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先端メディア学/ゼミナール(ミュージック・アナリシス&クリエイション)で「打ち込み」に打ち込みました

2019年12月21日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤(謙)です。

私の先端メディア学/ゼミナール「ミュージック・アナリシス&クリエイション」では、その名の通り、楽曲分析や音楽制作を軸に、それらに関連したさまざまなトピックを毎回取り上げています。

先日の授業では「打ち込み」をしました。

音楽の分野で「打ち込み」というと、一般的にはシーケンサーやドラムマシンに演奏データを入力する作業や、その作業によって作られた楽曲を指します。メディア学部では、主に専門演習「作曲演習」やプロジェクト演習「DAW演習」で行なっています。

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「作曲演習」での打ち込みの様子

でも、なぜ「打ち込み」というのでしょうか? コンピュータにデータを入れていくのですから、普通に「入力」で良いですよね?

実は今から40年ほど前は実際に演奏データを「打ち込み」していました。当時はデスクトップPCやシーケンスソフトはもちろん無く、音楽制作専用のディジタルのハードシーケンサーが音楽制作スタジオに設置され始めたころです。

その初期のシーケンサーとして有名なのは、日本の電子楽器メーカーであるRoland社のMC-8(1977年)とMC-4(1981年)です(※MCは「Micro Composer」の略です)。音の「高さ」「長さ」数値化し、その数字を本体のテンキーで一つ一つ入れていたことから「打ち込み」という言葉使われるようになったようです。

さて、今回はMC-4を使って、履修生5名が本来の「打ち込み」を体験しました。MC-4はMC-8と違って鍵盤からも入力できるのですが、ここは敢えて厳しい「いばらの道」を。全ての作業をテンキーのみで行いました。入力したのは、MC-4のマニュアルにサンプルとして掲載されている2小節の簡単なフレーズです。

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いざ、テンキーを使ってMC-4に「打ち込み」中

まず、「ド[8分音符]ーミ[8分音符]ーソ[8分音符]ーミ[16分音符]ーソ[16分音符]…(続く)…」の音高を数値化したCVデータと呼ばれる「24」「28」「31」「28」「31」…の数字を打ち込みます。次に、音価(音符の種類による音の長さ)を数値化したステップタイムというデータを入力します。ここでは1拍(4分音符)を「120」としているので、「60」「60」「60」「30」「30」…の数字を打ち込んでいきます。最後にテヌートやスタッカートなど、音符の表情付けに関わるゲートタイムのデータを打ち込みます。マニュアルに記載された「40」「40」「50」「10」「10」…の数字をそのまま入れることにしました。

これら一連の作業を5人で分担して行なったのですが、初めての体験ということもあって、マニュアルと睨めっこしながら30分ほどかかったでしょうか。たった2小節で30分…。もちろん、慣れれば5分もかからずに入力できると思います。

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悪戦苦闘しながら「打ち込み」に打ち込んでいるところ
(※左側に写っている2台もシーケンサーです)


なんとか「打ち込み」が終わったので、再生モードにしてプレイバックしてみると無事に入力できていました! …演奏時間はわずか5秒…。入力30分、演奏時間5秒です。最新の機材やソフトを使えば入力作業は1分もかかりません。

でも、過去の音楽制作を追体験することで、当時このようにして作られていた音楽を聴くときの「意識」は明らかに変わるはずです。それと同時に、音楽を取り巻くテクノロジーの発達や音楽制作の手法を知識としてだけでなく、実感をもって知ることでしょう。音楽に限らず、土台となっている基礎的な部分の理解は先端的な技術や知識の習得にも役立ちます。

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ようやく音が出てホッと一安心

ところで、無事に入力と再生ができてバンザイ!といきたいところですが、このMC-4は電源を切ると、これまで苦労して打ち込んだデータが消えてしまうのです。では、どのようにデータを残すか?

実はカセットテープにデータ(音ではありません)を記録するのです。上の写真で、MC-4の背面に置かれているのがポータブルカセットレコーダーです。これを使ってカセットテープにデータを記録し、再びMC-4に読み込ませたところ、しっかり再生できました。メデタシメデタシ。


[文責:伊藤謙一郎]

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