[シリーズ難聴-5]「指文字」の演習
2019年11月19日 (火) 投稿者: メディア社会コース
メディア専門演習「聴覚障害理解とコミュニケーション支援」では、聴覚障害者のコミュニケーション手段の一つである「指文字」を習得します。昭和初期に、ろう学校の教員である大曽根源助が渡米した際にヘレンケラーと出会い、アメリカ式指文字を知り、それを元に日本式の指文字を作ったそうです。手話の中で固有名詞を表現する時にも使われます。また、聴覚障害児が療育において言語を学ぶ際にも、指文字を使うことが有効な場合もあります。指文字表は以下のサイトからダウンロードできますので、ぜひご覧ください。
ちびむすドリル 指文字表
https://happylilac.net/sk1805311413.html
(リンクフリーのサイトです)
演習では、まず五十音を覚えます。「あ・い・う・え・お・か・き・・・」と順番に覚えますが、似ているものもあり、新しい言語を覚えるように最初は難しいです。しかし、それぞれの文字の由来を知ると、覚えやすくなります。「あ」はアルファベットの「a」、「き」は「きつね」、「め」は「目」のかたち、といった感じです。
図:「き」の指文字
五十音を覚えたら、就学前に幼児が覚える簡単な言葉の中から、濁音等がつかない単語を表現してみます。「オオカミ」「みかん」「たけのこ」「すいはんき」「のりまき」といった感じです。
次に、濁音、半濁音、拗音、促音、長音符を覚えます。ここまで習得すれば、全ての言葉を表現することが可能になります。「じゃがいも」「オートバイ」「せんぷうき」「スパゲッティ」といった感じです。
個人差はありますが、学生は2週間で概ね習得してくれました。若いので覚えるのが早いですね。さて、この演習においては、ここからが問題です。まだ言語を獲得していない聴覚障害児にとって、指文字を覚えるのはとても難しいことです。工夫した動画コンテンツや、インタラクティブな学習ゲームなどがあれば、楽しく、早く覚えられるかもしれません。指文字を覚えるという体験から、メディアを活用した聴覚障害支援につながるアイディアへと発展させるのが次のステップです。演習の後半で、学生がどのようなアイディアを提案するかに期待します。
次のブログでは、「手話」を覚える演習についてお伝えします。
メディア学部 吉岡 英樹
略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。
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