また、優秀なノートテーカーは先生の話を全て文字化するのではなく、必要な箇所だけを伝えます。先生の言い間違いや言い直した箇所などまでテキスト化してしまうと、情報が多すぎて目で追うのに疲れてしまいます。将来的にはAI(人工知能)を使って、効率的にテキスト化することが期待されます。

<音を振動で伝えるデバイス>
携帯電話のマナーモード時は電話やメールの着信を振動で伝えてくれます。これを応用した聴覚障害者支援デバイスがあります。

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図:Ontenna(オンテナ)

富士通が開発したオンテナは、音を体で感じることが出来るため、聴覚障害者のコミュニケーションを助けたり、音楽や音響による表現を伝えることが出来ます。写真にある白いデバイスを髪の毛や着ている服などに付けて、音を振動と光で感じとります。これまでに音楽やスポーツのイベントで実証実験を行なっており、聞こえない人でもこれまでにない体験が出来ることを証明しています。すでにろう学校に無償提供されており、新しい形の教育支援インターフェイスとしても期待されています。

現状では、大きな音全てに反応して振動が伝わりますが、テキスト変換アプリと同様に、必要のない振動もあると考えています。健聴者は脳の中で、重要な音とそうでない音を聞き分けて、必要な情報だけに反応をしています。それは音の大きさではなく、音色や音が発する意味と関連づけられています。オンテナも、音をAI(人工知能)を使って解析し、重要な音を選択して振動で伝えることが出来るようになれば、今以上に便利なデバイスとなるでしょう。

最後になりますが、7回にわたる「難聴シリーズ」をお読みいただきありがとうございました。「聞こえることがあたりまえの社会」から、「聞こえにくくても安心な社会」へと進歩するために、何をすれば良いのかを考えるきっかけになれば幸いです。技術を活用することも重要ですが、私たち一人一人の考え方を変えることが大切かもしれません。

 

 


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。

[シリーズ難聴-9]補聴器と人工内耳

2019年11月23日 (土) 投稿者: メディア社会コース

3回にわたって「手話」の演習についてお話してきました。実は、聴覚障害者の方の中で、手話を使う方というのはごく一部の方なのです。近年では技術の進歩もあり、多くの方は補聴器や人工内耳を装用して、聴覚も活用して生活をしています。では、補聴器と人工内耳には、どのような違いがあるのでしょうか。メディア専門演習「聴覚障害理解とコミュニケーション支援」の次のテーマは、補聴器と人工内耳についてです。

<補聴器>
補聴器は音を大きくする機器です。しかし、大きくなりすぎると逆に耳を悪くしてしまいます。そのため、「フィッティング」をして、周波数(音の高さ)ごとに個々の聴力に合った音量に調整します。聴力は常に変化するので、定期的に聴力検査と共に「フィッティング」をすることが重要となります。

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図:補聴器の例

補聴器をする時は、イヤモールドと呼ばれるもので耳を完全に塞いで、耳の中に直接音を伝えます。イヤモールドが無いと音が漏れてしまい、それが耳にかけた補聴器のマイクに入るとハウリングをして「キーーーン」という音がしてしまいます。子どもの場合、耳の成長に合わせて数ヶ月ごとにイヤモールドも作り直す必要があります。

伝音難聴の多くは補聴器により聞こえを改善することが可能です。しかし、蝸牛に損傷がある感音難聴の場合などでは、補聴器の効果がないケースもあります。そこで開発が進んでいるのが次に紹介する人工内耳です。

<人工内耳>
人工内耳の仕組みは、①耳にかけた機器のマイクから音が入り、②サウンドプロセッサで音がデジタル処理され、③頭部にマグネットで装着するコイルまで音声信号が伝わり、④さらに頭部に埋め込まれたインプラントに送られ、⑤蝸牛に入れた電極から聴神経へと刺激が伝わります。

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図:人工内耳のサウンドプロセッサーとインプラント

先天性難聴児の場合、最初から聞こえるようにはなりませんが、数ヶ月たつと音が聞こえるようになり、その後発語も出来るようになり、療育を続けていけば数年で自然な発話が出来るようになる子どももいます。人工内耳をしてピアノを上手に弾く方もいます。

<補聴器や人工内耳の聞こえと情報保証>
補聴器や人工内耳をしたからといって、将来健聴者と全く同じように聞こえることはありません。これらを装用した方が「聞こえやすく」なるにすぎません。雑音下や複数で話をしている時には、特に聞き取りにくくなります。そのため、小学校の普通級に通う聴覚障害児の場合、先生に専用マイクを首から下げてもらい、ワイヤレス補聴援助システムにより声を直接補聴器や人工内耳に伝えます。また、なるべく板書をしたり、大きなディスプレイに視覚的に表示するなどといった情報保証が、学校における聴覚障害児への配慮として必要です。補聴器や人工内耳を装用した人が社会に出ていき、健聴者と共に生活をするケースが増えていくと考えられます。学校だけでなく、職場や公共施設においても、十分な情報保証をしていき、多様性のある社会を実現することが求められる時代となりました。

次回は、ICTを活用した聴覚障害者支援についてお伝えします。

 

 


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。

[シリーズ難聴-8]「手話」の演習(その3)

2019年11月22日 (金) 投稿者: メディア社会コース

前回は、メディア専門演習「聴覚障害理解とコミュニケーション支援」で行っている手話講座の1日目についてご紹介しました。「あいさつ」「天候」「家族」といった、日常的によく使う言葉や言い回しを覚えました。今回は、手話講座の2日目についてお伝えします。「仕事」「趣味」自己紹介」についての手話を学び、最後にこれまで学んだ手話をいろいろ組み合わせて、より自然な会話を練習します。

最初に「仕事」についての手話を学びました。「会社員」という手話は、昔の証券取引に由来して、両手を頭の横で動かし、片手で「OK」と同じ形を作って胸に当ててバッジのようにして「員」を表します。今の学生が昔の証券取引をイメージするのは難しいかもしれませんが、このように由来している事柄が古いものは多々あります。「大学生」の手話は、アメリカの大学で卒業式にかぶる四角い帽子の角をイメージして、頭の近くで親指と人差し指を2回摘み「大学」を表現します。その後、親指と人差し指を上下に動かして、ランドセルの肩掛けを表現し「学生」を表現します。これらを組み合わせて「大学生」となります。ランドセルの表現の他にも、昔の「はかま」の紐を結ぶ様子で「学生」という表現もあります。これも、今の学生にはなかなかイメージするのが難しいですね。

次に「趣味」についての手話を学びました。「映画」「読書」「旅行」などの手話を覚えました。「旅行」は「SL機関車」のような仕草と「遊ぶ」の手話を組み合わせて「旅行」となります。これもまた「SL機関車」という古い乗り物が由来となっていますが、今であれば「飛行機」と「遊ぶ」を組み合わせて「飛行機で旅行に行った」と表す方が分かりやすいかも知れません。

最後に、「自己紹介」についての手話を学びました。手話では上の苗字を手話で表現し、下の名前を指文字で表します。例えば、「田中」は両手の中央3本の指を重ねて「田」という漢字を作り、次に片方の手の親指と人差し指で「コ」の字をつくり、もう片方の手の人差し指でそれを串刺しにして「中」という漢字を表します。「鈴木」は最初に「鈴」を鳴らす仕草をして「鈴」を表し、次に両手の親指と人差し指を広げて下から上に伸びている様子を表現して「木」を表現します。ちなみに、私の名前である「吉岡」は、鼻が伸びている仕草で「良い」を表し、「けいがまえ」を両手で描いて「岡」と表現します。自分の苗字がどんな手話なのか、一度調べてみると楽しいと思います。

さて、2回という短い演習で沢山の手話を覚えました。その前に学んだ指文字と合わせて、ペアになって手話コミュニケーションをよりスムーズに行う練習をしました。台本は図の通りです。

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図:手話コミュニケーション練習の台本

最初は少し恥ずかしいので表現が小さくなっていましたが、最後には慣れて来た様子で、口話と同じように気持ちを込めて手話を表現することが出来るようになってきました。棒読みだと気持ちが伝わらないのと同じで、手話で伝える時は表情や体の動きも重要な要素となります。

さて、いよいよ発表です。まず全員耳栓をして、ほとんど聞こえない状態にします。やはり聞こえてしまうと、反射的に声を出して音声に頼ってしまうからです。見ている人も、聞こえないことで、発表者の手話に集中することが出来ます。発表後の学生の感想として、「手話はとても難しかった」「手話が通じた時は嬉しかった」「少しだけろう者の気持ちが分かったと思う」「話についていけなくなって困った」などがありました。コミュニケーションの難しさを実感することで、聞こえることを前提とした私たちの社会において、聴覚障害者の方々がどんなことで困るのかを想像することに繋がると期待しています。

次回は、補聴器と人工内耳についてお伝えします。

 

 


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。

[シリーズ難聴-7]「手話」の演習(その2)

2019年11月21日 (木) 投稿者: メディア社会コース

前回は手話の歴史についてお話しました。聴覚障害者が虐げられていた過去や、手話が言語として認められていなかったことを初めて知った方もいいのではないでしょうか。今ではテレビなどで手話通訳者の方を見ることも多くなりましたので、手話を見る機会も多くなってきたのではないでしょうか。英語を学ぶのと同様、手話も新しい言語として学ぶことになります。手話が使えるようになると、ろう者の方など話ができる人が増えるのです。少し知っているだけでも、街中で困っている方を助けることが出来るかもしれません。

メディア専門演習「聴覚障害理解とコミュニケーション支援」では、同時手話通訳士による手話講座のDVDを見ながら、手話を学びます。今回は手話講座の1日目についてお伝えします。

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図:手話を練習している学生の様子

まず最初に「あいさつ」です。コミュニケーションの基本ですね。「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」を覚えます。実は、「おはよう」という手話は「朝」と「あいさつ」という手話を組み合わせています。「こんにちは」は「昼」と「あいさつ」、「こんばんは」は「夜」と「あいさつ」です。次に、「初めまして。よろしくお願いします。」ですが、「はじめて」「良い」「お願い」を組み合わせることになります。このように、一つのフレーズを覚えると、いろいろな言葉を同時に覚えることにもなります。

次に「天候」です。「晴れ」「曇り」「雨」「雪」などを覚えます。では、「強い雨」はどのように表現するのでしょうか。「強い」と「雨」を組み合わせることも出来るのですが、「雨」という手話を少し大きな動作で、表情もつけることで「強い雨」を表現することができます。手話は手だけではなく、気持ちを込めた動作や表情が重要となります。音声言語を使う人が、言葉に気持ちを込めて強弱をつけたり、イントネーションを変えたりするのと同じです。手話も、相手に言いたいことが伝わるように、上手に"話す"ことが大切です。

最後は、「家族」です。 「私」「お父さん」「お母さん」「息子」「娘」などです。頬を人差し指ですっとなぞって「血の繋がり」を表し、「男」を表す親指を出して「お父さん」、小指だと「お母さん」となります。親指がお腹から出てくる様子を表して「息子」、小指なら「娘」となります。手話はそれぞれの表現に意味がありますから、それを同時に覚えれば習得するのが早くなります。

次回は手話講座の2日目についてお伝えします。

 


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。


 

[シリーズ難聴-6]「手話」の演習(その1)

2019年11月20日 (水) 投稿者: メディア社会コース

[シリーズ難聴-6]「手話」の演習(その1)

いよいよ、メディア専門演習「聴覚障害理解とコミュニケーション支援」では、「手話」を覚える演習に入ります。家族や周りに聴覚障害者がいないと、手話に触れる機会はなかなかありません。私も、以前はテレビの手話通訳者を見るくらいでした。演習では、手話の歴史について知ることから始まります。

手話に関連する年表をご覧ください。

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図:手話に関連する主な出来事

ド・レペ(フランスの神父)が世界で初めて聾学校を開いたのが18世紀です。その前までは、聞こえない(話せない)人たちは虐げられていました。しかし、手話によるコミュニケーションを教育することが提案されたのです。

しばらくして、世界中でその手話が否定されることになります。1880年にイタリア・ミラノ第2回聾教育国際会議にて、口話法を全面的に支持する決議が下りたのです。これにより、手話ではなく健聴者と同じように声を使って話す教育へと変わっていきます。

日本では明治から大正にかけて、各地に私立聾唖(ろうあ)学校が建てられました。日本では、まだ手話や筆談が中心でした。しかし、昭和初期にはほとんどの学校が口話法になりました。

日本にはもともと「日本手話」がありましたが、1960年代に「日本語対応手話」が使われ始めました。このころから、また手話が教育の現場でも使われるようになっていきます。

1980年代にはアメリカなどでろう文化の権利が主張されるようになり、日本でも1995年、木村・市田により「ろう文化宣言」が発表されました。日本も国として「手話」が言語であることを認め、重要なニュースや災害情報などを伝える際に必ず手話通訳がつくようになりました。

このように、手話をめぐっては過去の様々ないきさつがあり、聴覚障害児を育てる際に手話を取り入れるべきかどうかについて、今でも議論があります。しかし、口話と手話をうまく使い分けることが出来ると良いという研究報告も多数あります。

次回のブログでは、手話の演習の様子をお伝えします。

 


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。


 

 

[シリーズ難聴-5]「指文字」の演習

2019年11月19日 (火) 投稿者: メディア社会コース

メディア専門演習「聴覚障害理解とコミュニケーション支援」では、聴覚障害者のコミュニケーション手段の一つである「指文字」を習得します。昭和初期に、ろう学校の教員である大曽根源助が渡米した際にヘレンケラーと出会い、アメリカ式指文字を知り、それを元に日本式の指文字を作ったそうです。手話の中で固有名詞を表現する時にも使われます。また、聴覚障害児が療育において言語を学ぶ際にも、指文字を使うことが有効な場合もあります。指文字表は以下のサイトからダウンロードできますので、ぜひご覧ください。

ちびむすドリル 指文字表
https://happylilac.net/sk1805311413.html
(リンクフリーのサイトです)

演習では、まず五十音を覚えます。「あ・い・う・え・お・か・き・・・」と順番に覚えますが、似ているものもあり、新しい言語を覚えるように最初は難しいです。しかし、それぞれの文字の由来を知ると、覚えやすくなります。「あ」はアルファベットの「a」、「き」は「きつね」、「め」は「目」のかたち、といった感じです。

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図:「き」の指文字

五十音を覚えたら、就学前に幼児が覚える簡単な言葉の中から、濁音等がつかない単語を表現してみます。「オオカミ」「みかん」「たけのこ」「すいはんき」「のりまき」といった感じです。

次に、濁音、半濁音、拗音、促音、長音符を覚えます。ここまで習得すれば、全ての言葉を表現することが可能になります。「じゃがいも」「オートバイ」「せんぷうき」「スパゲッティ」といった感じです。

個人差はありますが、学生は2週間で概ね習得してくれました。若いので覚えるのが早いですね。さて、この演習においては、ここからが問題です。まだ言語を獲得していない聴覚障害児にとって、指文字を覚えるのはとても難しいことです。工夫した動画コンテンツや、インタラクティブな学習ゲームなどがあれば、楽しく、早く覚えられるかもしれません。指文字を覚えるという体験から、メディアを活用した聴覚障害支援につながるアイディアへと発展させるのが次のステップです。演習の後半で、学生がどのようなアイディアを提案するかに期待します。

次のブログでは、「手話」を覚える演習についてお伝えします。

 


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。


 

[シリーズ難聴-4]メディア専門演習「聴覚障害理解とコミュニケーション支援」スタート

2019年11月18日 (月) 投稿者: メディア社会コース

本日より7回にわたり「シリーズ難聴」を連載します。メディア学部設立以来初めてとなる聴覚障害支援に特化した演習が10月から始まりました。工学系の大学で聴覚障害と関連した演習を行う例はあまりありません。しかし、メディア技術が導入しやすい時代になったからこそ、専門を超えて新しいアイディアを生み出すことが大切だと考えています。医学と情報工学は分野が離れているだけに、その接点を探るのはなかなか難しいものです。しかし、医学というのは自分の体に関係するもの、情報工学もスマホなどを通じて日常的に触れているものです。それらの接点が自分にあると考えれば、様々な可能性が見えてくるでしょう。

ブログ「[シリーズ難聴-2]情報工学系のメディア学部で聴覚障害支援の演習をやる意義。」でも述べたように、この演習ではまず聴覚障害への理解を深めることから始めます。耳栓をして聞こえにくい状況を体感したり、手話や指文字を使って聴覚に頼らないコミュニケーションを体験したり、補聴器や人工内耳についてインターネット調査を行ったりします。その後、音声をリアルタイムにテキスト化するアプリや、音声を振動に変換して伝えるデバイスなど、現存する聴覚障害支援ツールを実際に使ってみます。最後に、聴覚障害支援に相応しく新しいアイディアを提案します。

今回は、初回に行ったフィールドワーク「聞こえにくい状況の体験」についてお伝えします。

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図:「フィールドワーク」の授業資料

図のように、研究室(①)で耳栓をしてスタートし、キャンパス全体を歩いてまわります。耳栓をすると、早速エアコンの音や(あえて流していた)音楽の音が小さくなり、ほとんど聞こえなくなります。次に廊下に出て歩いてみます。耳栓を外すと足音が聞こえますが、耳栓をするとほとんど聞こえません。

耳栓をしてエレベータ(②)を待っていると、いきなりドアが開きます。機械音がほとんど聞こえないからです。エレベータの中のアナウンスは意外と聞こえました。声の周波数は人間にとって聞こえやすい音域のため、耳栓をしても聞こえるのですね。その後、建物の中から外に行くと(③)何か違和感があります。普段は環境音によって屋内と屋外の雰囲気を感じ取っているのが、耳栓をしているとその違いを感じないのです。

その後、いつものキャンパスを歩いていると(④)、中には友達とすれ違う人もいます。しかし、相手が何を言っているのか分かりません。後ろから声をかけられても分からないでしょう。コンビニや食堂(⑤)を通り抜けたところに庭園(⑥)があります。耳栓をとってみると、鳥のさえずりや虫の鳴き声が聞こえます。遠くでは芝刈り機のような大きな音も聞こえます。聞こえないくい状況では、これらの音もほとんど聞こえません。

最後に片柳研究所のロビー(⑦)に行きました。そこは2階までが吹き抜けになった教会のような空間で、普段なら音が響き渡るのが分かります。耳栓をしていると、天井の高さや硬い材質で出来ているロビーの雰囲気を感じとることが難しいことが分かります。

終了後のレポートでは、「普段いかに音による情報に頼っているかが分かった」「聞こえないと不自由を感じることを初めて実感した」といったようなコメントが見受けられました。

さて、次回のブログでは、聴覚障害者のコミュニケーション手段の一つである「指文字」の演習についてお伝えします。

 


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。


 

NICOGRAPH発表報告: 好きな言葉でシンセサイザーの音を作る

2019年11月17日 (日) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

先日開催されたNICOGRAPHは、私の研究室で毎年多くの発表を行っている学会のひとつです。今年も、大学院生と学部生で合計5件の発表を行いましたので、このブログで何回かに分けて紹介させていただこうと思います。

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1件目は、大学院生のマイニッケさんによる「自然言語で操作するシンセサイザーのための音色データベース分析」という発表です。シンセサイザーで音を作るときは、多数のつまみやスイッチを調整してパラメーターの値を決める必要があるのですが、慣れていない人には難しいものです。そこで、なんとなく思いついた単語を入力すれば、それがどんな単語であっても、その印象に一番近い音を見つけてくれるようなシンセサイザーを作りました。

マイニッケさんは、この研究で学部の卒業論文を書き、3月には学会発表もしています。4月からは大学院生として研究を続け、入力単語の分析のための自然言語処理や、シンセサイザーの中に用意するデータベースなどについて、様々な改良を加え、今回の発表に至りました。今回は発表に加えて実機でのデモもあり、完成度の高さをアピールできる機会になったのではないかと思います。

セブ島日誌2

2019年11月16日 (土) 投稿者: メディア技術コース

2019.10.24 19:00

 

市内観光も済ませ,日暮れが近づいてきました.

みんな,飛行機の機内食(11:00頃)を食べて以来何も食べていないのでお腹がペコペコです.

 

夕食はやはりフィリピン料理が食べたいところです.

 

ガイドブックに「レチョン」というのがフィリピンの伝統料理であると書いてあります.同行の先生がwebで調べた所,`House of  Lechon’というレストランが有名だそうです.レチョンが何かも分かりませんが行ってみることにします.

 

サン・ペドロ要塞で「Grab」アプリを使ってタクシーを呼びますが,中々来てくれません.途中,流しのタクシーが2台来て「乗るか?」というのを断っています.我々は5人です.グラブには6人乗りの車を依頼しました.ところが,”We are busy. Sorry.”的なメッセージが表示され,来てくれないことが分かります.こんなことなら流しのタクシーを捕まえておくのでした...

 

車通りに出てタクシーを止めようとしますが,どれも乗客が既に乗っているタクシーです.まだ,さっきのサント・ニーニョ教会まで戻った方が観光客がたくさんいたので,タクシーもいるのではないかと戻ります.しかし,なかなか空のタクシーが来ません.来しなに降ろしてもらったマゼラン・クロス前の道路に出ます.何組かタクシーを拾おうとしている人たちがいますが,捕まえられずにいるようです.もう一度,Grabでタクシーを呼ぶことにします.ただ,どこに来てもらうか場所の候補が出るのですが,どれがどこなのかよく分かりません.もたもたしているうちに,タクシーが走っていたのでとりあえず手を上げてみました.すると,なんと止まってくれました.

 

しかし,どうみても普通の5人乗りのセダンです.2人が後に残り,先に3人でレストランへ向かってもらうことにします.しかし,その止まったタクシーの運転手が「5人乗れる」というのです.むりやり後部座席に4人乗り込みます.いざ,`House of  Lechon’へ.

 

`House of  Lechon’は有名店だけあってセブ島に5件あります.そのうちの本店であるホテル近くのお店を指定したつもりでした.観光には来ていなかったのですが,知り合いの博士課程の学生がそのお店で落ち合う予定になっています.ところが.到着したのは支店のRobinson Galleria いという シッピングモールの中にある`House of  Lechon’でした.

 

私達はもう腹ペコです.とりあえずは`House of  Lechon’に居るわけです.本店で待ち合わせをしている学生に「違う Lechonに着いたから,私達はこちらで食べます.君は,そこで一人で食べるかタクシーでこっちへ来るかだ」とメールしてもらいます.

 

いよいよ,夜ご飯です!

 

まずはビールにて乾杯!

 

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Lechonとは,皮を香ばしく炭火で焼いた豚のことでした(正式には子豚の丸焼き).ノーマルとスパイシーを1/2ずつ頼みました.どちらも美味しい!

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分かりづらいですね.

こちらのページが分かりやすかな.

https://www.facebook.com/RobinsonsGalleriaCebuOfficial/posts/house-of-lechon-is-now-open-at-the-1st-level-verandah-of-robinsonsgalleriacebu-f/1934592666569217/

http://3d-universal.com/blogs/2017/03/%E3%80%90lechon%E3%80%91%E7%89%B9%E9%9B%86%E3%82%BB%E3%83%96%E3%81%8C%E8%AA%87%E3%82%8B%E4%B8%89%E5%A4%A7%E3%83%AC%E3%83%81%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%82%92%E9%A3%9F%E3%81%9B.html

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大満足の第1夜です.

研究紹介 - Dive2Views:他のカメラの視点にとびこんでいくカメラアプリ

2019年11月15日 (金) 投稿者: メディア技術コース

前回の学会記事(ADADA Japan)で2件の発表が受賞した興奮で研究の内容に触れることを全く失念しておりました。ようやく我に返ったところで、すこしは真面目なことも書かなくては。ということで今回はそれらの研究内容について若干ご紹介したいと思います。

 

Dive2Viewsというのはカメラアプリです。起動すると映像が写り、画面をタップすると写真や動画が撮れるという点では普通のカメラアプリです。ところが、同じアプリを起動している他のデバイスを画面に捉えると、そのカメラで撮影している映像が画面に映るようになり、それを撮影できるようになります。まるで、他のカメラ映像(View)に飛び込んで(Dive)いくような感覚を与えるということで ”Dive2Views (Dive to Views)” と名付けました。Views と複数になっているのは、他のカメラが複数あってもそれらを画面に捉えることで次々と異なる視点を自分のものにできるからです。

 

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なぜ、こんな仕組みを考えたのかというと、写真を撮るときに撮影したいものをうまく捉えられない場合がありますね。例えば、サッカー観戦でスタンドに居て、遠くの選手の写真を撮りたいなんてときや、テーマパークのパレードでお気に入りのキャラクターの写真が撮りたいのに前に大勢の人が居て視界を邪魔しているような場合です。そうしたときに、もっと近くに居る人の場所で撮影できたらといいとは思いませんか?実際にその場所に移動するのは難しいので、いい場所で撮影している人のカメラ画像を奪ってしまおうと考えたのです。何人もの人が前方でカメラを構えていたら、一番良さそうな位置のものに狙いをつけて、そのカメラを画面に捉えればいいのです。

 

このような仕組みを技術的に実現するのは、両方のカメラ(のデバイス)の間で映像を送ればいいのですが、ここでは、どうやってそのような仕組みを利用できるようにするのかについて工夫をしました。普通に考えれば、メニュー画面で接続するカメラを選択すればいいのですが、それだと撮影するのを一旦やめて、メニュー画面を開いて選択をしなければなりません。撮影しているままで別のカメラ映像を利用できるようにしたかったのです。そこで、撮影中にカメラで他のカメラを捉えれば、そのまま映像が切り替わって撮影を続けられるようにすることを考えました。

 

 

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先にも書いたように、同じことを実現するのにはメニューや映像のサムネイルの一覧から選択するような方法がいくらでもあります。ここでの研究テーマは、ただし、機能の実現それ自体ではありません。技術をどのような方法で使えるようにデザインするのか、ということが我々の研究室で考えているテーマです。「カメラで他のカメラを捉えることでその映像を乗っ取る」というのが、この研究で創り上げたい体験なのです。そういうことができたら、撮影する行為を中断しなくてすむというだけでなくなんとなくワクワクとした感じを持ちませんか?そういうことが出来て欲しいと思うような使い方ではないでしょうか?効率や性能を目指すのではなく、楽しかったり面白かったり感じられるような使い方をデザインする、というのも立派な研究になるのです。

 

 

 

太田高志

セブ島日誌1

2019年11月14日 (木) 投稿者: メディア技術コース

2019.10.24 15:30

 

フィリピン航空にて出発.

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セブ島にやってきました.

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Oriental COCOSDA という国際会議に参加するためです.COCOSDAは International Committee for the Co-ordination and Standardisation of Speech Databases and Assessment の略で,言語データのデータベース化と評価を手とした国際会議です.

http://www.orientalcocosda2019.org.ph/

 

開催される場所は,アジアの様々な(リゾート)国です.国際会議にしては珍しく,東南アジアの方たちの参加率が高いです.

 

さて,本日はただの移動日ということで到着すればo.k.でした.日本を9:35に出立して,到着が13:30頃でした.時差が1時間あるので,飛行時間は5時間です.お食事を頂いて,すこしうとうとしたらすぐに着いてました.

 

空港はマクタン島というところにあり,会議の会場とホテルがあるセブ・シティまではタクシー移動です.セブ・シティの目の前の島のように思ってましたが,渋滞もあり1時間ちょっと,1300ペソかかりました.1ペソはおよそ2.5円なので,4225円です.日本の感覚で言うと,安い?

 

宿はHarolds Hotel というところです.

 

チェックインして,市街を少し観光してみます.

 

タクシーですぐに行ける所に,マゼラン・クロス,サント・ニーニョ教会,サン・ペドロ要塞というのがかたまってあります.

 

地球の歩き方によると,マゼランクロスはあのマゼランが1521年に造ったそうです.木でできた十字架なんですが,これを煎じて飲むと病気に効くと信じられていて,少しずつ減っていっていたそうです.現在は,硬い木のカバーがかかっています.

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サント・ニーニョ教会はフィリピン最古の教会(1565年建造)で,マゼランがセブの女王に送った幼いキリストの像が納められているそうです.

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サン・ペドロ要塞は,スペイン統治時代にオスラムの海賊がら防御するために造られ(1738年),こちらもフィリピン最古の要塞らしいです.第2次世界対戦中にはの本軍による捕虜収容所として使われていたそうです.

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面白かったのが,要塞の前の広場で,いくつものグループが様々な種類のダンスを踊っていたことです.ジャズダンスみたいなのもあれば,体育祭でやる行進曲みたいなのもありました.何の集まりかはよくわかりませんでした.感じとしては,ジムでやるスタジオレッスンに近いです.それぞれにインストラクターがいて,その指示のもとにみんなが曲にあわせて踊るという.

 

メディア学部ではこんな研究もできる!

2019年11月13日 (水) 投稿者: メディア社会コース

こんにちは、着任2年目・メディア社会コースの森川です。
 
先日、私の研究や卒研室に関する取材記事が本学ウェブサイトに公開されました。
大学進学を目指す高校生の皆さんに是非読んでいただきたいと思います。
 
 
さて、記事の中に、私の研究室で学生が行っている研究を2つほど紹介しました。
今日は他にどんな研究が行われているかを紹介したいと思います。
“メディア”と言えば、コンテンツを「つくる」ことに意識が向きがちだと思いますが、クリエイティブワークだけではコンテンツ・ビジネスは
成立しません。
誰のために何をつくるのか(今の社会にはどんなコンテンツが必要か)、マーケットのサイズはどれくらいで、収益はどれくらい見込めるか、
競合にはどんな相手がいるのか、どんな戦略を取ればいいか、どんな宣伝やプロモーションを行うべきか、などなど、考えるべきことは山ほどあるのです。
そういった、ビジネスサイドの知識を学べるのが、メディア社会コースのカリキュラムです。
クリエイティブワークに対する、プロデュースワークの視点と言ってもいいかも知れません。
例えば、私の研究室では以下のような研究をしている卒研生がいます。
 
 
・深夜アニメ番組のTwitterツイート数を伸ばす要因は?
日本は世界でも珍しく、大人向けアニメが数多く制作されている国です。
子供向けではない分、深夜時間帯にもアニメ番組が放送され、最近では視聴率奪い合いの過当競争に。
先行研究では、深夜アニメ番組の視聴率を上げる要因の一つが、視聴者のTwitterでのリアルタイム・ツイートであると述べられています。
では、リアルタイムのツイート数を増やすにはどういった施策が考えられるのでしょうか。
ツイートを収集し、研究を進めています。
 
 
・ホラー愛好家の特徴とは?
人間にとって本来不快であるはずの「怖い」という感情。
にも関わらず、幽霊やゾンビ、妖怪などが登場するホラーコンテンツをこよなく愛する人たちが存在します。
一体どういう人たちがホラーを好んで見ているのか。
どういう信条や趣味・趣向を持っているのか。
アメリカの研究を元に、日本の現状を明らかにしようとしています。
 
 
・今後、Jリーグを盛り上げていくにはどうすればいいか?
リーグが創設されて27年。
現在のラグビー人気のように、最初こそ大きな盛り上がりを見せましたが、Jリーグ人気はここ数年横ばい状態です。
プロ野球人気が下降気味と言われて久しいですが、まだJリーグはプロ野球人気を超えることができていません。
しかし、Jリーグのチームの中でも、浦和レッズは堅調に業績を伸ばし、熱狂的なファンを生み続けています。
何が浦和レッズの成功要因なのか?
数々のデータから考察を行っています。
 
 
・子ども向け特撮番組のCMを親たちはどう見るか?
番組に出てくるヒーローが登場し、商品の宣伝を行うCMのことを「ホストセリングCM」といいます。
実はこの宣伝手法は、まだ脳が未発達の子どもに大きな影響を与えるとして、多くの国で禁止されていますが、日本では禁止されていません。
法で禁止されていない以上、CMに目を光らせていなくてはいけないのは保護者ということになります。
では、実際日本の親たちはホストセリングCMをどう捉えているのか?
お母さんたちが子どもと一緒になってヒーローを演じる俳優を熱狂的に応援する、ある種特殊な状況を抱える日本において、面白い調査結果が出るかも知れません。
 
 
この他にも、まだまだ多様な研究が行われている森川研究室。
皆さんが興味のあることなら、研究のシーズになると思います。
クリエイティブや技術だけではない、メディアの社会的な一面に、是非目を向けてください。
 
メディア学部メディア社会コースで、やりたいことがきっと見つかります!
 
 
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(メディア学部 森川 美幸)

皆さん,ノートってどうされてます?〈その2: バレエ編〉

2019年11月12日 (火) 投稿者: メディア技術コース

皆さん,ノートってどうされてます?〈その1: 水泳編〉の第2段です.

 

文責:榎本

本日はバレエのノートについてです.

実は最初,前回お話した水泳のノートの後ろの方にある,ノート部分に書き始めてしまったんですよね.罫線だけの部分が充実していて20ページぐらいあったんです.それで水泳日誌用に常に手元にあるもんなので,ついでにここにバレーで習った,ちょっとメモしておかないと忘れてしまいそうなことやフランス語の名称で教わって,その綴りや意味などを書き始めました.

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たとえば,以下なんか結構混乱しますね.

ジャンプの種類です.ちょっと習ったぐらいじゃ,足がこんがります.

これを「バレエには4つのジャンプがありますよ」という具合にまとめるわけです.

 

一番,単純なのが

・soubresou(スーブルソー,「馬や羊の跳躍」) 5番ポジションで真上に飛び,そのまま降りる

 

次が

・changement(シャンジュマン,「変える」) 5番ポジションで真上に飛び,前足後ろ足を入れ替えて着地.ここまでは簡単です.

 

ちょっと難しいのが,

・(entrechat) quatre (アントルシャ・カトル,「4つの編み」) 5番ポジションで真上に飛び,前足後ろ足を入れ替えて空中でそれらの両足を打ち合わせ,そのまま着地する.

 

一番難しいのが

・entrechat (アントルシャ,「編み」) 5番ポジションで真上に飛び,前足後ろ足を入れ替えて空中でそれらの両足を打ち合わせ,もう一度前足後ろ足を入れ替えて(飛ぶ前と同じに戻り)着地する.

 

私は,子供の頃(幼稚園・小学生)習っていたので,4つともできるんですが,名前と何をするのかの組み合わせを覚え直さないと混乱です.

レッスンではフランス語で指示がだされます.「スブルソー3つに次がシャンジュマン3つです」のような.それは何!となりますよね.

 

さて,水泳ノートに併せて書いていたのですが,それだとどうも飾り気が無さすぎて気がのらないんですよね.バレエ用品を扱っているWeb shop(バレエ用品専門店ミニヨン)

https://www.mignon-ballet.com/i/lessonnote-01

で可愛いノートを見つけました.その名も「バレエ レッスンノート」です.

 

こちら表紙です.テンションも上がりますよね.
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中を開くと,自由に日付がいれられるようになっていて,その時のGood point と Weak Point欄があります.

 

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まあ,私は,この欄をがっつり無視して使っていますが.そんな毎回Good pointとかWeak Point無いんですよね.それよりかは,その日のレッスンで習ったけど分かりにくかったので,自分でwebで調べてまとめたことを書いてます.

 

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こちら8つのアラベスクタイプと,フロアーでそのポーズを取る順番と位置です.バレエでは,舞台正面を向いた状態を①番として,右斜めへ身体を向けた状態が②番,右真横が③番,右斜め後ろが④番,真後ろが⑤番,左斜め後ろが⑥番,左真横が⑦番,左斜めが⑧番とされます.①③⑤⑦番という向きを取ることは今までありませんでした.基本的には斜め前方へ向いた状態からその向きへ進んでいきます.たとえば,aのアラベスクポーズは,②番向きに行い,ついでbのアラベスクポーズ,cのアラベスクポーズ,dのアラベスクポーズを順にしながら,右斜め前方②番へと進んでいきます.ここまでくると,だいたい端っこですので,真後ろにすすすともどって,今度は左斜め前方⑧番の方向へ,e,f,g,hアラベスクポーズをしながら進む,といった具合です.

 

この向きの①〜⑧番とは別に,両足の置き位置にも数字+番が使われます.

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(iStockさんより画像お借りしました.)

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腕の形も番号がありますよ.(Balletholicさんより画像をお借りしました.)

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1番(En avant, 前に)[図中②],3番(En bar, 下に)[図中①],4番(En haut, 上に)[図中③].

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2番(a la seconde, 直訳すると「2番に」だがバレエでは2番が「手足を横方向へ広げた形」なので「横へ」).

 

ただし,腕の番号は流派によって異なります.

(詳しくは,https://www.chacott-jp.com/news/useful/glossary/detail002670.html)

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この他「allonge」(長くする)というのもあります.矢印右側の手型.En hautからAllongeへ向けかえるのが一般的です.手を身体からできるだけ遠くへ伸ばすポジションです.

 

「足は2番の位置を通って5番,手はアンバ(En bar)からアラスゴン(a la seconde)へ,向きは⑧番から①番を通って②番,あら②番が多かったわね,うふふ」というのはある日の先生の発話です.うちの先生は,腕の形は番号より名称で言われます.

覚えていないとたいへんですね.

 

そんなこんなで,水泳ノートと合わせると4冊を持ち歩くことになりますよ.

VIP合宿での研究発表

2019年11月11日 (月) 投稿者: メディア技術コース

渡辺です。こんにちは。

ちょっと紹介するタイミング的には遅くなってしまったのですが、9月21日から23日まで行われた「VIP合宿」という催しについて紹介したいと思います。

「VIP」とついているのでさぞゴージャスな合宿なのだろうと思ってしまいますが、これは「ビジュアル情報処理研究合宿」の略でして、ごく庶民的な研究合宿です。(まあそもそも研究合宿が庶民的と言えるのかどうかは意見が分かれるところかもしれませんが...)

この研究合宿では、近藤先生の研究室の学生たちが運営を担当しており、既に 10/15 の記事で紹介されております。そちらの記事も是非参照してください。

さて、このVIP合宿は我が渡辺研の学生も毎年のように参加しており、今年は共同研究を行っている柿本先生の研究室学生も参加しておりました。私も昨年から参加するようにしているのですが、非常にユニークな研究合宿です。参加学生による(通常の)ポスター発表がメインの催しではあるのですが、その他にも大学教員や社会人の方々による座談会、グループごとに分かれてゲームやビンゴ、研究合宿らしくグループ対抗のポスター作成コンテストなどを行っています。また、夜は教員・社会人・学生が入り混じって懇親を深めます。様々な大学の学生たちと下らない話で盛り上がることもありますし、あるいは他の大学の先生とガチな人生相談をしたりすることもあります。

さらに、今年度のVIP合宿では嬉しいことに本学の学生が二人も賞を受賞しまして、渡辺研の古川真帆さんが全体で第2位を意味する「優秀賞」を、柿本研の佐藤葵君が「運営・教員特別賞」を受賞しました。二人の発表の様子を掲載しておきます。

 

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今から来年の参加が既に楽しみです。

メディア学部准教授 渡辺大地

 

情報処理学会DCC研究会にて大学院生2名が発表

2019年11月10日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

今回は三上・兼松研究室の大学院生の学会発表について紹介します.

11月7日(木)~8日(金)に九州工業大学にて開催された情報処理学会デジタルコンテンツクリエーション研究会において,大学院生の沼崎優介君と菅沼辰也君がそれぞれ発表を行いました.

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研究の詳しい内容はこれからの発展もあるのでここでは詳しくは書けませんが,沼崎君は「ライド型VRコンテンツにおける呈示映像の傾きの増幅と減衰による体験者の認知に関する研究 」と題して,VRコンテンツ体験時のプレイヤの実際の態勢を画面上では誇張したり省略したりして表示し,その変化に気付くかどうかについて研究をしました.

菅沼君は「VR型FPSゲームにおける視線と視野角に応じた敵AIの動的調整に関する研究 」と題して,FPSゲームのプレイ中のプレイヤーの視線を頼りに視野角に応じて敵のAIを調整して,難易度を変化させる研究を発表しました.

会場からは大変多くの貴重な意見や指摘があり,今後の発展に大変有意義でした.

写真は発表中の菅沼君と発表を終えたリラックスモードの沼崎君です.

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文責:三上浩司

大学院博士課程の遠藤雅伸さんが芸術科学会論文賞を受賞

2019年11月 9日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

本学大学院博士課程の遠藤雅伸さんが執筆し,厳正な査読の結果,芸術科学会論文誌第17巻3号に採録された論文「フローゾーンを超えた動的難易度調整~イリンクスを楽しむDynamic Pressure Cycle Control手法~」が,数ある論文の中から選出される「学会誌論文賞」を受賞しました.


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ゲーム業界の特にゲームデザイン分野のレジェンドとして知られる遠藤さん.「ゼビウス」,「ドルアーガの塔」などを産み出した遠藤さんが教員,研究者として大学で活動するにあたり,アカデミックな考えをきっちり身に付けたいと,東京工科大学の大学院に進学し,私の研究室で様々な研究に取り組みました.修士課程,博士課程で大変興味深い研究成果を発表し,また勤務先である東京工芸大学の学生たちも大変魅力的な研究発表を,情報処理学会,芸術科学会,日本デジタルゲーム学会などで発表しています.

今回の研究では難易度調整に着目しました.

デジタルゲームにおいて,難易度は面白さの重要な要素です.難易度がプレイヤーのスキルとつりあった状態(いわゆる「フローゾーンの範囲」)に設定されていれば,プレイヤーはゲームを楽しみ上達していくことができます.
そのために,近年ゲームでも取り入れられている,プレイ中のプレイヤーの状況により,難易度を調整する「動的難易度調整(DDA:Dynamic Difficulty Adjustment)」があります.
しかしプレイヤーは,ゲームの最中に難易度が調整されていることに気付くと不快に感じることが示唆されています.

この研究で遠藤さんは,難易度が適正な範囲を超えてもプレイヤーが楽しいと感じる,動的緊張感周期制御(DPCC: Dynamic Pressure Cycle Control)という新しいゲームデザインコンセプトを考案しました.これは周期的に難易度を極端に変更し,フローゾーンを超えて難易度を乱高下させる方法です.

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この手法を DDA と組み合わせて「テトリス」に実装し,プレイテストによって検証実験を行ったところ,結果は提案手法が新たな面白さの要素をゲームに加えたことを示していました.
また,ゲーム中の意図的な難易度変化に気付いたとしても,不快とは感じないユーザーが存在することからゲームデザインが存在することを示唆した.
ぜひ興味がある人は論文をチェックしてみてください.

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文責:三上浩司

専門演習「作曲演習」の紹介(第4弾)

2019年11月 8日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤(謙)です。

私は専門演習「作曲演習」を担当しているのですが、これまでに3回(前回の紹介は4年前!)、演習の目的や学生が取り組む課題についてこのブログで紹介してきました。4回目となる本日は、学生が実際に作ったメロディの一部をお見せしたいと思います。

本演習は、「4音程度の指定音列をもとに自身でモティーフを作出し、それを展開(反復・変化)させたメロディを含む1〜3分の長さの楽曲を作ること」を目標としています。「4音程度の指定音列」は私が学期ごとに考え、毎回変わります。学生が自ら考えたオリジナルのメロディを含めつつ、指定音列を使ったメロディもどこかにあらわれるようにして作品を作るのです。完全に自由な作曲でないところが、本演習の特徴とも言えるでしょう。

先週でこの後期の全15回の授業のうちの3分の1ほどが終わったのですが、ちょうどこの時期に、指定音列をもとにしたメロディの作出の作業に入ります。作曲を全くしたことがない受講生もいるので、いきなり長いメロディを作るのは難しいことから、まずは4小節の中で短いフレーズを反復させたり変化させたりする練習課題に取り組みます。

なぜ4小節か? 一般的にメロディの冒頭2小節は「動機」または「モティーフ」と呼ばれる「独立した楽想を持つ楽曲構成の最小単位」とされ、メロディの性格や性質・特徴を規定する重要な素材となります。冒頭の2小節と、それに続く次の2小節をどのように関連づけるか試行錯誤するのは、初学者がメロディの作り方(構築の仕方)を学ぶのに取り組みやすく、それが4小節という長さを練習課題に設定している理由です。

ちなみに、「動機」を形作っている個々の小節(1小節)を「部分動機」、動機を組み合わせて作られる4小節を「小楽節」と呼びます。こうした用語も演習の中で当然触れますが、2年生の後期に開講している「音楽創作論」という授業で詳しく説明しています。この授業のシラバスも、ぜひご覧ください。

さて、この後期の受講生は上記の作業に入ったばかりですので、メロディがまだ完成していません。そこで今回は、今年の前期の受講生が実際に作った曲から抜粋してご紹介します。そのときの指定音列は「ド−レ−ファ−ソ」で、掲載した楽譜には赤色の音符で示します。


【反復型(A−A'型)の小楽節】
まずは、前半2小節と後半2小節が同型の動機によって構成される「反復型」の小楽節のメロディから見ていきましょう。前半の動機を「A」という記号で表した場合、後半が完全、あるいはほぼ同じ動機であれば「A」、若干の変化を伴うものであれば「A'」と表記されます。ここでは4名の受講生のメロディを掲載します。

【1】A(a・a')−A'(a・a'') 
<解説>
第1小節と第3小節が全く同じ形です。第2小節は第1小節とほぼ同じリズムになっているので「a'」としました。そして、
第1小節が上行するのに対し第2小節は下行する「反行形」ですが、音程構造が「長2度+短3度」で共通しているのも注目すべき点です。第4小節は第2小節のヴァリエーションと見て良いでしょう。ここを「a''」としたのは、それまでの部分動機とは異なり、フレーズの末尾で「ファ」の音が延ばされるためで、これは小さな終止感を醸し出しているようにも聞こえます。このように細かい部分に違いはあるものの、全体を通して共通したリズムと、いずれの部分動機も「ファ」の音を末尾に置いて高い統一性を形作っているのが特徴です。なお、第4小節の第1拍に置かれている「ラ」の音は、この小楽節で初めて出現する音で、かつ最も高い音ですが、小節内で最も強い拍(強拍)である第1拍に置くことで、聴き手の耳により強く印象づけるものになっています。
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【2】A(a・b)−A'(a・b')

<解説>
最初の部分動機は「ド−レ−ファ−ソ」のみで作られています。上の【1】と同様、第1小節と第3小節が全く同じ形ですが、第1小節と第2小節で音型が異なっています。また、最初の部分動機は第2小節までかかっているため、2つ目の部分動機が3拍と短くなっていることも、大きなコントラストになっています。第2小節と第4小節は音型の方向性の点では異なっていますが、ここではリズムに注目して「b」「b'」と表記しました。「a」「b」の2つの形態による部分動機で構成されているものの、いずれの小節も第3拍に「付点8分音符+16分音符」のリズムが置かれていることから、全体的に統一性が感じられます。この「付点8分音符+16分音符」のリズムは、それに続くシンコペーションの効果と相まって、軽快な印象を醸し出しています。
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【3】A(a・b)−A'(a・b')
<解説>
小楽節の構成としては上の【2】と同型です。しかし、メロディの始まりは強拍である第1拍ではなく第2拍の裏拍からです。このように曲やメロディが第1拍目以外の弱拍や弱拍部で始まることを「弱起」といいます。この「弱起」と、随所に見られるシンコペーションのリズムの相乗効果で、軽快な印象を与えるメロディになっています。また、第3小節(※弱起の小節は小節数にカウントしません)の第3拍の裏に置かれた「ド」は、この4小節内での最高音で目立ちますが、前の「ソ」の音から完全4度音程で鳴らされていることにも注目すべきです。ここに至るまで完全4度の音程で上行する音型は1つもなく、短3度が最も広い音程でした。こうした「音程の拡大」とともに「新しい情報」(高い「ド」の音)を示すことで、次の展開を聴き手に期待させる効果を生み出していると言えるでしょう。なお、ハ長調の【1】【2】と異なり、♭1つのへ長調が設定されている点にも着目したいです。
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【4】A(a・b)−A'(a'・b')
<解説>
このメロディも「弱起」ですね。ただ、3つ目の部分動機では弱起のフレーズが省略されています。その点を考慮して「a'」としました。最後を「b’」とするか「c」とするか迷いましたが、2つ目の部分動機と同じく始まりの音が「ラ」であることと、それに続くフレーズに「ラ−ソ−ファ」の音型があらわれること、そしてリズムが似ている点を重視し「b'」としました。上の【3】と同じく、最高音である「シ♭」に向けて徐々に音高が高くなっていく構成を持っていますが、この「シ♭」が第3小節の第4拍の裏で鳴らされ、次の小節にタイで結ばれてシンコペーションになっていることが、印象をより強くしています。また、どの小節にも「ソ−ファ」 の音型が置かれていることは、動機内でコントラストを生み出しながらも、統一性の維持に寄与していると言えるかもしれません。
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【変化型(A−B型)の小楽節】
次は、前半2小節と後半2小節でそれぞれ異型の動機が配置されている「変化型」の小楽節のメロディです。第1小節と第3小節に着目して前半と後半の動機を見ると、形態が大きく異なることから、前半の動機「A」に対し後半の動機は「B」と表記します。ここでは2名の受講生のメロディを掲載します。

【5】A(a・b)−B(c・d)
<解説>
16分音符による音型が弱起で始まる非常に印象的なメロディです。16分音符で駆け上がったあとに、それとは対照的な大きい音価の付点2分音符を持つ部分動機を「a」とし、「b」「c」「d」とそれぞれ違う形の部分動機で構成されています。「b」の後半から、加線を伴った低い音域に移行し、それが「c」「d」に引き継がれます。「b」と「c」では16分音符と8分音符の組み合わせによるシンコペーションのリズムが共通点として見られ、特に「c」では「ファ−ソ−ラ」の音型が全く同じリズムで反復される点で、異なる部分動機の形態でありながら、統一性も感じられます。そういった点を捉えると冒頭の「a」の部分動機の独自性がさらに引き立ってきますし、何気ない「d」の音型も、小楽節のフレーズを締めくくる役割を担っているように聞こえてくるのではないでしょうか。
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【6】A(a・b[またはa'])−B(c[またはb])
<解説>
最初の部分動機は 【2】と同様、「ド−レ−ファ−ソ」のみで構成されています。続く部分動機「b」は、上行する「a」とは対照的に下行する音型です、完全に一致する音型ではないものの、反行形にも見えますね。また、弱起による8分音符のリズムも共通することから、「b」ではなく「a'」と見なしても良いでしょう。これに続く後半の動機Bは動機Aと非常に対照的で、細かく動く音型を一切含みません。ご覧の通り、動機Bは2つの部分動機に分け難い形態で、それ自体で独立した1つの大きなフレーズを作っています。また、拡大された部分動機c(あるいはb)と見ることもできると思います。このようにAとBの動機の差異が明確ですが、aとcに着目すると、どちらもフレーズの終わりに長く延ばされた「ソ」の音を伴っており、その点で、似た様相も感じられるかもしれません。なお、♭3つの調号が用いられているので、上記5つのメロディとは少しニュアンスが違って聞こえることでしょう。
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以上6名のメロディをご紹介しましたが、どれも「反復」と「変化」の原理を工夫して盛り込みながら「ド−レ−ファ−ソ」 の音列を展開していることがおわかりいただけたと思います。何より、同じ「ド−レ−ファ−ソ」 の音列を素材としながら、それぞれ音楽的な特徴を持つメロディが作られているのは面白いと思いませんか? この6名以外の受講生も、とても魅力的なメロディを作っています。その全てを掲載できず、完成した作品をお聞かせできないのは残念です。

この後期の受講生は、また違った音列で作曲に取り組んでいますが、どのような作品が生まれるか担当教員として非常に楽しみです。


【関連情報】
・ブログ記事[2014年7月10日]:専門演習「作曲演習」
・ブログ記事[2015年7月3日]:専門演習「作曲演習」の紹介(第2弾)(※担当教員による作例紹介あり)
・ブログ記事[2015年7月29日]:専門演習「作曲演習」の紹介(第3弾)
・シラバス[後期]:メディア専門演習II(作曲演習)
・シラバス:「音楽創作論」


(伊藤謙一郎)

文章体力をつけるために

2019年11月 7日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.

私は昨年助教として着任する前からプロジェクト演習シナリオアナリシスという授業を担当しているのですが,今期の演習参加者は全員が経験者という,例年の状況からするとちょっとめずらしい状況になっています.

シナリオ執筆は大きく分けて,物語の流れを作る「プロット」と,キャラクターの動きやセリフを描写していく「シナリオ」の2行程に分かれます.例年は「シナリオをはじめて書きます!」という学生も多いため,比較的プロット部分を重視して演習を行うことが多いのですが,今期は少し趣向を変えて実施しています.
シナリオアナリシスは演習の性質上,関連分野の他のプロジェクト演習を受講しつつシナリオアナリシスも受講するという学生が非常に多いです.シナリオ執筆はアニメはもちろん,ゲームやその他様々なコンテンツに関わりますので,メインはゲーム制作を勉強したいけど,シナリオの知識も欲しいから聴講したい!といったような学生も広く受け入れています.
ただ,そうなると学生側としては1週間でこなさなければならない課題が増えるので,なかなか大変です.そんな事情もあって普段はあまり重すぎる課題は出すのがためらわれる部分もあるのですが,今期は全員経験者ですので,「プロットを複数本,しかもいつもより短い時間でまとめて,しっかりシナリオまでかき上げよう」という,ちょっとチャレンジングなことをしています.
これは単に「経験者だから負荷をあげる」ということではなく,「文章体力をつける」という目的があります.将来的にもしシナリオライターやそれに準ずる仕事をしていこうと思った場合,もちろん「良いシナリオが書ける」ことも大事ですが,「ある程度のスピード感をもって仕事ができる,構想をわかりやすくまとめられる」ということが非常に重要になります.そのためにも,様々なストーリーを日頃から”アナリシス”して,まとめ上げる文章体力が重要だと考えています.
そして,このある程度のスピード感で構想をまとめあげる力は,なにもシナリオライターに限って必要な力というわけではありません.例えばアイディアを他人に伝えるためにまとめあげ,形にするという意味では研究も同じですね.私がメディア学部の学生だったころは,毎週のゼミで先生を納得させるために,自分の研究をシナリオ執筆の理論や手法をつかってまとめてプレゼンするということを先輩と一緒にやっていました.

さて,個人個人で多少の差はありますが,今期の受講生はそろそろプロット執筆の大詰め,シーン分割に入っています.これが終わればいよいよシナリオ執筆です.もちろん授業としてのやりがいとか,学生に伝えたいこととかはいろいろありますが,なによりも毎年学生のみなさんがどんな物語を書いてくるのかを,単純に楽しみにしています.

(メディア学部 兼松祥央)

ゲーテ インスティトゥート東京での「"Playing Bauhaus" プレイングバウハウス展」を振り返って

2019年11月 6日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

こんにちは、特任准教授の安原です。
去る10月18日に行われた「プレイング・バウハウス」と題された赤坂にあるドイツ文化会館(ゲーテ インスティトゥート東京 )でのゲーム展示の催しにパネリストとして参加させていただきました。
このイベントはバウハウス100周年を記念してドイツのハルツ大学のメディア・ゲーム構想専攻の学生たちと東京工科大学のメディア学部の学生がチームを組みバウハウスの理念を応用して、当時は存在しなかった「ゲーム」というメディアの上に何をつくれるのか?を実践した成果を展示するものでした。ドイツからはハルツ大学のドミニク先生をはじめ、参加した学生たちが来日してくれました。ビデオを通して知った顔の人たちと始めて実際に対面して握手を交わしました。期間は4か月という短いものでしたが、どの作品も夏休み前に見たものから数段も完成度が上がった作品に仕上げられていました。日本側の学生もドイツ側の学生も、ゲーム開発の共通言語は英語を使うしかないという、現在のグローバルなゲーム産業の開発現場の状況をそのまま体験する機会となったこの取り組みですが、目には見えない多くの思いがあったと推察されます、しかしながら終わってみればその努力と苦労が、会場に訪れた人たちが楽しんでプレイするこのような素晴らしい作品となって結実しました。自分は長くプロとしてゲーム制作の現場に携わってきましたが、完成したゲームをあそんで楽しんでくれている人を見ることで、その現場での苦労を「作ってよかった」とすべてpay-offできたものです。その気持ちを参加した学生の皆さんにも持ててもらえたら、この取り組みは大成功だったと思います。そして、今回の取り組みを踏まえて、また来年に向けて再びハルツ大学の皆さんと東京工科大メディア学部とのコラボレーションゲーム制作が始まっています。
またの健闘を祈ります!

【研究紹介】数式で髪を編む技術 - Procedural Hair Styling ー

2019年11月 5日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

本ブログをご覧の皆様,こんにちは.

メディア学部教授 菊池 です.

本日のブログでは,「数式で髪を編む技術 - Procedural Hair Styling -」について紹介したいと思います.

CG で人型のキャラクターを制作する場合,肌や髪などの質感に加えて,表情や動作も人間そのもののようなリアリティのある表現が求められます.特に髪の表現に関しては様々なスタイルがあり,特定の髪型を制作することによってキャラクターの個性を引き出すことが可能となります.すなわち,ヘアースタイリングはキャラクターモデリングにおいて必要不可欠な要素です.

CG におけるヘアースタイリング技術は,人の写真から髪型の情報を読み取って自動的に生成するものが主流となっています.しかしながらこの手法は,三つ編みやお団子,短髪すぎるものなどの髪の流れる方向を読み取れないものには適していません.

そこで我々の研究室では,ガイドカーブを用いて三つ編みを作る Braid パラメータ,一定のカールを作る Coil パラメータ,およびランダムにカールを作る Curl パラメータの3つによって,複雑に編み込まれたような髪型でもパラメータを調整するだけでスタイリングが可能な技術を開発しました.
三つ編みにはリサージュ曲線を,カールヘアーにはヘリックスをそれぞれ制御関数として用い,上記3つのパラメータの変化でスタイリングを行います(図1参照,動画も公開中です).

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図1.スタイリング例


本研究は,「映像表現・芸術科学フォーラム 2019 [1] 」にて発表を行いました.

[1] 中村史穂,菊池 司,”ヘアーのプロシージャルモデリング”,映像表現・芸術科学フォーラム2019概要集


文責:菊池 司

卒業研究「プロダクトデザイン」におけるレクリエーション

2019年11月 4日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

卒研「プロダクトデザイン」は毎週のゼミにおける仲間との意見交換を大事にしています。後期になると各自がアイデアの採択案を決め、パソコンでの3Dモデリング作業が多くなるため、どうしても単独作業が多くなります。

このことを踏まえ、普段は使うことのない画材遊びをするなどのレクリエーションも取り入れています。昨年も行いましたが今年も10月初旬に単なる遊びではないレクリエーションとして、みんなでパステル画を楽しみました。

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描画対象などは設定しませんでした。まずはパステル独特の発色に触れたあと、全員が自由に絵を描きました。メンバー全員、パステルを使うのは初めてとのことでしたが、デザインに興味のある学生が集めっていることもあり、1時間程経過したころには「ホントに初めて使ったの?」と仲間も驚くような味のある絵を描き始める人もいました。メディア学部はデザインに興味を持つ学生さんの数も少なくないので、別に驚くことではないのですが。

11月からは全員がPCに向かいます。そこで、3DCGでのモデリング開始時にもう一回、レクリエーションを計画しています。モデリングを前に粘土遊びをしようというものです。具現物のデザイン提案を目的としている卒業研究なので単なる遊びではないのですが。

まあ、ワイワイと遊びながら各自が採択案の概略形状を粘土で作るレクを行う予定です。インダストリアルクレイを使うのは道具の問題もありやや敷居が高いので、誰もが使う一般的な粘土を使います。これも有意義なレクリエーションになると思います。

メディア学部 萩原祐志

ACC受賞作にみる広告の仕事の幅の広さ(メディア学部藤崎実)

2019年11月 3日 (日) 投稿者: メディア社会コース

今年も10月に、ACCによる「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」が発表されました。
ACCとは、「All Japan Confederation of Creativity」の略。このACCが日本の広告業界におけるスタンダードな広告賞になります。

例えば、このそのカテゴリーの幅の広さを見るだけで広告業界の仕事の幅がわかるのではないでしょうか。例えば、TVCMなどとは違う部門に目を向けると・・・

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◆◆◆
「マーケティング・エフェクティブネス部門」での「総務大臣賞/ACCグランプリ」受賞作は、TBWA\HAKUHODOによる「注文をまちがえる料理店」です。
こちらは世界的に増えつつある認知症の患者への理解を得るために作られたレストランです。

おわかりでしょうか?
認知症の患者への理解を得るために、ポスターやCMを作るのではなく、認知症の患者さんたちにホールスタッフとして働いてもらうレストランを期間限定で開業するというものです。

「注文をまちがえる料理店」というネーミングのレストランにすることで、注文を間違えても良いことを前提とし、認知症患者との会話やふれあいを通じて、認知症患者の方々とのコミュニケーションの大切さを理解してもらうという試みです。

この取り組みは多くのニュースや報道でも取り上げられて、大きな話題になりました。

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(画像の出所:コンセプトビデオ「rest mis order conceptV JP re」のカットより)

こうしたコミュニケーションデザインは、広告コミュニケーションのあり方やこれからの可能性を示していますよね。

詳しくはコンセプトビデオを是非ともご覧ください。きっとこころが動かされることでしょう
→ 「rest mis order conceptV JP re」

審査委員長の小和田審査委員長は、審査講評として次のように述べています。
「どの作品も素晴らしい中で、特にグランプリになった要因としましては、ソーシャルグッドだったからではありません。現在、SNSを含めちょっとした間違いやうっかりした発言も許さず炎上してしまうというような社会の中で、寛容な空気をつくるといった素晴らしいクリエイティブに より、認知症になっても諦める事なく働くことができるといった変革がおこせたこと、またそれが日本の中でこれからも広がることが期待できるという点で高く評価をしました。AI時代に人だからこそできるマーケティング、今後の一層の拡がりに期待しております。おめでとうございます。
 → http://www.acc-awards.com/festival/2019fes_result/me.html

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【公式】注文をまちがえる料理店

◆「認知症のスタッフを起用「注文をまちがえる料理店」が生む笑顔」(ダイヤモンド社によるビジネス情報サイト「ダイヤモンド・オンライン」の2018.3.26 の記事)

◆注文をまちがえる料理店【特別動画】 (こちらの動画も是非ご覧ください。「できなくても、間違えても、もう一度やればいい」社会のみんながそう思えば、社会全体がもっと良い社会になるのではないか、そう思えてきます。)


◆◆◆
最後に「ACCクリエイティブイノベーション部門」での「ACCシルバー」受賞作をご紹介しましょう。

近年の広告業界は、商品やアプリの企画・開発も企業に提供しています。
受賞作のこどものやる気を引き出すために開発されたIoTペン「コクヨ 宿題やる気ペン」は、企業と生活者(この場合は子どもや保護者)の間を結ぶアイテムとして、広告コミュニケーション的な発想のもと開発された商品です。

このペンによって子どものやる気と勉強習慣が高まれば、保護者もうれしいですし、何より子どものためになりますよね!

こちらも「広告を作って商品を売る」のではなく、そもそもあったら「便利なペンを開発」することで、企業が前進するためのお手伝いをする、という好例だと思います。こうした企画・開発にも広告業界の知恵が結集しているのです。

こうした発想が可能なのは、広告は「コミュニケーション」だからです。

「人の気持ちを動かす、人と人をつなぐ、人と人を結ぶ」というコミュニケーションに関するプロフェッショナルが広告人なのです。

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(画像の出所:コクヨの商品サイトより
 https://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/yarukipen/

◆(コンセプトムービー)「コクヨ しゅくだいやる気ペン」

◆コクヨ しゅくだいやる気ペン 製品の使い方

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(画像の出所:コクヨの商品サイトより https://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/yarukipen/


いかがでしょうか。
広告は商品を売るためにある、とお思いの方が多いと思いますが、今や広告会社が商品開発も行う時代になっているのです。
プロトタイピングデザインというジャンルも広告業界の取り組みのひとつとして、大きな流れになっています。

広告業界は常に拡張しているのです。
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【今回は広告業界について全7回の連載でした。どれも興味深い内容ですので他の記事も是非ともご覧下さい】
↓ ↓

>広告業界の仕事の実態は、なぜ、あまり知られていないのでしょうか(メディア学部藤崎実)
>「広告」と聞くと不快なものを思い浮かべる人へ(メディア学部 藤崎実)
>広告業界からのゲスト講義①/データクリエイティブ/SOOTH吉澤貴幸さん(メディア学部 藤崎実)
>広告業界からのゲスト講義②/広告映像のおもしろさ/AOI Pro.加藤久哉さん(メディア学部藤崎実)
>広告業界からのゲスト講義③/ファンと一緒に行うアンバサダーマーケティグ/東京工科大OB吉田慎さん(メディア学部藤崎実)
>広告業界からのゲスト講義④/新時代の広告クリエイティブ/東急エージェンシー野澤直龍さん(メディア学部藤崎実)
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(メディア学部 藤崎実)

広告業界からのゲスト講義④/新時代の広告クリエイティブ/東急エージェンシー野澤直龍さん(メディア学部藤崎実)

2019年11月 2日 (土) 投稿者: メディア社会コース

2018年の「メディア特別演習」の授業では、広告業界の最前線でご活躍の4名の方々にお越しいただき、特別講義をお願いしました。これから4回にわたり、その時のことをブログに書くことにします。これから広告業界のことを知ろうと考える人のヒントになると思うからです。


第4回目は、クリエイティブディレクター/統合プランナーの野澤直龍さんです。

野澤さんが所属する東急エージェンシーさんは、東京赤坂に本社を置く、日本を代表する大手総合広告会社です。
また、東急エージェンシーさんの特徴は、今までにない広告を実現するために、Amazing Experience<驚くべき体験>というメソッドを掲げ、常に本質を問い、新しいやり方に挑戦しているところにあります。

その取り組みは幅広い分野で次々と実践されています。
例えば、渋谷をはじめとする街を舞台とした体験づくりにも東急エージェンシーさんが関わっていることは、一般にはあまり知られていません。

さて当日ご講演を行って頂いた野澤直龍さんは東急エージェンシーで最年少でクリエイティブディレクターになり、今、最も注目されているクリエイティブディレクターです。

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野澤さんのご講演は、大変丁寧に、広告の歴史の変遷を見るところから始まりました。
そもそも広告とはどういう存在だったのか。そして、広告はどのような経緯を経て、その形を変えてきたのか。

広告と人・社会との関係。知ってもらうこと。語ってもらうこと。
テレビの普及、インターネットの普及。HOW TO SAYからWHAT TO SAYへ、そしてHOW TO INVOLVEなど。

ブランドが解決すべき課題に広告が関与し、今や社会に欠かせないコミュニケーションになっていることが実感できる素晴らしい内容でした。

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ご講演の概略は下記です。
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2018年1130日(金)
ご講演:野澤直龍氏(東急エージェンシー クリエイティブディレクター/統合プランナー)
タイトル:「POWER OF ADVERTISING -世の中を動かす、新しい時代の広告クリエイティブ-

(参考サイト)
東急エージェンシー、新ユニット「TOMO」の活動を開始
◆「TOMOWebサイト 
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当日の詳細の全てはご紹介できませんが、とても有意義な90分でした。

なお、当日ご紹介頂きました野澤さんの作品「BEYOND NOW」は、2019年3月に開催された第22回「アジア太平洋広告祭(ADFEST 2019)」においてブロンズを受賞しました。この作品で野澤さんは、企画・クリエイティブディレクターとしてだけでなく、演出も行っています。

◆第22回「アジア太平洋広告祭(ADFEST 2019)」 においてブロンズを受賞

◆東急グループ「BEYOND NOW 

◆宣伝会議 (記事)エビマヨダンスが7年ぶりに復活!ピザーラの新CM

◆エビマヨクォーター「エビマヨダンス」篇


「上海に生きる人々が創り出すイルミネーション」
Creative Director + Planning Director: 野澤直龍 (Tokyu Agency)

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高い目標を持ち、着実に実績を作って歩んでいる野澤さんは、今後もますます活躍していくことと思います。

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野澤さん、貴重なご講演、ありがとうございました!


(メディア学部 藤崎実)

広告業界からのゲスト講義③/ファンと一緒に行うアンバサダーマーケティグ/東京工科大OB吉田慎さん(メディア学部藤崎実)

2019年11月 1日 (金) 投稿者: メディア社会コース

2018年の「メディア特別演習」の授業では、広告業界の最前線でご活躍の4名の方々にお越しいただき、特別講義をお願いしました。これから4回にわたり、その時のことをブログに書くことにします。これから広告業界について知ろうと考える人のヒントになると思うからです。


この日のゲストはアジャイルメディア・ネットワーク(ご講演当時)の吉田慎さんでした。
吉田慎さんは東京工科大学工学部情報工学科の卒業生、みなさんのOBです。ご卒業後はエンジニアとしてさまざまな企業で多くの事業を支えてきました。

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授業の前半は、アンバサダーマーケティングのお話でした。
アンバサダーとは、いわばファンのこと。今や企業は通常の広告だけに留まらず、自社のブランドのファンを活用したファンマーケティングに積極的に取り組んでいます。
ブランドのファンは、自発的かつ積極的にSNSやソーシャルメディアで自分の好きなブランドやサービスについて他人に推奨してくれるのです。

例えば、東京工科大学のセブンイレブンのレジのモニターには、「セブンイレブンアンバサダー募集」の案内が表示されていました。

こうした企業のマーケティング活動をサポートしているのがアジャイルメディア・ネットワークです。
そしてアジャイルメディア・ネットワークのシステムチームのエンジニアとして活躍しているのが吉田さんというわけです。

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写真は東京工科大学のセブンイレブンのレジ。
このモニターで募集している「セブンイレブンアンバサダー」という活動のバックグラウンドにある、システム制作やデータベース構築は吉田さんによるものなのでした。

アンバサダーマーケティングではファンの活動をデータベース化して、ファンのデータをストックしたり、活動を分析したりしています。そうしたシステム構築の業務に吉田さんは関わっているのです。
当日は、そうした仕事の裏話など、大変貴重なお話を聞くことができました。

当日のご講演の概略は下記です。
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2018年1123日(祝・金)
ご講演:吉田慎氏
タイトル:「ファンと一緒に行うアンバサダーマーケティグと、SNSマーケティングの裏側」

(参考サイト)「アジャイルメディア・ネットワーク株式会社」 Webサイト
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なお、吉田さんは、その後転職されて、現在はアライドテレシス株式会社にご勤務されています。
みなさんのOBということで共感の持てるお話ばかりだったことと思います。Photo_20191022220801
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みなさんのOBは、社会に出てご活躍されています。

その後に続いて、みなさんも頑張ってくださいね!

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吉田さん、貴重なご講演、ありがとうございました!

(メディア学部 藤崎実)

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