[シリーズ難聴-7]「手話」の演習(その2)
2019年11月21日 (木) 投稿者: メディア社会コース
前回は手話の歴史についてお話しました。聴覚障害者が虐げられていた過去や、手話が言語として認められていなかったことを初めて知った方もいいのではないでしょうか。今ではテレビなどで手話通訳者の方を見ることも多くなりましたので、手話を見る機会も多くなってきたのではないでしょうか。英語を学ぶのと同様、手話も新しい言語として学ぶことになります。手話が使えるようになると、ろう者の方など話ができる人が増えるのです。少し知っているだけでも、街中で困っている方を助けることが出来るかもしれません。
メディア専門演習「聴覚障害理解とコミュニケーション支援」では、同時手話通訳士による手話講座のDVDを見ながら、手話を学びます。今回は手話講座の1日目についてお伝えします。
図:手話を練習している学生の様子
まず最初に「あいさつ」です。コミュニケーションの基本ですね。「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」を覚えます。実は、「おはよう」という手話は「朝」と「あいさつ」という手話を組み合わせています。「こんにちは」は「昼」と「あいさつ」、「こんばんは」は「夜」と「あいさつ」です。次に、「初めまして。よろしくお願いします。」ですが、「はじめて」「良い」「お願い」を組み合わせることになります。このように、一つのフレーズを覚えると、いろいろな言葉を同時に覚えることにもなります。
次に「天候」です。「晴れ」「曇り」「雨」「雪」などを覚えます。では、「強い雨」はどのように表現するのでしょうか。「強い」と「雨」を組み合わせることも出来るのですが、「雨」という手話を少し大きな動作で、表情もつけることで「強い雨」を表現することができます。手話は手だけではなく、気持ちを込めた動作や表情が重要となります。音声言語を使う人が、言葉に気持ちを込めて強弱をつけたり、イントネーションを変えたりするのと同じです。手話も、相手に言いたいことが伝わるように、上手に"話す"ことが大切です。
最後は、「家族」です。 「私」「お父さん」「お母さん」「息子」「娘」などです。頬を人差し指ですっとなぞって「血の繋がり」を表し、「男」を表す親指を出して「お父さん」、小指だと「お母さん」となります。親指がお腹から出てくる様子を表して「息子」、小指なら「娘」となります。手話はそれぞれの表現に意味がありますから、それを同時に覚えれば習得するのが早くなります。
次回は手話講座の2日目についてお伝えします。
メディア学部 吉岡 英樹
略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。
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