年末年始は、なぜ、この時期なのか(2)
2019年12月31日 (火) 投稿者: メディア社会コース
(メディア学部教員 小林克正)
2019年12月31日 (火) 投稿者: メディア社会コース
(メディア学部教員 小林克正)
2019年12月30日 (月) 投稿者: メディア社会コース
2019年12月29日 (日) 投稿者: メディア技術コース
メディア学部の大淵です。
12月25日クリスマス当日に、大学院修士課程1年生のポスター発表会があり、私の研究室からも4人が発表しました。
マイニッケさんと渡邉さんは、二人ともシンセサイザーに関係する発表で、このブログでもご紹介したNICOGRAPHでの発表内容をベースにしたものです。それでも、学会発表から1ヶ月半ほど経っているので、学会のときにいただいたコメントなどを参考に、若干バージョンアップしたものになりました。
山口さんは、11月末に開催されたADADA Internationalで発表した、「タップ音の認識を利用したピアノ運指学習システム」に関する研究です。学会発表の様子については別途このブログで紹介させていただくつもりですが、今回はそれを和訳しての発表となりました。
松井さんは、来年2月のInternational Conference on Live Codingで発表する予定で、こちらはまだ発表前ですが、英語の論文等はできているので、準備は簡単でした。内容は、学会名にある通りの「ライブコーディング」に関するものです。こちらも学会から帰ってきたらブログ記事にしますので、楽しみにお待ちください。
4人とも、大勢の方から沢山のコメントをいただいたようなので、来年は更に研究を発展させていけると期待しています。
2019年12月28日 (土) 投稿者: メディア技術コース
2019.10.26 12:00
ダイビングスクールの人に車でホテルまで送ってもらいます.ところが,まだホテルへの距離の1/5も帰っていないあたりで,車の流れがピタッと止まる大渋滞です.白い花で飾られた車の回りを白い服を来た集団が歩いています.おそらくお葬式の行列です.この団体が道幅一杯歩いているので,追い越せません.反対車線も渋滞しているので,こちらの車線はこの集団の後をのろのろと着いていくしかないようです.15:00に間に合うのは無理かもしれません.せめて共著者の発表が15:40~なのでそれには間に合いたいと思うものの...
ようやくこの人達をやり過ごし,それでもどこも渋滞でホテルにたどり着いたのが12:30頃でした.ランチを近所のコンビニのレンジで温めるメニューの「てりやきチキン」で済ませ,ホテルでタクシーを呼んでもらいます.このホテルには入り口に「できるお兄さん」が居て,私が望むことが話す前に叶えられます.このお兄さんの役割はなんでしょうね.ドアマン的な?ドアを開けてくれて,部屋へ案内してくれて,タクシーを呼んでくれて,食事の時間を教えてくれて,的な,フロント業務を一手に彼が担っています.
タクシー(正規の格安タクシー)は予想したより早く来てくれました.会場名をメモした紙を見せて,向かってもらいます.14:00.何とかなるかもしれません!会場までは混んでも1時間だったと聞いています.
会場がある大学につき,入り口の警備員さんに会場になっている建物への行き方を聞き,向かってもらいます.ところが,ここか?という辺りに着いたのですが昨日とは違う道を来たので,よくわかりません.人気もありません.とりあえずタクシーを降り,辺りを探します.すると,この会議の参加証を下げた人が歩いていました.会場の場所を聞きます.坂をぐるっと上がったところのようです.
たどり着くと,参加書を下げた人たちがたくさんいます.どうもポスター会場でポスター発表が終わって休憩タイムのようです.辺りにいた人に会場の位置を聞きます.聞いた相手が会議の役員だったようで,現地の学生に会場へ案内するよう頼んでくれます.どうやら少し離れた建物のようです.
インスタ映えスポット発見!
いや,そんな悠長なことをしとる場合か!と言いたくなるところですが,うちの大学は後でこういった会場の写真(参加した証拠写真)がないと予算がおりないんですよ.
写真を撮ってくれた人が「ところでpresentationするのか?」と聞くので,「そうです」と答えると,「急がないと!」となり,これまた学生さんにpresentation会場まで案内を頼んでくれました.時間は14:40頃です.何とか間に合いそうです.
ところが,会場に入ってみると,間に合いたいと思っていた知り合いの発表がすでに始まっており,スライドは「conclusion」のタイトルです.「え?」と思いましたが,とりあえずConclusionから聞きます.彼女の発表が終わり,いったん休憩になります.
会場にいた先生たちに聞くと,彼女の前の発表者が居なかった(発表取りやめ)ので,繰り上げ発表になったそうです.本来は,「彼女の前の発表者→休憩→彼女の発表」だったのが,「彼女の発表→休憩→次の発表者」となったそうです.そんなことされたら40分ぐらい繰り上がります.皆が言うには,今回は全体がこんな感じだそうです.発表や質疑が短ければ早く終わり,ながければどんどん延びるそうです.この発表を聞きたいと思ったら,その時間ぴったりに行っても聞けないという話です.日本の学会だと,いやアメリカとかでもそうですけど,フロアーからの質疑が少なければ司会者が「では私から」と質問をひねり出し,フロアーからたくさんの手が挙がった場合は,「お時間ですので,後ほど個人的にお願いします」と切り上げられます.考えてみれば,これって「窮屈」ですよね.
そういえば昨日,屋根の真ん中から大きな木が生えている家がありました.皆で見て笑っていると,ジョシエ(現地人)が,「あれがフィリピーナなんだよ.普通はあの位置に木があったら伐るよね.でもフィリピン人の場合は`No problem! We can make it’で済ましちゃうんだよ」と言っていました.「おおらか」なんです.
「窮屈 Versus おおらか」いい対義語ができました(*^ ^*)
彼女の発表が早々に終わると,休憩です.なぜ休憩を繰り上げてくれなかったのか!お水と揚げバナナをいただきました.こういった国際会議では,休憩のたびに飲み物とお菓子がでるんですよね.それも楽しみの一つです.きっと,何を出すか会議してますよ.
フィリピンと言えば?
バナナっすね.
バナナ,生で出すのも能がないな.
あそこの揚げバナナ美味いっす!
ああ,あれな,でもあれ揚げたてじゃないと.
休憩直前に(学生に)買いに行かせましょう.
それで行きましょう!
的な.
直前に買いに行かせてるもんだから,休憩を繰り上げるわけにはいかない的な.
着いて早々,バナナを頬張る私(^ ^;)
何を話してたかすっかり忘れちゃいましたが,きっと「スキューバダイビングの話」をしてますよ.耳抜きのコツをつかむまでがたいへんだったとかなんとか.
その後,別の知り合いである人の発表を挟んで,共著者である石本さん(国立情報学研究所,東京工科大学演習講師)の発表を無事聞くことができました.
よく考えると,インスタ写真は発表が終わってからで良かったですね.
改めて,共著者3人で♡
2019年12月27日 (金) 投稿者: メディア技術コース
メディア学部の大淵です。
NICOGRAPHでの発表紹介の5件目は、3年生の山本さんによる「機械学習を用いた揚げ物の調理進行度の推定に関する検証」です。
この研究も「先端メディアゼミナール」の成果で、学会発表も行っています。
前回の発表は、なんといってもアイディアの面白さが際立っていましたが、そのぶんディテールの詰めに甘さがありました。学会でもその点を指摘され、ぜひそれを解決したいとこの半年がんばってきた成果を今回発表することになりました。
最も多かった指摘は「データのラベリングが恣意的なんじゃない?」というものでした。確かに、前回の発表で使ったデータは、綺麗に揚がったかどうかを山本さん本人の主観で決めてしまっていたので、データの信頼性には一抹の不安がありました。そこで、今回は複数の判定者に動画をじっくり見てもらい、その一致度を見ることでデータの信頼性を向上させました。また、分析に使う特徴量についても、より精密な分析を行いました。
研究は順調に進んでいますが、研究室のメンバーでは「次のデータ収集はいつにしようか?」「今度は何を揚げようか?」なんて話で盛り上がっていたというのは、ここだけの話ですが…
2019年12月26日 (木) 投稿者: メディア技術コース
メディア学部の大淵です。
12月6日の記事に続いて、NICOGRAPHでの発表紹介4件目をお届けします。今回は、3年生の大石さんによる「FSS手法と機械学習を用いた鉛筆の筆記音識別」です。
この研究も「先端メディアゼミナール」の成果ですが、既に一度学会発表を行っています。今回の発表は、そこからの半年分の進捗についてでした。
大石さんの研究は、鉛筆の筆記音から尖り具合を推定するというものですが、筆記音の違いには、筆者の癖や鉛筆の長さ、紙質、書く内容など様々な要素が影響するため、なかなか高い精度を得ることができません。特に、今回の研究では、必ずしも十分な量のデータが準備できなかったため、いわゆる「過学習」がかなり起きていると思われる状況でした。そこで、地道にデータ量を増やしつつ、Forward Stepwise Selectionと呼ばれる手法を活用して、過学習の影響を減らそうということを試みました。結果的には、60%を超える推定精度を得ることができ、まずは成功と言えるのではないかと思います。
2019年12月25日 (水) 投稿者: メディア技術コース
2019.10.26 9:00
文責:榎本
朝から少しだけ時間があったので,1人でスキューバダイビングに申し込みました.
本当は,ランチを挟んで2回ダイビングするコースしかなかったのですが,お昼から仕事だからとごねて,朝1回だけのダイビング,ランチを食べずに帰るという日程にしてもらいました.
お値段は6,450ペソ.少し高めですが,実は私1人だけのマンツーマンレッスンです.宿からダイビングスクールまでは道が渋滞していて,8:30に出たのですが,着いたのは10:00頃でした.
路々の風景です.
昨日,ジョシエ(現地人)から聞いたのですが,フィリピンで車を運転するということはディフェンスとオフェンスだということです.車とオートバイと乗り合いバス(Jeepny)が何車線なのか分からないぐらい入り組んでいる上に,道から人や犬が出てくるんです.信号はほとんどありません.バリ島と同じです.この首輪もしていないフリーの犬は`Street Dogs’と呼ばれていました.日本語で言うところの野良犬でしょうか?
今日も,路々Street Dogsが居ます.頑張ってカメラに納めてみました.
この他,Street 八木,Street 鶏 も居ます.
さて,いよいよドライビングスクールに到着です.Goproを持ってきていたので見せると,「いい!」と喜ばれました.でも,試し撮りしたらなぜかスイッチが入らないので色々やっていると,どうもメモリーカードを指し忘れていたようです.インストラクターのアーノルド(筋骨たくましい30歳ぐらいのフィリピン人,下の写真でボートの中に居る人)が,ジムのお姉さんに近所に買いに行くよう頼んでくれます.そんなこんなで,船出したのが11時ぐらいでした.
ごめんなさい.Goproは映像が壊れていて,水中映像ありません.
初スキューバダイビングです.
「初めてか!?」と聞くので「そう」と答えると「本当に初めてなのか!?」と.「そう」と答えると,まずは浅瀬でレッスンをすることになりました.
船上で,いくつか重要なことを教わります.
ジャケット右には,酸素吸入ホースが2本あり,1本は自分用,もう一本は誰かを助けるため用.
ジャケット左には,酸素ボンベの残量メータと,ジャケットに空気を入れるボタン,ジャケットから空気を抜くボタンがあります.浮きたい,沈みたいに応じて,このボタンを使い分けるそうです.
つぎに,「水抜き」です.深く潜った時に,耳にかかる水圧を抜く方法です.
1. ボンベ(口)から酸素をたくさん吸う
2. 鼻をつまむ
3. 息を鼻から吐き出そうとして耳から空気が抜ける
その次は「水中眼鏡の中に入ってしまった水を抜く」方法です.
1. ボンベ(口)から酸素をたくさん吸う
2. 上を向く
3. 水中眼鏡の上部を顔へ押さえつけながら,息を勢いよく吐き出す
最後はジェスチャーです.
・親指と人差指で輪を作って「o.k. 大丈夫 問題なし」という意味
・掌を下へ向けてヒラヒラさせて「駄目」
・掌を相手へ向かって開くと「ちょっと待って」
・人差し指と中指を交互に動かし「泳ぐ」
・人差し指と中指を第2関節で曲げて「膝立ち」
・グーで「危ない,近寄るな,触るな」
・親指と人差指を直角にして顎にあてると「カッコいい」
だそうです.覚えましたか?
では実際に水中に降りて練習です.
「水抜き」「水中メガネの水抜き」は順調にできました.ジェスチャーは練習しませんでした.さて,いよいよ水中散歩です.アーノルドの後ろについて,2Mぐらいの浅瀬を進んでいきます.
海上からみていたのでは分からない,小さな魚がたくさんいます.イソギンチャク的なものも海底にびっしりです.フィンでそれらを傷つけないように一定の距離を保って進みます.
アーノルドのジャスチャーを見て,「息抜き」を常にしながら散策します.
問題は,すぐに浮いてしまうことです.頭を下にとジェスチャーされるのですが,逆さ向いたまま浮いてしまいます.結局手を引いてもらう私です.
20分ぐらい水底にいたでしょうか,一度ボートへ上がって,もう少し深いところへ移動します.
浮いてしまわないためには,頭を下に持っていくこと,キックを大きくゆっくりリラックスして打つこと,だそうです.でも大方,上出来だそうです.
さて,今度は水深が4mぐらいのところで潜水です.
さて深海?へ.先程より暗いです.ずーんと沈んでいくと,ぐぐーっと耳が痛くなってきます.必死で水抜きするんですが,上手くできるときとできない時があって,かなり痛いままです.「待って」のジェスチャーをしながらひたすら水抜きです.アーノルドは「o.k.?」のサインをずっとしてくるので,ちょっと痛いけど我慢して「o.k.」します.海底の触ると一瞬で閉じるイソギンチャクに触らさせられたり,魚の群れを見せられたりしているうちに耳が痛くなくなってきます.基本は口で吸って口で吐くなんですけど,口で吸って鼻で吐く,をしていると自然に水抜きができるようになりました.水中メガネは鼻部分も覆われていて空気があまり鼻から出せないので,自然に耳から出るようです.この要領ならいくらでも深い所にいれそうです.
アーノルドも楽しませようと,口から空気の輪を出したり,髪の毛の回りの空気を集めて空気鉄砲を作ったりしてくれます.もう痛いとか言ってられないです.
海底は山肌になっていて,片方はずーっと深いところへ斜面が続いています.反対側は水面に向かって斜面がせり上がっています.あまり深いところへいくのは良くないとのこと,中腹あたりを遊泳します.
そうこうしているうちにアーノルドがジャケットからパンを取り出して,渡してくれます.それを持っていると,色とりどりの魚がパンを食べに私の手を目指して押し寄せます.手をパクパクされます.魚の大群に包まれる感じです.どの魚も掌より小さく可愛いのですが,量が多いとそれなりに緊張します.これがこのダイビングの最大の見せ場だったらしく,これで終了となります.
約1時間くらいのダイビングでした.耳抜きさえできれば,お散歩のようなもので,誰でもできそうです.
さて,15:00から同僚の発表とその後共著者の発表なので,それまでに会場に戻らねばなりません.
間に合うのか!?
2019年12月24日 (火) 投稿者: メディア技術コース
大分日が経ってしまいましたが、この度、タイのキングモンクート大学(KMUTT)と7月に行った共同シンポジウムの予稿集(論文集)を発行いたしました。これは、当日行われた口頭発表の概要や論文と、ポスター発表についてはポスターそのものを1ページ毎に掲載したものです。全体で74ページもあるものになりました。大学院生や学部生もシンポジウムのために英語でポスターを作成した成果を見ることができます。
予稿集の表紙と目次
今回、共同シンポジウムの成果を形として残すことができたことを大変嬉しく感じています。今後もこのシンポジウムは継続するだけでなく、多くの大学を交えてさらに発展させたいと考えています。メディア学部に現在在籍している学生の方だけでなく、今高校生の皆さんも、論文集に名前が載ることを目指してください。
予稿集は以下のシンポジウムのページから、どなたでもPDFファイルとしてダウンロードすることができます。
シンポジウムのウェブページ: “4th Joint Symposium of KMUTT and TUT”
https://ktcim.org/2019/jp/
シンポジウム自体の内容については、以下のページに記事がありますので、合わせてお読みください。
・東京工科大学 お知らせ
「メディア学部がタイのキングモンクート大学トンブリ校との共同シンポジウムを開催」
https://www.teu.ac.jp/information/2019.html?id=130
・メディア学部ブログ
「タイのキングモンクート大学と共同シンポジウムを開催しました」
http://blog.media.teu.ac.jp/2019/07/post-40945d.html
太田高志
2019年12月23日 (月) 投稿者: メディア技術コース
大学院メディアサイエンス専攻修士1年の佐藤葵君が「画像関連学会連合会第6回秋季大会」で最優秀ポスター賞を受賞しました。
画像関連学会連合会(日本画像学会・画像電子学会・日本写真学会・日本印刷学会)
第6回秋季大会(10月31日、会場:京都工芸繊維大学)
最優秀ポスター賞
佐藤葵、戀津魁、柿本正憲(東京工科大学)
「昆虫の複眼による見え方の推定と動体視認実験」
佐藤くんの研究は、昆虫の視覚、つまり外界をどう見ているかを探求するものです。いくつかの仮説に基づいて、多数の微小な個眼の集約である複眼による見え方を推定しました。
一方で、昆虫の複眼は動いている物体の認識に優れているはず、という別の仮説があります。今回の発表は、その検証実験により推定した見え方の妥当性を評価する報告です。実験はディスプレイ上に示した「普通の見え方」と「複眼の見え方」の両方で動く物を被験者の人が認識する早さを調べ、結果を比較しました。
ポスター発表の様子
この写真では説明を聴いている参加者は一人ですが、時間によってはとても多くの参加者が集まっていたそうです。写真学会の会長さんからも、たいへん気に入った研究ですというコメントを個別にいただきました。
この研究テーマのきっかけは、佐藤くんが虫が大好きだということです。卒研で虫をテーマにするには、という議論にはだいぶ時間をかけました。視覚に注目すればメディア学部らしい研究になり得るし、指導教員の専門分野なので指導もできます。これまでにも昆虫の色覚や人間の近視や乱視による見え方シミュレーションの研究は行ってきました。
この研究はまだまだ道半ばです。複眼による見え方にはわからないところがたくさんあり、これからの研究の進展が楽しみです。
メディア学部 柿本 正憲
2019年12月22日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース
月刊『CGWORLD + digital video』vol. 257(2020年1月号)に東京工科大学メディア学部 近藤邦雄教授の研究室の紹介記事が掲載されました。
2020年3月に定年という節目を迎える私の、約半世紀におよぶ研究人生をふり返っていくつかの研究トピックをまとめてみました。ざっと50年分の研究を4ページにしましたので、今後機会があれば、それらのトピック別にブログで紹介したいと思います。
編集担当者からは、「CGの研究者という働き方(生き方)の一例をお伝えする記事にはなったと思います。」とのコメントをもらっています。研究をコツコツと行っていくととてもいいことがたくさんあるということが分かります。これは研究に限らないことですね。継続していくことが今の自分の先の自分を作ってくれると思います。
記事に書かれた内容は下記のホームページで紹介していますのでご覧ください。
2019年12月21日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース
メディア学部の伊藤(謙)です。
私の先端メディア学/ゼミナール「ミュージック・アナリシス&クリエイション」では、その名の通り、楽曲分析や音楽制作を軸に、それらに関連したさまざまなトピックを毎回取り上げています。
先日の授業では「打ち込み」をしました。
音楽の分野で「打ち込み」というと、一般的にはシーケンサーやドラムマシンに演奏データを入力する作業や、その作業によって作られた楽曲を指します。メディア学部では、主に専門演習「作曲演習」やプロジェクト演習「DAW演習」で行なっています。
「作曲演習」での打ち込みの様子
でも、なぜ「打ち込み」というのでしょうか? コンピュータにデータを入れていくのですから、普通に「入力」で良いですよね?
実は今から40年ほど前は実際に演奏データを「打ち込み」していました。当時はデスクトップPCやシーケンスソフトはもちろん無く、音楽制作専用のディジタルのハードシーケンサーが音楽制作スタジオに設置され始めたころです。
その初期のシーケンサーとして有名なのは、日本の電子楽器メーカーであるRoland社のMC-8(1977年)とMC-4(1981年)です(※MCは「Micro Composer」の略です)。音の「高さ」や「長さ」を数値化し、その数字を本体のテンキーで一つ一つ入れていたことから「打ち込み」という言葉使われるようになったようです。
さて、今回はMC-4を使って、履修生5名が本来の「打ち込み」を体験しました。MC-4はMC-8と違って鍵盤からも入力できるのですが、ここは敢えて厳しい「いばらの道」を。全ての作業をテンキーのみで行いました。入力したのは、MC-4のマニュアルにサンプルとして掲載されている2小節の簡単なフレーズです。
いざ、テンキーを使ってMC-4に「打ち込み」中
まず、「ド[8分音符]ーミ[8分音符]ーソ[8分音符]ーミ[16分音符]ーソ[16分音符]…(続く)…」の音高を数値化したCVデータと呼ばれる「24」「28」「31」「28」「31」…の数字を打ち込みます。次に、音価(音符の種類による音の長さ)を数値化したステップタイムというデータを入力します。ここでは1拍(4分音符)を「120」としているので、「60」「60」「60」「30」「30」…の数字を打ち込んでいきます。最後にテヌートやスタッカートなど、音符の表情付けに関わるゲートタイムのデータを打ち込みます。マニュアルに記載された「40」「40」「50」「10」「10」…の数字をそのまま入れることにしました。
これら一連の作業を5人で分担して行なったのですが、初めての体験ということもあって、マニュアルと睨めっこしながら30分ほどかかったでしょうか。たった2小節で30分…。もちろん、慣れれば5分もかからずに入力できると思います。
悪戦苦闘しながら「打ち込み」に打ち込んでいるところ
(※左側に写っている2台もシーケンサーです)
なんとか「打ち込み」が終わったので、再生モードにしてプレイバックしてみると無事に入力できていました! …演奏時間はわずか5秒…。入力30分、演奏時間5秒です。最新の機材やソフトを使えば入力作業は1分もかかりません。
でも、過去の音楽制作を追体験することで、当時このようにして作られていた音楽を聴くときの「意識」は明らかに変わるはずです。それと同時に、音楽を取り巻くテクノロジーの発達や音楽制作の手法を知識としてだけでなく、実感をもって知ることでしょう。音楽に限らず、土台となっている基礎的な部分の理解は先端的な技術や知識の習得にも役立ちます。
ようやく音が出てホッと一安心
ところで、無事に入力と再生ができてバンザイ!といきたいところですが、このMC-4は電源を切ると、これまで苦労して打ち込んだデータが消えてしまうのです。では、どのようにデータを残すか?
実はカセットテープにデータ(音ではありません)を記録するのです。上の写真で、MC-4の背面に置かれているのがポータブルカセットレコーダーです。これを使ってカセットテープにデータを記録し、再びMC-4に読み込ませたところ、しっかり再生できました。メデタシメデタシ。
[文責:伊藤謙一郎]
2019年12月20日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース
本ブログをご覧の皆様,こんにちは.
メディア学部教授 菊池 です.
2019年12月7日(土)・8日(日)の2日間,八王子市東急スクエア11階・八王子市学園都市センターにて開催された「第11回大学コンソーシアム八王子学生発表会」において,菊池研究室所属の4年生13名がこれまでの卒業研究の成果を発表しました.
「大学コンソーシアム八王子学生発表会」は,大学コンソーシアム八王子に加盟する大学・短大・高専で学ぶ学生が 一堂に会し,自らの学びの成果(研究成果)を論理的に説明し,相手に理解させるコミュニ ケーション能力を育むことで,日頃の学びを深めることを目的にしています.
いつもとは違う環境で,他大学・他分野の発表を聴講したり,他大学の学生とのディスカッションを行うことによって,今後の研究に役立てることができると思います.
今年度,我々菊池研究室のメンバーは,「メディア・デジタルコンテンツ」のセッションを中心に,口頭発表11件と展示発表2件の発表を行いました.
そして,計5件の「優秀発表賞」と「準優秀発表賞」を受賞しました.
菊池研究室では,今後も積極的に学外での研究発表を行っていきたいと思います.
図.展示発表,および授賞式の様子
図.菊池研の受賞メンバー
関連サイト:
メディア学部の学生たちが第11回大学コンソーシアム八王子学生発表会で優秀賞と準優秀賞を受賞
文責:菊池 司
2019年12月19日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース
11月からは全員がPCに向かい、最終提案物の3DCGモデリングに入りました。そして、前回のブログでもアナウンスしましたが、3DCGモデリングを前に、レクリエーションも兼ねて、実はプロセスとしても重要な粘土遊びを行いました。この粘土遊びは自由に加工しやすい材料で外観を確認しておこうという作業です。使用材料としては、発泡樹脂・木材・厚紙などもいいのですが、エンタメ性もあって楽しいのは、やはり粘土。「遊び」と書いてしまいましたが、新規性が高いプロダクトほどこの作業は重要になります。すぐに3Dプリンタで確認しようかという選択もあるのですが、データ入力後に完成まで待つのを繰り返すのと、途中で適切な形に変えながら考察するのでは、意義・価値が違います。
それぞれのフェーズでの適切な手段というのがあります。「粘土遊び」、やってよかったと思います。最終提案物のリアルな具現物表現は何人かの学生は3Dプリンタ出力し確認するようです。これもなるべく実施してほしいです。年末も近くなり、今年度の卒業研究「プロダクトデザイン」も残るは最終提案物の3DCGモデリング、卒論の完成、そして最終発表を残すのみの段階となりました。
メディア学部 萩原祐志
2019年12月18日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース
メディア学部20周年の記録をまとめて発行する計画が進んでおり、12月中には発行予定です。その中にメディア学部の多くの先生がかかわってきた教科書についても書いています。ここでは、それをより詳しくして紹介します。
1.メディア学部創設からの夢
メディア学部,初代学部長,前学長の相磯 秀夫先生が「メディア学大系」教科書シリーズの刊行に寄せて、次のように体系化の必要性を書いている。
『未来社会におけるメディアの発展とその重要な役割は多くの学者が指摘するところであるが,大学教育の対象としての「メディア学」の体系化は進んでいない。』
そして、メディアについて次のように述べている。
『東京工科大学は1999年4月世に先駆けて「メディア学部」を開設した。ここでいう,メディアとは「人間の意思や感情の創出・表現・認識・知覚・理解・記憶・伝達・利用といった人間の知的コミュニケーションの基本的な機能を支援し,助長する媒体あるいは手段」と広義にとらえている。』
さらに、メディア学部の充実した教育から学問的基礎が確立できる見通しも示している。
『「文・理・芸」融合のメディア学部は創立から13年の間,メディア学の体系化に試行錯誤の連続であったが,その経験を通して,メディア学は21世紀の学術・産業・社会・生活のあらゆる面に計り知れない大きなインパクトを与え,学問分野でも重要な位置を占めることを知った。また,メディアに関する学術的な基礎を確立する見通しもつき,歴年の願いであった「メディア学大系」の教科書シリーズ全10巻を刊行することになった。』
大学は学問を作るところである。創設当時には参考になる教科書がなく、教員が先端的な研究を行い、その成果を教育に生かしてきた。そして、それらの内容をまとめてメディア学の体系化を進めてきた。この成果をもとに2011年にメディア学をまとめた教科書シリーズの執筆の計画が始まった。メディア学大系とメディアキーワードブックを合わせた20冊の刊行は、20年間の研究と教育成果をもとに体系化を進めるうえで重要なメディア学部の活動であった。メディア学大系の刊行を実現していただいたコロナ社に深く感謝する。
2019年12月17日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース
こんにちは。コンテンツコースの椿です。
メディア学部 Movie Libraryでは、新しい動画11本を公開しました。
赤字でNEW!と書かれているものです。それぞれ、研究内容を1分程度に凝縮して説明しています。
研究内容もさる事ながら、メディア学部で研究を行うことの魅力は伝わりましたでしょうか?
その魅力とは、自分の研究テーマが好き!ということだと私は思います。
動画はYouTubeの東京工科大学公式チャンネルでも公開していますので、こちらもぜひご覧下さい。
2019年12月16日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース
2019年12月12日 (木) 投稿者: メディア社会コース
現在の研究室では,先ほども書いたように4年生が卒業研究の仕上げの時期となりみなさんが取り組んでいます.
4人の学生さんは就職の際の面接の研究をしています.どのように面接の担当者が助け船を出すか,また抽象的な
ことを(ついつい言ってしまうのですが)どうやって具体的な文言に代えるのか,またエピソードをどのように話すと
伝わるのかあるいは伝わらないのかが分かってきました.
指導している私も同じく学ぶことがあります.
色々な方のご協力の下,これらの研究をしているのですが,この研究を是非これからも進めていきたいと思っています.
山崎 晶子
2019年12月11日 (水) 投稿者: メディア社会コース
今,研究室にいる4年生は卒業研究のしあげのために,忙しく過ごしています.
色々なテーマがあるのですが,街を歩くということを分析する方もその一人です.
私たちはいつも人と話していますが,どうやって解散をするのでしょうか?
また,どうやって人と一緒に歩くのでしょうか?
あまり多くの人が考えるテーマではないのですが,このようなことも研究のテーマとなっています.
興味のある方は一緒に考えてくれるとうれしいです.
山崎 晶子
2019年12月10日 (火) 投稿者: メディア社会コース
人の印象とはいう記事を書きましたが,ジェンダーや家族は時代によって印象や知識が揺れ動いています.性別再適合手術を受けている方が親であるお子さんのお話を読んだことがありますが,その方はアニメーションなどによって前にもそのような家族を見ていて,自分も抵抗がなかったということをおっしゃっていました.
ジェンダーや家族とはメディア学部からは遠く離れたもののように思えるかもしれません.でも,本やテレビや映画,報道などだけではなく,アニメーションやゲームも私たちが人を捉えるときの大きなきっかけとなっています.メディアとジェンダーは古くて新しいテーマです.そしてメディアと印象ということも同じです.
どんな家族の形が今は印象が良いのかなということを考えることは,実はメディアとジェンダーを考え始めているのです.
山崎 晶子
2019年12月 9日 (月) 投稿者: メディア社会コース
私たちは良くあの人は一人っ子だからね(かくいう私も一人っ子です),あの人があんなことを言うのって女の人だからね(私も女性です)などと言います.今も私に似た人はあまりお目にかかったことはありませんが,受験生だった頃はこのような言葉には猛烈に怒っていたこともあります.
しかし,今になって思うことは,人と何らかの関わりを持つとき,さしあたっては女性(性別)や一人っ子(家族の構造)などで印象を切り取ろうとすることは誰でも行うことだということです.特に,性別や家族の構成などは多くの人は,色々な知識や偏見を持っています.そのようにしなければ初めて会う人に,私たちは何の手がかりもなしにコミュニケーションを開始しなければならなくなります.
私は色々な研究をしていますが,この人を捉える印象,どのように分類するかということに関心を寄せ続けています.ジェンダーや家族という専門用語で語られることが,本当は何なのかと探求することが社会学の仕事の一つだと考えています.関心を寄せて一緒に考えてくれる学生さんが増えることを望んでいます.
山崎 晶子
2019年12月 8日 (日) 投稿者: メディア技術コース
11月の26日から28日まで、マレーシアのクアラルンプール近郊で行われた学会(ADADA International 2019)に参加して参りました。学会自体にはすでに他の先生についての記事があるようですし他にも出てくるでしょうから、ここでは私個人の体験と感想だけにいたします。
学会前日の飛行機は、濃霧のため成田で飛行機に乗ってから1時間半ほど待たされ、クアラルンプールの航空上空では雷雨による着陸待ちの混雑のため、旋回して待っておれとのお達しとのことで、こちらでも20分ほど遅れ、結局2時間ほど到着が遅れました。ということで、ホテルについたのが夜の10時半すぎになってしまいました。
ディスプレイに映った飛行機の航路。旋回してます。
翌日は学会のオープニングでしたが、この学会のオープニングとしてこれまでになく豪華?な感じで行われました。実施会場は現地の大学でしたが、そこの学生も観客として集められたようで盛況な感じが醸し出されています。コーヒーブレイクになって、その後キーノートと呼ばれる招待者による講演が3つほどありました。そして昼ごはんになるのですが、そのときに「係の人が、座長担当の出席を確認してましたよ?」と近藤先生からのお言葉。なんじゃそれ?ここで初めて聞きましたよ?当日渡されたプログラムを見ると、本当だ、座長にされてる(なってる)。
「座長」というのは、学会ではいくつかのまとまったグループ(セッションと呼びます)毎に発表を行うのですが、そこでの司会をしろ(する)ということです。司会なんて簡単だから当日知らされるのでもまあいいじゃない、と感じるかと思いますが、座長の重要な仕事は実は司会そのものにあるわけではありません。学会では発表の後、質問やコメントをもらって議論する時間があります。日本やアジアの学会だと、このときに聴衆から質問があることが非常にまれです(欧米の学会だと盛んなことが多い気がします。お国柄でしょうか…)。そのときは時間が空いてしまいますので、座長が何か質問かコメントをしなければならないということになっているのです。今回は8件ほど発表がありましたので、それらほぼ全部について適切な質問をしなければならないということが座長の仕事として予想されるわけです。普通は事前に論文を読んで内容を理解しておくようなことをするのですが、当日の発表直前に知った私はそんな余裕が無いうえに、青いロジャーフェデラーのTシャツとジーンズというくだけた格好でおりました。まあ、格好はしょうがないですし、いまさら多少の知識を仕入れても中途半端なので新鮮な状態で発表を聞かせていただきました。
この格好で座長をするはめに…
翌日は自分の発表の番です。いままで行ったデジタルサイネージの研究をひとまとめにしたものを話しました。内容としては、コンテンツ内の人物やキャラクターからチラシをもらったり、複数ディスプレイをまたいで広告内の人物がおいかけてくるようなデジタルサイネージのアイデアについてです。写真だと少しまともな格好をしているように見える?かと思いますが、外が暑いせいか室内の冷房がきつくて寒いため長袖のシャツを着たのです。Tシャツよりまともに見える気がいたしますね。質問は、互助会的に同じ大学の先生や知り合いの先生がしてくださったため、議論が活発だったような感じにすることができました。どうもありがとうございました。
ただ、座長をしたセッションもそうだったのですが、オープニングの豪華さに比べると、発表を聴講している人は、自分自身もそこで発表する人がほとんどで少しさびしい感じでした。そうした人達は自分の発表のために余裕がなく、他の人の発表に質問をすることがほとんどありません。もう少し一般の聴講者が多くなって、活発な議論がある学会になるといいなあと感じました。
発表の勇姿
最後に、ナイトマーケットの写真と、電車の写真をおまけにつけます…。私は外国に行くと電車やバスに乗ってみたくなるのですが、マレーシアは距離によらずどこに行くのもタクシーの国だったので、ひたすらタクシーばかり乗っておりました。最後の最後に、空港に行くときに電車に乗ることができました。よかった…。
太田高志
2019年12月 7日 (土) 投稿者: メディア技術コース
こんにちは。今回は趣向を変えて、食品サンプルを学内に置いてみつつVRとの関係を考察しました。まずはスパゲッティのあるキャンパスの風景をお楽しみください。
研究棟C前のスパゲッティ
片研(片柳研究所)を臨むスパゲッティ
さて、食品サンプルですが世の中に役立つ研究にも使われています。ビュッフェ形式で食べ物を選び取る行動の研究で、本物の食品の代わりに使われています。例えば、1種類の野菜より複数種類の野菜から選べるような食事にしておくと、野菜を取る量が増えるということがわかったという研究があります[1]。どうすれば人が野菜をたくさん食べられるかを調べるのに活用されているのです。
さらに、上記のような食事のときの行動を調べる実験で、VRの食品サンプルでもできるということを示した研究もあります[2]。VRの食品を選ぶ行動と現実の食品サンプルを選ぶ行動とを比較すると高い相関がみられたというものです。写真ではなく現実感のあるVRだからこそ実際の食べ物を取るときと同じ感覚になるのかなと思います。レンダリング技術(CG描画技術)がさらにリアルになればなるほど食欲を誘って現実の食品摂取の行動に近づきそうですね。
店先でどういうメニューがあるか選ぶためだけでなく栄養学的な研究という意外なところで食品サンプルとVR食品サンプルが役立てられているというお話でした。
メディア技術コース 越智
参考文献
[1] Bucher, T., van der Horst, K., & Siegrist, M. (2011). Improvement of meal composition by vegetable variety. Public Health Nutrition, 14(8), 1357-1363.
[2] Ung, C. Y., Menozzi, M., Hartmann, C., & Siegrist, M. (2018). Innovations in consumer research: The virtual food buffet. Food quality and preference, 63, 12-17.
2019年12月 6日 (金) 投稿者: メディア技術コース
メディア学部の大淵です。
NICOGRAPHでの発表紹介の3件目は、3年生の加藤さんによる「輪ゴムの弾き音からの温度変化自動推定」です。
加藤さんは、1~3年生の間に卒業研究に準ずる内容を学べる「先端メディアゼミナール」の履修生でした。そこで、音響処理と機械学習の基本を学んだあと、この研究テーマを自ら提案してくれて、半年間の研究の成果を今回発表することになりました。最初は、比較的簡単に実験できるテーマだと思ったのですが、せっかくだから沢山のデータを集めようと、実験を自動化する装置を自作することにしてからは、なかなか苦難の道でした。でも、メディア学部の羽田先生にも協力していただき、どうにか装置が完成してからは、順調にデータ収集が進み、そのあとの分析も納得のいくものでした。
発表時には「それでこの研究は何の役に立つの?」なんて聞かれて、ちょっと答に詰まる場面もありましたが、輪ゴムそのものはともかく、いろいろな部品の打音検査などに役立つ可能性を秘めた研究です。今後の成果にも期待したいと思います。
2019年12月 5日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース
伊藤彰教です。
三上先生・安原先生と共に継続的に取り組んでいる、学生による国際的なゲーム開発教育プロジェクト「International Game Studio」ですが、今年はバウハウス100周年ということで、バウハウスを主題にしたゲーム開発に取り組んできました。
『3回目のハルツ大学(ドイツ)との国際共同遠隔ゲーム開発』(三上先生)
『ゲーテ インスティトゥート東京での「"Playing Bauhaus" プレイングバウハウス展」を振り返って』(安原先生)
特に今回はアート&デザインがテーマのゲームということで、エンタテインメント系のゲームに興味がある学生だけでなく、プロジェクト演習「クリエイティブ・アプリケーション」を担当する近藤先生および演習講師の渡邊賢悟先生にもご協力をいただき、幅広い分野からの学生が集まった多様性豊かなチームになりました。
そしてこの度、IGDA Japan(国際ゲーム開発者協会日本支部)で重責を担っておられる小野憲史さまに取材をいただき、CGWorldに掲載いただきました。
『バウハウスをテーマにどんなゲームをつくる? 日本とドイツの学生が共同制作で挑んだ「プレイング・バウハウス」発表会レポート』(CG World.jp 2019/12/5公開)
「Playing Bauhaus」は、世界的なバウハウス100周年の記念を世界中で祝う1年がかりの大イベント「100 Jahre Bauhaus」の一環として、ドイツ国際文化交流機関であるゲーテ・インスティテュートが公式のイベントとして企画したものです。いわばドイツ公式のバウハウス記念イベント。これにゲーム開発として参加できたことを非常に光栄に思います。
「バウハウスって建築とかビジュアルデザインなんじゃないの?」
今回の展覧会は「バウハウスの理念・手法などを未来に活かすには」という意図でまとめられた「バウハウス・オープンエンド」という一連の企画展の一部であり、今日的な、そして未来に向けたあらゆる意味での「デザイン」の可能性を示すという意味が込められています。「グロピウス、イッテン、カンディンスキーらが2019年のいま生きていたら…ディジタルメディアのデザインやゲームにもきっと興味をもったはず」。ドイツ・日本でこのプロジェクトに関わった教員や学生は、デザインという意味の源流・本質を再確認しつつ、現在に写像する試みにチャレンジしました。
会期中では、これまでオンラインでしかコラボレーションできなかった日独の学生が、ライブでゲームの新しいステージをゲームジャム形式で作ってしまうなど、学生さんたちの目覚ましい伸びは素晴らしかったです。
最初はお互い慣れない英語でおどおどと話し合っていましたが、会期が終わる頃には笑顔で仲良くなっていました。ことばの壁を超えてゲームが「メディア」となっていることを実感します。これからを生きる学生さんたちが才能をのびのびと羽ばたかせられる環境を、メディア学部はこれからも整備し続けます。
2019年12月 5日 (木) 投稿者: メディア技術コース
メディア学部の大淵です。
しばらく間があいてしまいましたが、NICOGRAPHでの発表の紹介を続けたいと思います。2件目は、大学院生の渡邉さんによる「画像入力を用いたグラニュラーシンセサイザー」です。
渡邉さんは、様々なシンセサイザーの中でも「グラニュラーシンセサイザー」というものに興味を持って研究を進めています。グラニュラーシンセサイザーとは、既存の音楽などを長さ数ミリ秒ぐらいの粒(グラニュラー)に刻み、その粒を繰り返し再生することで音を作るというものです。そしてその原理ゆえに、どのようなグラニュラーを用意するかによって、できあがる音が大きく変わってくるわけです。
渡邉さんの研究は、このグラニュラー作りのステップで、カメラで取得した画像情報を活用しようというものです。発表ではデモ機による実演もあり、さまざまな写真が音に化けていく様子を見ていただくこともできました。今はまだ、写真を撮ってみるまでどんな音になるのかわからない状態ですが、この先研究が進めば、綺麗な音を作るための様々なコツがわかってくるのではないかと期待しています。
2019年12月 4日 (水) 投稿者: メディア技術コース
2019.10.25 午後
午後は,口頭発表が2会場に分かれて続きます.タイトルの後の()内の英語は参考のため私が勝手につけています.
Sefad Theater Hall (1つめの会場)
・voisTUTOR Corpus: A Speech Corpus of Indian L2 English Learners for Pronunciation Assessment (インドの英語学習者の言語コーパス)
(Chiranjeevi Yarra, Aparna Srinivasan, Chandana Srinivasa, Ritu Aggarwal and Prasanta Kumar Ghosh)
・Automatic Pronunciation Generator for Indonesian Speech Recognition System Based on Sequence-to-Sequence Mode(インドネシア語の音声認識)
(Devin Hoesen, Fanda Yuliana Putri and Dessi Puji Lestari)
・Indian Languages Corpus for Speech Recognition (音声認識のためのインド語コーパス)
(Joyanta Basu, Soma Khan, Rajib Roy, Dipankar Ganguly, Babita Saxena, Sunita Arora, Karunesh Arora, Shweta Bansal and Shyam Sunder Agrawal)
Virtual Training Room (2つ目の会場)
・LOTUS-BI: a Thai-English Code- mixing Speech Corpus (タイ語と英語の混ざったコーパス)
(Sumonmas Thatphithakkul, Vataya Chunwijitra, Phuttapong Sertsi, Patcharika Chootrakul and Sawit Kasuriya)
・An Acoustic Study of Affricates Produced by L2 English Learners in Harbin (中国ハルビン市(伊藤博文が暗殺された所)の英語学習者の摩擦音の音響的研究)
(Chenyang Zhao, Aijun Li, Zhiqiang Li and Ying Tang)
などの発表がありました.
最後はポスター発表です.以下のような感じ.
・Mandarin Mispronunciation Detection and Diagnosis Feedback Using Articulatory Attributes Based Multi-task Learning (中国語誤発音の検出)
(Xuan-Bo Chen, Yueh-Ting Lee, Hung-Shin Lee, Jyh-Shing Roger Jang and Hsin-Min Wang)
・Phoneme segmentation using fractal analysis (フラクタル分析による音素セグメンテーション)
(Parabattina Bhagath and Pradip K Das)
・Assamese Database and Speech Recognition (アッサム語データベースと音声認識)
(Barsha Deka, Priyankoo Sarmah and Samudra Vijaya)
・Filipino-English Continuous Speech ASR: Towards Application of a Closed Captioning System for Philippine TV News Broadcast(フィリピン英語の連続音声)
(Emmanuel Malaay, Armil Monsura, Rafael Ventura and Alexa Ray Fernando)
・Contextual tonal variation in disyllabic sequences of Yangzhou Mandarin (揚州地区中国語の2音節の文脈的音調)
(Xin Li)
・Design and Development of Stuttered and Autism Spectrum Disorder Speech Database for Marathi Language(マラティー語( インド西部)の吃音と自閉症発音のデータベース)
(Swapnil D Waghmare, Vijaykumar M Nayak, Ratnadeep Deshmukh, Sangramsing Kayte, Vandana Jadhavpatil and Vishal Waghmare)
・Gender, Age, and Dialect Identification for Speaker Profiling(話者識別のための性別・年齢・方言)
(Jooyoung Lee, Kyungwha Kim, Kyuwhan Lee and Minhwa Chung)
Oriental-COCOSDA(アジアの音声データの標準化と評価)というだけあって,実に様々な言語音声に関する発表が繰り広げられている感じが伝わりますでしょうか?
さあ,ようやく1日目が終わりました.この後は,`Welcome Reception’です.学会側が用意してくれる歓迎パーティです.
フィリピン料理の数々と,開催校合唱団によるフィリピン歌謡の披露がありました.
素敵なホテルのレストラン.ビュッフェ形式でお料理を各自取ってきていただきます.お料理(フィリピン料理)は取り忘れました.
アルコールだけ自腹です.こちらフィリピンのラム酒,確か60ペソぐらいでした.お洒落,斜め傾きグラス.
1日目が暮れていきます.
2019年12月 3日 (火) 投稿者: メディア技術コース
2019.10.25 午前
文責:榎本
学会初日です.場所はサンカルロス大学(University of San Carlos)のMichael Richartz Center Hallという建物です.
朝8:00から受付が始まり,8:40に開会のご挨拶,9:10から最初の講演という感じです.
最初の講演者はShirley Dita先生です.フィリピンのルソン島にあるDe La Salle University の方です.アブストラクトを引用しておきます.
The Phonology of Philippine English
Shirley Dita
Associate professor, Department of English and Applied Linguistics, De La Salle University
The first recognition, arguably, of Philippine English as a distinct, nativized variety, was in the late 1960s with Llamzon’s (1969) controversial publication, Standard Filipino English. Since then, there have been a copious body of research on the different aspects of this emerging variety – lexical, grammatical, discoursal, and phonological studies. But the latter appears to be the least explored of all the areas. This presentation will focus on the phonology of Philippine English by tracing the literature from Llamzon’s (1997) pioneering work to Tayao’s (2004) groundbreaking work which used sociolectal approach. Likewise, more recent studies that looked into the other dimensions of English(es) as spoken in the Philippines (e.g., Berowa, 2019) and those that use a different approach (cf. Lesho, 2017; Lee & Low, 2019) are included. Additionally, a more pressing issue relevant to phonology is the intelligibility and comprehensibility of these new Englishes. Works on the intelligibility of Philippine English (cf. Dita & De Leon, 2017; De Leon & Dita, 2019) are likewise discussed in the presentation, focusing on the relevance of research on these areas in this time and age.
フィリピン英語の音韻論ということで,フィリピン英語がなぜ今のような音韻になったかというお話です.
続いて,Ariane Borlongan 先生です.東京外国語大学の先生なんですね.同様にアブストラクトの引用です.
Filipinos speak the way they write(?): Corpus-based findings on stylistic variation in Philippine English
Ariane Borlongan
Lecturer in Sociolinguistics, School of Language and Culture Studies, Tokyo University of Foreign Studies
Among the most persistent characterizations of Philippine English is that it is stylistically homogenous. In this paper, I shall (1) narrate how and why Philippine English has been described as stylisitically homogenous, (2) review recent corpus-based studies which make comparisons of Philippine English registers, (3) comment on the evolution of Philippine English as a new English using stylistic variation as a measure of developmental progression. Methodology-wise, I also intend to discuss how these findings (as well as contemporary corpus-based methodology) may more accurately describe stylistic variation in Philippine English (in particular) and the evolution of Philippine English (in general).
こちらもフィリピン英語の話し言葉についてで,どんな風にどうしてスタイル的に均質になっているのかというお名無しです.
続きまして,お待ちかね.ランチタイムです!
少し街から離れたレストランです.フィリピン料理の数々,すごく美味しいんです.
辛い料理をとお勧めをたずねて出てきた料理.辛味噌肉炒め的な.味噌というかスパイシーな調味料です.
出てくるまで何か分かりませんでしたが,カレーでした.赤いのに注意して食べます.
この子も赤いの入ってるでしょ.注意しましょう.
こいつは安心の焼きぞば.
この他,豚(鶏?)の炭火焼やご飯もたのみました.
満腹満足です〜(*^^*)
2019年12月 2日 (月) 投稿者: メディア技術コース
こんにちは。メディア学部健康メディアデザイン研究室の千種です。
今回はヒトの寿命が哺乳類の中で異常であり、それを哺乳類の心拍数という視点で説明してみたいと思います。高校生や大学生の皆さんは大型動物の方が小型動物よりも心拍数が遅いことを知っている人も多いと思います。これに関連して、ローチェスター大学名誉教授の秋山俊雄氏が、哺乳動物の心拍数と寿命の間に興味深い関係があることを分析した米国ハワード・ヒューズ医学研究所のBeth Levine博士の研究を紹介しています。この論文( http://new.jhrs.or.jp/pdf/education/akiyamalecture07.pdf )では、大型動物は小型動物に比べて心拍数が少なく、寿命が長い傾向があるという分析結果を提示しています。
上図は、横軸に平均寿命、縦軸に心拍数を対数プロットしたグラフです。両者の間には、ヒトを除いて、直線関係の法則があり、心拍数が早い小型動物よりも心拍数が遅い大型動物ほど寿命が長いことがわかります。例えば、体重30gの小型動物のマウスの心拍数は500[bpm](beats per second、一分間あたりの心拍数)以上で、寿命は約 2年になっていますが、30~150[t]のクジラの心拍数は15〜20[bpm]で、寿命は 30〜32年、5~6[t] のゾウの心拍数は40[bpm]で、寿命は約70年になっています。
このグラフではヒトだけが例外となっていて、その寿命は大きく右方に位置しています。つまりヒトだけが圧倒的に(異常に)寿命が長いということが分かります。ヒトは文明社会を進化させ、健康管理や医療の恩恵を受けて生活しているので、厳しい自然のなかで暮らす野生動物よりも長生きであると考えられています。つまり、ヒトの進化が寿命の延命化を実現したということになります。また、家猫は、ヒトの家庭環境の中で生きているので、野良猫よりも寿命が長くなる、と同じような意味合いになります。
下図は哺乳動物の生涯心拍数(Heart beats/Life time)と寿命の関係をプロットしたグラフです。大型動物と小型動物では心拍数は大きく異なっていますが、哺乳動物の一生の間に心臓の脈動の総数を観測すると、それらは (7±5)×10^8 の付近に分布しています。つまり哺乳動物は心臓が約2~12億回程度の脈動ができる寿命の動物であるということが解ります。
これは人生百年時代に近づくとともに健康寿命と平均寿命との差が社会問題化していることに対する新たな気づきになるのではないでしょうか。
2019年12月 1日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース
コンテンツコースの竹島です。
先日発売された週刊東洋経済 11/30号の「理・工・農・医のすべてがわかる 本当に強い理系大学」において、研究分野別学部・学科一覧表にお名前をあげていただきました。ありがとうございます。紙面の写真を載せていいか不明なので、気になる方は購入してください(笑)
コンピュータグラフィックスの研究をしている研究室ということで掲載していただきましたが、少し細かく説明をすると「コンピュータグラフィックス技術を用いた可視化」に関する研究をしています。
可視化は様々なデータに潜む情報を画像に変換し、解析を可能にする技術です。
例えば、工業製品の設計や医用分野での診断、膨大なマーケティングデータの分析など、広い分野で利用されています。
実はメディア学部は、コンピュータグラフィックスの研究をしている先生方が大勢いるかなり珍しい大学です。
一言で「コンピュータグラフィックスの研究」といっても、私のように「可視化」の研究を専門としている場合もあれば、コンピュータグラフィックスの王道である「映像」、「アニメーション」、「ゲーム」などを専門とされている先生方もいらっしゃいます。
コンピュータグラフィックに興味がある学生さんは、自分がもっとも興味がある内容で専門的に学ぶことができるのです。
今回の記事をきっかけに、メディア学部に興味をもってくれる方が増えてくれると嬉しいです。
(文責:竹島)