文章体力をつけるために
2019年11月 7日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース
みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.
私は昨年助教として着任する前からプロジェクト演習シナリオアナリシスという授業を担当しているのですが,今期の演習参加者は全員が経験者という,例年の状況からするとちょっとめずらしい状況になっています.
シナリオ執筆は大きく分けて,物語の流れを作る「プロット」と,キャラクターの動きやセリフを描写していく「シナリオ」の2行程に分かれます.例年は「シナリオをはじめて書きます!」という学生も多いため,比較的プロット部分を重視して演習を行うことが多いのですが,今期は少し趣向を変えて実施しています.
シナリオアナリシスは演習の性質上,関連分野の他のプロジェクト演習を受講しつつシナリオアナリシスも受講するという学生が非常に多いです.シナリオ執筆はアニメはもちろん,ゲームやその他様々なコンテンツに関わりますので,メインはゲーム制作を勉強したいけど,シナリオの知識も欲しいから聴講したい!といったような学生も広く受け入れています.
ただ,そうなると学生側としては1週間でこなさなければならない課題が増えるので,なかなか大変です.そんな事情もあって普段はあまり重すぎる課題は出すのがためらわれる部分もあるのですが,今期は全員経験者ですので,「プロットを複数本,しかもいつもより短い時間でまとめて,しっかりシナリオまでかき上げよう」という,ちょっとチャレンジングなことをしています.
これは単に「経験者だから負荷をあげる」ということではなく,「文章体力をつける」という目的があります.将来的にもしシナリオライターやそれに準ずる仕事をしていこうと思った場合,もちろん「良いシナリオが書ける」ことも大事ですが,「ある程度のスピード感をもって仕事ができる,構想をわかりやすくまとめられる」ということが非常に重要になります.そのためにも,様々なストーリーを日頃から”アナリシス”して,まとめ上げる文章体力が重要だと考えています.
そして,このある程度のスピード感で構想をまとめあげる力は,なにもシナリオライターに限って必要な力というわけではありません.例えばアイディアを他人に伝えるためにまとめあげ,形にするという意味では研究も同じですね.私がメディア学部の学生だったころは,毎週のゼミで先生を納得させるために,自分の研究をシナリオ執筆の理論や手法をつかってまとめてプレゼンするということを先輩と一緒にやっていました.
さて,個人個人で多少の差はありますが,今期の受講生はそろそろプロット執筆の大詰め,シーン分割に入っています.これが終わればいよいよシナリオ執筆です.もちろん授業としてのやりがいとか,学生に伝えたいこととかはいろいろありますが,なによりも毎年学生のみなさんがどんな物語を書いてくるのかを,単純に楽しみにしています.
(メディア学部 兼松祥央)
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