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2020年1月

卒業研究「プロダクトデザイン」の最終発表会を前に

2020年1月31日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

今年度も卒研の最終発表会が近づいてきました。プロダクトデザインの発表は、24日午後にポスター形式で行われます。

発表準備の一つとして、全員での意見交換のゼミとしては最終回となる卒研ゼミを127日に行いました。全員が印刷に出す前にポスターをプロジェクターで投影し、全員の目で確認・意見交換を行いました。その結果を踏まえ、全員がポスターデータを提出し、そして印刷されたポスターは出来上がりました。今年もスケジュールどおりにポスターも仕上がり、当日の発表が楽しみです。

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発表会は学年や学部を問わずポスターを前にして自由に意見交換することができます。メディア学部の123年生の皆さん、ぜひ会場へと足をお運びください。

メディア学部 萩原祐志

令和元年芸術科学会東北支部大会・発表報告(その3)

2020年1月30日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

本ブログをご覧の皆様,こんにちは.

メディア学部教授 菊池 です.

本日のブログは,「令和元年度芸術科学会東北支部大会」での研究発表紹介・第 3 弾です!

本日ご紹介する研究は「Integrated Volcanic Eruption Animation by 4-phenomenas Simulation[1]」です.

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図.研究発表中のNapatron Sitimanee君


本研究では,火山現象の中でも特に挙動が多様で複雑な火山噴煙挙動に焦点を当て,爆発噴煙モデルトレーサー粒子を用いた疑似ガスモデル重力落下を考慮した火砕流モデル溶岩湖モデルの 4 つの計算モデルによる混相流数値シミュレーション法を提案しました. 
火山噴煙現象すべてを 1 つの計算モデルでシミュレーションするのは非常に困難であるため,本研究で提案する 4 つの計算モデルによるシミュレーション手法は有益であると言えます.

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図.4 つの計算モデルによるシミュレーション例


こちら」からシミュレーション動画もご覧いただけます.

今後は,さらにシミュレーションのスケールを大きくし,大規模な火山噴煙現象を再現したいと考えています.


文責:菊池 司


[1] Napatron Sitimanee,圓谷章吾,伊藤智也,菊池 司,”Integrated Volcanic Eruption Animation by 4-phenomenas Simulation”,令和元年度芸術科学会東北支部大会,講演セッション,01-04,2020.

令和元年度芸術科学会東北支部大会・発表報告(その2)

2020年1月29日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

本ブログをご覧の皆様,こんにちは.

メディア学部教授 菊池 です.

本日のブログは,「令和元年芸術科学会東北支部大会」での発表報告の第 2 弾です(全 7 回の予定).
本日ご紹介する研究は,「XPBDによるクラゲの遊泳運動とFLIPとの流体構造連成解析法の開発[1]」です.

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図.河下君の発表の様子


本研究では,Position Based Dynamics によるソフトボディと FLIP 法による流体の連成問題を数値解析によって解くことで,クラゲの遊泳運動の様子をシミュレーションするというものです.

こちらからシミュレーションの様子をご覧いただけます.

FLIP 流体の解像度がまだまだ低いため,今後は解像度を上げながら計算を高速にする手法を検討するなどの課題に取り組んでいく予定です.


文責:菊池 司

[1] 河下拓紀,伊藤智也,菊池 司,”XPBDによるクラゲの遊泳運動とFLIPとの流体構造連成解析法の開発”,令和元年芸術科学会東北支部大会,講演セッション,01-05,2020.

令和元年度芸術科学会東北支部大会・発表報告(その1)

2020年1月28日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

本ブログをご覧の皆様,こんにちは.

メディア学部教授 菊池 です.

令和2年(2020年)1月25日(土)に,岩手県盛岡市「いわて県民情報交流センター(アイーナ)」で開催された「令和元年度芸術科学会東北支部大会」において,菊池研究室から 7 件の研究発表を行いました.

本日のブログから毎回 1 件ずつ,発表を行った研究の概要を紹介したいと思います.
初回の本日は,「炊き立て米飯のプロシージャルアニメーションに関する研究[1]」をご紹介いたします.

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図.甘君の発表の様子

現在は様々なモノが CG で再現され,商用コンテンツを中心に利用されるようになっています.そのような背景のもとで我々の研究室では「デジタルフード(食べ物の CG 表現)」のモデリング法やアニメーション法の開発を行っています.

本研究では食品の中でも炊き立てのご飯を写実的に描画することを目的に,米粒ひとつひとつの形状のバラツキをプロシージャルにモデリングし,さらに炊き立てのやわらかいご飯がお茶碗などに充填される際の運動を Positon Based Dynamics で高速に計算する手法を開発しています.

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図.成果画像例

こちら」からシミュレーション動画をご覧いただけます.

今後はシミュレーションの精度をより高いものにしつつ,様々な応用例を制作していく予定です.


文責:菊池 司

[1] 甘 暁博,伊藤智也,菊池 司,”炊き立て米飯のプロシージャルアニメーションに関する研究” ,令和元年度芸術科学会東北支部大会,講演セッション,01-06,2020

「音楽創作論」で作曲しました

2020年1月27日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

皆さん、こんにちは。メディア学部の伊藤(謙)です。

最初に1曲お聴きください。


「Crystal」 作曲:伊藤謙一郎 演奏:伊藤謙一郎


(※アップロードできるファイルサイズの制約で音質を下げています)


今、聴いていただいた曲は、この後期に私が担当した「音楽創作論」(2年次開講)で履修生諸君からメロディのアイデアを各回で募り、それを元に作曲したものです。今回は作曲過程の一端をご紹介しましょう。

まず、「部分動機」と呼ばれる1小節の短いフレーズ(音の並び)を考えてもらい、その中からE君が考案した「ミレミソ」を私が選びました。

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E君にリズムを尋ねると、「ミ」は付点4分音符、「レ」は8分音符、そのあとの「ミ」と「ソ」は4分音符という指定があったため、このフレーズに続く第2小節のフレーズの音符を各自に書いてもらいました。78名から寄せられたフレーズの中から、私のほうでS君、Mさん、K君の3名に絞り、どのフレーズが良いか投票をお願いしたところ、K君が考案したものが圧倒的多数で選ばれました。こうして「動機」が決定しました。

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この2小節からなる最初の「動機」を「第1動機」とした場合、続く「第2動機」をどうするか諸君に尋ねました。第1動機の形態をAとすると、第2動機もほぼ同じ形態であればA、若干の変化を伴うものであればA´、異なる形態であればBと表記されます。投票の結果、Aが4名、A´が38名、Bが42名となり、「小楽節」と呼ばれる4小節のメロディ形態(A−B)が確定しました。

さて、ここから私の出番です。この小楽節の形態となるよう、前半2小節の動機と音楽的にコントラストをもつ後半2小節の動機を考えるわけですが、私は4つの小節それぞれが異なるフレーズをもつ「A(a・b)−B(c・d)」の形態を想定し、次のようなメロディを作りました。「c」の部分は大きな下行跳躍進行と3連符による躍動感、「d」の部分は付点2分音符と4分休符による落ち着きが感じられることでしょう。

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そしてこのあとは、楽曲全体の構成を考えたりメロディにつける和音を考えたりして、冒頭で聴いていただいたような曲に仕上げました。最終回の授業では楽譜を配布して実際にピアノを弾き、何気ない「ミレミソ」のフレーズからも曲作りができることを履修生諸君に体感してもらった次第です。ちなみに曲名の「Crystal」も学生の発案です。

参考までに、この曲の楽譜を掲載いたします。よろしければ楽譜を見ながらもう一度聴いてみてください。最初に聴いたときとは、また違った印象を受けることでしょう。

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(文責:伊藤謙一郎)

2値基盤の現代デジタル社会とアナログ感性への回帰

2020年1月26日 (日) 投稿者: メディア社会コース

昨日までの6日間、数の語呂合わせに始まり、10進法や60進法などの記数法について綴ってきました。今回をもって私の連載記事は小休止となりますが、さてさて何の話題にしようかと悩みました。結果、記進法繋がりで、皆さんもよくご存じの2進法の話にシフトしようかと思います。

ただ、2進法の計算などを語るつもりはなく、どちらかと言うとその基盤である2値論に基づくデジタルに焦点を当て、一方で巻き返しを図るアナログのブームについて少し雑感を記すことにします。2進の基本は、0-1/白-黒/無-有/陰-陽/悪-善/地獄-天国…などの“2値”発想です。2者択一と言ってもいいでしょう。

さて、“アナログ vs. デジタル”という対極論があることはご承知のことと思います。実は、この時点ですでに2値論的発想が始まっていますね。現代社会は、イメージ的には2値を基本とするデジタルが席巻しているように思われます。2進処理をもとに機能するコンピュータの普及の影響が少なからずあるのかもしれません。しかしながら、我々が五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)を通じて得る情報は、基本的にはすべてアナログです。つまり、2値(あるいはその2値の集合・複合)では処理されない情報です。

目の前の自然の光景に対しては、視覚が機能して全体を見渡していろいろなことを感じ取ります。もちろん、その空間内には山・海・空・人物などのオブジェクトがあり、その境界(デジタル的発想の起点)がそれとなくは見えています。しかし、脳はあくまで全体を俯瞰して処理します。また、外界から届く音は、時間的に途切れなく聴覚に訴えます。曲調の変化などをそれとなく感じることもありますが、その前後にも音はシームレスに流れ続けており、脳はやはり全体を俯瞰して処理します。嗅覚、味覚、触覚なども、ほぼ常時使用する視覚や聴覚ほどではないかもしれませんが、同じように空間的あるいは時間的に途切れない変化を感知しています。

さて、数学には多くの対極観がありますが,その一つに“連続的 vs. 離散的”というのがあります。数の集合でいうと、連続の代表格が実数です。特徴としては、任意の2数に対してその間に数があるということです。指定された2数を足して2で割ることで常に別の実数が生まれます。一方、離散の数の集合の代表格が整数です。特徴としては、その数体系内で常に隣り合う数が決まるということです。例えば、整数でいえば、67は隣り合う数で、この2数の間に別の整数は存在しません。

ちなみに、実数も整数も同じ無限集合ですが、数学ではこれらを区別します。実数は非可算(無限)集合、整数は可算(無限)集合に分類されます。この非可算・可算の違いは、ザクッというと、工夫次第でその数体系のすべての数に番号が付けられる(可付番性≒自然数との間に11対応ができる)かどうかです。なお,有理数は整数と同じ可算(無限)集合です。その根拠となる“工夫”(可付番規則)については、少し考えてみてください。

こういう数の性質を踏まえて、「アナログは連続的、デジタルは離散的」と捉えます。ただ、実際には、現在のデジタル情報処理技術は人間の五感を惑わせるほどに進展しており、デジタルデータに接しているのにアナログデータであるかのように感じることが多いです。デジタル写真やデジタル映像は自然に映って見え、デジタル音源の曲は自然に流れているように思われます。しかし、これらはあくまで、人工的で“非自然”であることを再認識しておきましょう。

ここで、口語(話し言葉)と文語(書き言葉)の違いを考えてみましょう。まず、口語の方ですが、これはアナログです。自分の話や相手の話(生の声)を、本来の聴覚機能を使って情報処理しているからです。一方の文語ですが、こちらはデジタルです。どの言語であれ、文字(アルファベット等)は離散的な情報です。文語は、整列された文字列を適度な単位で逐一的に情報処理するので、視覚を通して認知するものの、あくまでデジタルです。なお、書道などの筆記を全体として芸術的に捉える際は、アナログと言えるのかもしれません。

私の若かりし頃は、アナログ技術が主流でした。フィルムカメラの写真や音楽レコード、記録用のVHSやカセットテープなどは、その典型例です。現代は、こうした映像・音像データは0-1デジタル情報となり、コンパクトなUSBSDカードに収められます。ある意味便利ではありますが、どこか温もりを感じられないのは年のせいなのでしょうか。ちなみに、私は今でも年賀状は手書きです。記している文字情報そのものは先ほど述べた通りデジタルですが、ハガキ全体を一つの作品と見ればアナログです。

さて、それでも最近、フィルムカメラやレコード、カセットテープなどが再流行しているようですね。デジタル疲れが来ているのかもしれません。デジタルの便利さを追求しつつも、アナログの良さに惹かれるのは、人の性(さが)なのでしょう。人間がこの本能的なアナログ感性をもつ限り、AIが人間を凌駕するとされるシンギュラリティーは起きないものと思います。

以上

文責: メディア学部  松永 信介

2020.01.16

 

漢字文化に見る60(六十)という節目

2020年1月25日 (土) 投稿者: メディア社会コース

少し時代と地域は変わりますが、前回に続いて60進法に焦点を当てます。中国発祥の漢字に目を向けてみましょう。日本には紀元5世紀頃に中国から漢字が伝来しましたが、それとともに暦や方角に関する様々な考え方や慣習、宗教感なども伝わってきました。その暦関連に、前回のブログの冒頭で触れた干支があります。しかし、われわれ日本人は、干支=十二支(子・丑・寅・…・酉・戌・亥)と捉えがちです。実際には、干支の“干”は十干(じっかん)、“支”は十二支という中国由来の概念体系にそれぞれ依拠しています。いずれも紀元前の中国で誕生しました。

前者の十干の方は、少し馴染みが薄いかと思いますが、甲(こう)・乙(おつ)・丙(へい)・丁(てい)・…と続く漢字系列を見たり聞いたりしたことがあると思います。十干の名の通り、10の漢字が使われます。また、この十干の各漢字には、二文字ごとに語尾を少し変化させて表現する別称があります。具体的には、甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戊(つちのえ)・己(つちのと)・庚(かのえ)、辛(かのと)、壬(みずのえ)、癸(みずのと)です。

ブログの内容が漢字の話にシフトしているように感じられているかと思いますが、ここから60進法の話に戻ります。干支はこの十干と十二支を組み合わせることで、暦(年)を60で回すシステムになります。例えば2020年は、十干でいう庚(かのえ)の暦であるとともに、十二支でいう子(ね)の暦に当たります。それゆえ、それらを連ねて庚子(かのえね)の年と捉えます。話の筋が少し見えてきたのではないかと思いますが、十干の10と十二支の12を組み合わせると、いくつの単位ができるでしょう?

この問題の結論を出す前に、自分の誕生年の干支を考えてみるとよいでしょう。十二支はおそらくわかっていることと思います。馴染みのない十干のヒントですが、2000年は十干で庚(かのえ)です。十干は10年で一巡するので、当然2020年と同じになります。一年ずれる1999年は己(つちのと)で、2001年は辛(かのと)となります。皆さんの誕生年の干支はわかりましたか?

さて、先ほどの十干の10と十二支の12を組み合わせると…という問いに戻りますが、1012の最小公倍数である60が答です。先ほど2020年の干支が庚子であると言いましたが、前回の庚子は1960年で、次回の庚子は2080年ということになります。

古来の中国では、60年という時間幅を人生の一つの節目と捉える向きがあります。これが還暦です。干支とうまく合致した論理的な考え方で納得できますね。ちなみに、120年は大還暦とよばれます。漢字を通して見えてくる60進法も雑学として知っておくとよいかもしれません。

以上

文責: メディア学部  松永 信介

2020.01.15

疎遠なようで身近な摩訶不思議な60進法

2020年1月24日 (金) 投稿者: メディア社会コース

10進法(10進体系)の話が続きましたので、今回はこれまた身近な60進法について雑多な話をしたいと思います。いまの世の中では10進法が主流ですが、1分=60秒、1時間=60分、1日=24時間(12×2)、1月≒30日(60/2)1年=12月=365日(≒30×12)のように、時の長さを捉える際に60やその子分ともいうべき12という数がしばしば使われます。実は、12も意外と身近な存在で、星座や干支は12種で構成されていますし、ダースは12個を繰り上げた単位ですね。

この60進法は、古代メソポタミア文明にその起源を遡ります。メソポタミアが紀元前3000年頃に栄華を迎えた世界四大文明の一つであることはご存知のことと思います。いまのイラクのチグリス河とユーフラテス河に挟まれた地域に興隆した文明です。この黎明期を支えたのはシュメール人で、この民族が60進法を考案したというのが定説です。

当時のシュメール人にとって、ほぼ定期的に起きる自然現象(昼夜の入れ替わり、潮の満ち引き、など)や天体現象(月の満ち欠け、黄道上の星座の巡回、など)は、それが短期であれ中長期であれ、時間感覚を誘因する相対指標となっていました。その際、60は現象の変化を細かく整理するのに非常に都合のよい数だったのです。というのも、この数がその特性として、123456、10、12、15、20、30、60という多くの約数をもっていたからです。約数が多いということは、分割にバリエーションが生まれるということですので、時間を細分表現するのに便利であるという先人の知恵があったものと思われます。そして、この知恵はやがて、時を表す絶対指標の日時計とよばれる文明の利器を誕生させました。

ちなみに、この日時計の話とも大いに関係があるのですが、小学校で円の1周を360°と習います。この360という数は、暦との関連が古くから指摘されています。月の干満のサイクルを塑望周期と言いますが、これは約30日で、それが1年に12回観察されるという経験知から、まずは1年のサイクルを概算で360日と考えるようになりました。そして、同じ一巡りとしての円の1周に360°が採用されるようになったと言われています。日めくり的に円周上をずつ歩むと、1年間でおおよそ元の位置に戻るという道理です。当時としては、Witに飛んだ(機転の利いた)発想ですね。

以上

文責: メディア学部  松永 信介

2020.01.14

 

小さな数を表す十進体系

2020年1月23日 (木) 投稿者: メディア社会コース

前回は大きな数の十進体系の話をしましたので、今回は逆に小さな数の十進体系がどうなっているのかを、昔の単位などを紹介しつつ、綴りたいと思います。

なお、小さな数だからといって、負の数に話が及ぶということはありません。まず、ここは大前提です。1を基軸とし、その110の冪(整数乗)で整理される10進体系は、いくら値が小さくなっても、0を下回る(負の数になる)ことはありません。このことは、この先の話でそれほど意識する必要はないのですが、念のため補足しておきます。

ところで,大きな土地や建造物の大きさを捉える際に、東京ドームやテニスコートを例えとして、それの何個分というような表現をしたりしますよね。受け手側としては、そのドームやコートの広さの認識がないとその例えは意味のない情報ですが、知っていれば規模の相対感覚を作用させ、イメージ構築は機能します。

一方で、小さなものに対する例え表現というのはあまり多くありません。細い繊維素材に対して、髪の毛の100万分の1というような表現を通販などで聞いたことがありますが、そもそも髪の毛の太さの感覚が身近な情報なのかどうかという根源的な問題があるように思います。

さて、前回のブログでは、一、十、百、千、万という10進体系がまずでき、その後、大数表現の効率化としての万進法(億・兆・京・垓…)が誕生したという話をしました。

実は、小さい方向の10進単位も少しマイナーではありますが、分(0.1に相当)、厘(0.01に相当)、毛(0.001に相当)、…という一連の漢字表記の体系が存在します。“分”は誰もが日常で馴染んでいるものです。体温を測ったときに、378分(8ブ)と言いますよね。また、厘や毛というさらに下位の単位は、とりわけ野球好きな方は、打率表現などで用いられるので馴染みがあることと思います。

さて、日本では江戸時代に「塵劫記」という和算書が編纂されました。この中で、小さい方の10進単位についての言及があります。そこでは、分、厘、毛、糸、忽、...が紹介されています。興味深いのは、さらに少し先に進んで、10-9の単位として使用される“塵”や10-10の単位として使用される“挨”です。これらは日本語ではチリとホコリです。掃除のために入念に部屋を遮断しても入ってくる塵と挨は、今も変わらず小さな厄介者ですね。

以上

文責: メディア学部  松永 信介

2020.01.13

 

十進体系と大数表記の万進法

2020年1月22日 (水) 投稿者: メディア社会コース

今回の話では十進単位の表記に焦点を当てますが、前回に続いて0繋がりの身近な話題とします。

高額商品の買物をする際、値札を見て、一、十、百、千、万、… などと心の中で呟くことがあると思います。これは、経験知として脳裏に植え付けられている数ボリュームに基づく概算に対する無条件反射です。値札にまとう細かな数値は後で考慮するとして、とりあえず十進の位取りの数感を働かせて数の大きさを概観し、損得勘定(/安い・高いの判断)を行っているのです。

小さな数の例えとしては、4円(=4/一円 → 高々一円単位)、72円(=7.2/十円 → 高々十円単位)、382円(=3.82/百円 → 高々百円単位)、8956円(=8.956/千円 → 高々千円単位)、61943円(=6.1943/万円 → 高々万円単位)などです。

そして次に、最高位の桁やそれに続く位の桁(支配桁)の数字を四捨五入するという別の数処理機能が働いて、例えば、8956円≒10000円、61943円≒60000円となり、買いか買いでないかの判断が下されます。もちろん、買い物には値段以外の要因も考慮されますが…。

さて、この10進法(十進法)の位取りですが、万に続いて使われる次の単位の漢字は何でしょう。一、十、百、千、万まではいいですが、その先は10万・100万・1000万と続き、次いで1億という新しい単位が出てきます。さらに、その先は10億・100億・1000億と続き、次いで1兆という新しい単位の登場へと繋がります。そして、その後は同様のルールで、京(ケイ)・垓(ガイ)…のような単位が用意されています。

日本のスーパーコンピュータとして21世紀初頭に登場して一世を風靡し、惜しくも2019年8月末にプロジェクトに幕を閉じた「京」には、プロジェクト発足時の社会で主流であった兆レベルのデータを凌駕する京や垓といった次世代の膨大な量のデータ(今でいうビッグデータ)の演算処理へのチャレンジの思想があったのです。

ところであらためてですが、国際協調という意味では、10進法での位取りの処理はそれとなく複雑です。日本は、中国の文化なども取り入れながら、大数は10000倍を基本に拡張して万進法が採用され、億・兆・京・垓・…という単位が誕生してきました。

一方、欧米では、大数に対して1000倍で単位を繰り上げるmillionbilliontrillionなどの数単位体系が確立されてきました。また、その1000倍がわかりやすいように、数値記述において、区切り記号としての“,”(カンマ)や“.”(ドット)が用いられるようになりました。

しかし、このグローバル社会において、ローカル記述は多少足かせです。日本の10000倍での位取りと米国の1000倍での位取りを例に考えてみますと、1million=100万,1billion=10億,1 trillion=1兆 となります。それとなく、millionと万、billionと億、trillionと兆、というように対応付けたくなるのですが、位取りの理屈上、100milion1憶 というように、millionに対して日本では一つ上位の億という単位の助けを借りる必要があります。ルールを把握していれば形式的に処理できるのですが、ややストレスを感じますね。

余談ですが、約10年前の2010年頃のアフリカのジンバブエという国には、Z$ 100000000000000100兆ジンバブエドル)というお札が流通しました。ハイパーインフレでできた紙幣で、額面こそ大きいものの、当時でも数円に満たない価値でした。その後、通貨Z$は2015年に大胆なデノミを行い、経済の健全化が進みました。

文化的な背景も考慮しつつですが、もう少し統一的(国際標準的)な数表記ができないものかと悩ましい限りです。

以上

文責: メディア学部  松永 信介

2020.01.12

 

 

令和に因んで数字の0(零/ゼロ)についてあらためて考える

2020年1月21日 (火) 投稿者: メディア社会コース

前回の話の流れに乗る形で、今回は数字としての0に関する基本的なことをいくつか再認識します。人はものを見てその存在を認識し、同じものが複数あれば、それがどのくらいあるかということを考えます。その昔は、手元にある別の個体との一対一対応を取る形で、対象個体の数を確認していました。そして、それはやがて数える道具(基数)としての自然数(123,…)という数体系を生み出しました。ただ,この自然数も、あくまで見えることが前提の数の概念です。見えないものを数えるという道具にはなりません。

しかし現実には、本来目の前に存在すべきもの(ケーキ?スマホ?)が消えていたら、それをどう数字で表せばよいでしょう? このような課題への対応として“無”(存在しないこと)を意味する0(零)という数字が考案されました。

この0の発祥には諸説ありますが、最も有力なのは紀元前2,0003,000年頃に栄えた古代バビロニアと言われています。ただ、当時のバビロニアでは0は自然数とは別に扱うシンボルに過ぎず、のちにインドで0が自然数体系に組み込まれたとされています。なお、バビロニアとは全く交流のなかった今の中南米で栄えていた古代マヤ文明でも0は数として扱われるようになったとされています。

さて、このままでは単なる0の歴史探訪に過ぎないので、0にまつわる演算に関する性質を最後に扱ってみましょう。まずは、0で割るということですが、これは多くの人がご法度であることを知っています。逆演算の掛け算に矛盾が生じるためで、小学校の算数ですぐに習います。ご法度というよりかは“値なし”と教えるきらいもありますが…。

次に、00乗はどうでしょう。これは、もはや算数で片づける話ではなく数学です。結論としては、微妙なのです。0の0乗を1として定義する向きと、不定とする向きとがあります。ただ、それまで積み上げてきた代数的あるいは解析的な性質との都合上、00乗を1と定めるのがよいということで、特別な定義として1と見なす向きの方が多いです。

最後に、O!(0の階乗)はどうでしょう。これは0!1と定めると、やはり数学の他の関係式の説明に都合がよくなる(/普遍性が生まれる)ことから、そうすることにしています。わかりやすい例の一つに、階乗の再帰式(n1!(n+1)n! があげられます。この式はn≧1のときは明らかに成り立ちます。そして、これがn0のときにも成り立つようにするには、0!1とすると都合がよいですね。

以上

文責: メディア学部  松永 信介

2020.01.11

002(≒ 0182) おめでとうございます

2020年1月20日 (月) 投稿者: メディア社会コース

せわしくも令和初の年末年始が過ぎ去りました。個人的には1年前の年末年始とはとくにその違いを覚えなかったのですが、街中は新年号に移ったということで幾分明るいムードであったように感じられました。

さて、ご承知のように、日本人は数字と日本語の語呂合わせが好きです。この語呂合わせは、パズルや印象(記憶)付けをねらいとした遊び心から来るものであり、古来より何かと使われてきました。そして、その遊び方には“数字→日本語”と“日本語→数字”という大きく2つの流れがあります。

前者(数字→日本語)の典型例として、歴史的事変などが起きた年を音読した際に生まれる響きをカナとして起こすというものが挙げられます。私が小中学生の頃は、鎌倉幕府の発足を「1192年(イイクニ)作り」として覚させられました。今でも脳裏に焼き付いているので、単純な暗記学習としての一定の効果はあったものと思います。ただ、現行の歴史の教科書では、鎌倉幕府発足の年が1185年と記されています。実は近年、鎌倉幕府に関しては、歴史家・関係学者による史実の見直しがなされ、最近ではこの1185年が定説となっています。そして、その後にすぐに始まったのが、この年の語呂合わせです。もちろん政府公認にではないですが、いろいろなアイデアが出てきてほどなく落ち着いたのは、鎌倉が四方を山に囲まれていることから生まれた「1185(イイハコ(箱))作り」です。よくできていて、覚えやすいでいですね。

また、(数字→日本語)の別の例としては、無理数の概数把握のための語呂合わせがあります。例えば、√2(=2.2360679…)→“富士山麓オーム啼く…”、π(=3.14159265…)→“産医師異国に向こう…”などです。少し無理はあっても漢字まで入ると印象に残り、復唱がしやすくなります。

一方、後者(日本語→数字)はどうでしょう。通販などでは、電話番号をうまく語呂合わせして問い合わせを増やそうとする努力をしています。というよりかは、もとよりそういう番号を申請取得していますね。 “悩みなし→78374”(基本)、“おしゃれ→0480”(応用)、“いい品/よい品→11474147”(ハイブリッド型?)などです。

さて、このブログのタイトルの落ちは見えましたでしょうか。002は、令和2(年)のことです。そして、こちらの方が世には浸透しているようにも思いますが、0182018は、令和を“れいわ”と仮名表記する際に自然に想像できるものです。その後の2は、002と同様の月名の飾りです。

本年が皆様にとって良い年でありますように!

以上

文責: メディア学部  松永 信介

2020.01.10

ADADA Internationalで、ピアノ運指練習システムの研究発表

2020年1月19日 (日) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

先日の記事にも書きましたが、11月末にマレーシア・クアラルンプールで開催された ADADA International 2019 で、大学院生の山口さんが発表しました。発表のタイトルは、"Extremely-simple Piano Training System using Finger Tap Recogniton" です。

Yamaguchi

山口さんは、学部1年生の頃から「先端メディア学」という科目を履修して研究室に所属し、足音から路面状態を推定する方式の研究をしていました。その成果で、2018年には学会発表もしています。そして、そこで培った機械学習の技術を応用して、指で机などを叩く音から、どの指で叩いたかを推定する仕組みを作り上げたのです。そしてその仕組みを利用して、ピアノの音を正しい指で弾けているかどうかを判定するシステムを作りました。今回の発表では、実演の動画も含めてシステムの概要を紹介しました。

日程が厳しかったので、せっかくマレーシアまで行って観光もせずにとんぼ返りだったのですが、学会で各国から来た人たちと交流して、バンケットでマレーシア料理も食べて、楽しんで来られたのではないかと思います。(学会の様子などについては、こちらの記事もどうぞ)

 

社会問題としてのストレスの対策アプリの企画デザイン

2020年1月18日 (土) 投稿者: メディア技術コース

健康メディアデザイン研究室の千種です。

近年、ハラスメントや働き過ぎが問題となり働き方改革が叫ばれております。ストレスと人体の反応はよくボールを指で押すことにたとえられます。人間はボールでストレスは指です。ボールは指で押されると凹みますが、押すのをやめると元の球体に戻ります。しかし、長時間指で押し続けていると、押すのをやめても球体の凹みが元に戻りません。この状態がストレス過多による人体への悪影響、すなわちストレス状態になります。凹みきってしまうと元に戻りにくくなりますが、少しの凹みなら、すぐに元に戻ります。この少しの凹みを自分自身で元に戻す科学的な一連の行動のことをストレスコーピングと呼び、現在注目されている方法です。

今回は、健康メディアデザイン研究室の学生が、2019年12月に大学コンソーシアム八王子にて、このストレスコーピングの仕組みをアプリに組み込み、デザインし、その結果をまとめた研究報告をしましたので、その概要を紹介したいと思います。

https://gakuen-hachioji.jp/wp-content/themes/cuh/images/presentation-pdf/2019/2019_D113_121.pdf

研究に先立って、まずストレスの原因を先行研究を調査して5分類しました。それらは、①暑さ・寒さ・騒音などの物理的・環境的要因、②多忙・残業・夜勤などの社会的要因、③病気・けがなどの肉体的要因、④挫折・失恋などの精神的要因、⑤アルバイト先や友人とのトラブルである人間関係的要因、です。

そして、先行研究を調査し、さらに研究者本人の過去の行動を分析することにより、ストレス対策を50~100種類ほど選定します。少な目から始めて追加してもよいです。これも同様に先行研究をもとに5分類します。つまり、(A)ストレス源に働きかけ自助努力により軽減しようとする問題焦点型コーピング、(B)身近な人に協力を求める社会的支援探索型コーピング、(C)ストレスに対する自分の考え方や受け止め方を転換する情動焦点型コーピング、(D)ストレスそのものを前向きにとらえるポジティブシンキングを取り入れた認知的再評価型コーピング、(E)気分転換してストレスを忘れようとする気晴らし型コーピング、です。

これで、事前準備は完了です。ストレス対策を用意するのは大変なので50種類あるいはそれ以下から始めてもよいです。その場合、随時追加していきましょう。

そして実際に、ストレスを感じた時にそのストレス源がどの分類の属するかを選択し、次に、ストレス対策の中から効果がありそうなものを選択して実行します。そして選択したストレス対策とそのストレス低減の度合いを記録します。これを一定の期間繰り返していきます。そうすると利用者自身のストレス源とその際に使用したストレス対策&ストレス低減効果、の関係が可視化できます。ストレスを感じた時に、この過去のストレスの原因と対策とその効果を確認して、適切な対策を選ぶようにすると、効果的なストレス対策となります。

ここまでの調査研究とアプリデザインを完了したものが今回の発表になります。

2019_d113_121_01  

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夜景写真を自動的につくる研究

2020年1月17日 (金) 投稿者: メディア技術コース

 大学院メディアサイエンス専攻修士2年の王 旭(おう きょく)さんの学会誌論文が採録されました。
 
 王 旭,渡辺大地,柿本正憲,2019,昼間の都市俯瞰画像からの夜景画像の生成,画像電子学会誌,48(3),375-384
 
 都市の建物群を撮影した写真一枚から、同じアングルの夜景写真を自動計算で生成するという研究です。
 
4_20200115091101

 この分野は一般に画像のスタイル変換と呼ばれ、近年盛んに研究されています。AIによる画像認識はすっかり世の中に定着しています。画像のスタイル変換にもAI技術が使われます。
 
 ただ、夜景画像は特殊で、昼間には存在しなかった膨大な数の細かいけど明るい光が現れます。これは一般的なスタイル変換では扱いにくい対象です。今回の研究ではAIの手法は使わず、建物群の遠景画像を徹底的に分析し推定する方法を選びました。
 
 例えば、道路付近の街灯や店の灯りや車のヘッドライトなどが高層ビルを下から照らす効果も入れています。また、最終的に描画する細かい光は、色の種類が現実世界と同じような割合になるように工夫しています。1000枚近い既存の夜景写真を分析した結果です。
 
 現在、このような分析的な手法ではなく、日々進歩しているAIの技法をうまく使えるような手法を研究中です。成果が楽しみです。
 
 メディア学部 柿本正憲

大学から見える意外なランドマーク 確認編

2020年1月16日 (木) 投稿者: メディア技術コース

引き続き助教の戀津です。

今回は昨日の記事で書いた、あの白いポッチが西武ドームであることをどうやって確認したか?の解説です。

まず、アレが何であるかを推測します。距離は目測ではさっぱりわからないので、方角からアタリをつけていきます。
一昨日は学内から見える富士山の話をしましたが、片柳研究所方向を向いた時に直角左方向に富士山があるのは、大学敷地内の建物の向き・八王子と富士山の位置関係によるものですね。
片柳研究所が敷地内で北北西方向にあり、富士山は東京から西南西方向にあるのでほぼ直角になります。

 

20190910-121449_20200113012501

今回発見したアレは、講義実験棟からアリーナ方向に見えています。そのため、方角としてはおよそ北~北北東方面になります。
Googleマップで大学内の建物の方向と講義実験棟からアリーナ方向の方角を確認してみます。マップの共有ができるので便利です

さて、八王子から北北東方向には何があるか。八王子は東京都の西の方なので、北北東に見えているのは埼玉県西部ですね。

・・・ん?西部?

西部ドームだ!

 

 

・・・流石にここまで安直というかスムーズに判明はしませんでしたが、推測としては悪くない候補に思えますね。

Googleマップのマイマップという機能では地図上に任意に線を引いたりそれを共有したりできます。
さっそく東京工科大学と西武ドームとの位置関係を確認してみます

まさに大学から北北東方向にありました。ちょうど多摩川を挟んで向こう側くらいですね。
大学付近までズームしてみると、講義実験棟からアリーナ方向で見えた角度とも一致しています。

大学から見える意外なランドマークの確認編でした。

大学から見える意外なランドマーク

2020年1月15日 (水) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。

昨日の記事で富士山の話をしましたが、今回は別のランドマークの話です。
同じく講義実験棟からアリーナ側を見ると確認できます。

20190910-121449

・・・。

地平線とまでは言えないですが、関東平野の広大な平地が続き、とても遠くまで見通せますね。
実はよーく見ると、この平野の果てにポツッと飛び出ている白いものがあります。
スマホのカメラなので限界がありますが、ズームした写真も載せてみます。

20190910-121457

見えますか?

 

20190910-121457-mark

これです。

ある時景色を眺めていたら発見し、さてこれは何だろう?と思い調べてみたところ、なんと西武ドームでした。どうやって調べたのかはまた次回に解説します。
20Km弱離れていますが、間に遮蔽物がないので白く大きな躯体が確認できます。(ちなみに富士山まではおよそ60Kmです)

八王子市の大学から、埼玉県のランドマークが見えるとは驚きですね。

大学から見える偉大なランドマーク

2020年1月14日 (火) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。

過去にも何度かブログで紹介されていますが、大学の敷地内からは(条件が良ければ)富士山が見えます。
図書館棟厚生棟前の広場から片柳研究所の方を向いて、ほぼちょうど直角に左側にあります。

ただし、手前に遮蔽物も多いので学内では見える場所が限られます。
一部の建物の高い階からがよく見え、個人的におすすめなのは講義実験棟の8階です。
演習系授業でも利用されるため、休憩時間や授業終わりには夕陽に映える富士山が見える事もあります。

写真はある日の夕方にちょうどよく撮れたものです。

20191106-171150

さすがに遠いのでかなり小さいですが、それでも綺麗な稜線が確認できます。

20191106-171157

ズームするとこんな感じです。

肉眼ではもう少し見やすいので、講義実験棟の上階を利用する時には景色も楽しんでみてください。

研究紹介 - かわいいセンサー

2020年1月13日 (月) 投稿者: メディア技術コース

ADADA Japanという学会で受賞した研究の内容紹介、第二弾です。二つで終わりですが

今回は、ポスター発表で受賞をした研究です。

 

かわいいセンサーという研究テーマなのですが、センサーというものがどのようなものか皆さんご存知でしょうか?センサーとは、温度や圧力などのその場の状態についてのデータを刻々と計測する電子部品です。これをコンピューターに繋ぐことによって、周辺の状況によって反応するプログラムを作ることができます。例えば、雨が降ったり、人が通ったら教えてくれるような仕組みを作ることができます。ところで、センサーというと、以下の画像のようなもので、いかにも電子工作という感じのものですね。プログラミングに興味がある女性もいまでは増えていると思いますが、センサーを利用したものとなると、さらに敷居が高くなるのではないかと思います。そこで、いかにも部品ですという見栄えのセンサーをかわいくしてみたらどうだろう、というのがこの研究です。かわいくすることで興味を持ってもらえるのではないか、というのはなんだか子供だましのようだと思うかもしれません。しかしながら、人の感情は何かをしたり決定したりする際に非常に大きな影響を及ぼします。「かわいい」と思うことで興味を持つようになったり、結局同じことをしているのだとしても取り組みやすく感じることがあるでしょう。「かわいい」という言葉は、英語のCutePrettyという言葉と全く同じではない意味も含んでいるようで、海外でも「かわいい」という日本語の言葉がそのまま通用します。日本の文化の一つとして、世界に認知されたものと言えるでしょう。

 

20191106-153056

    普通のセンサー類

 

ということで、研究を行っている学生が作成したのが以下のようなものです。上にあるセンサーと、それぞれ同じ機能のものを対応させて並べていますが、パッとした見た目で大分違っているようになっていると思います。かわいいと感じるかどうかについては個人差があると思いますが、色々な「かわいい」があるので御容赦ください。

 

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  かわいいセンサーの作例

 

ここで作成したセンサー類は、単に色や素材としてかわいい感じのものにしているものだけでなく、メガネや耳など、具体的な形を模したものもあります。こうしたものは、無機的な通常のセンサーと違って、使いみちが想像できるデザインになっています。例えばメガネ型のセンサーはその前に物体があるかどうかを調べることができます。

 

これらを利用した作品例も作成しました。例えば動物の掌?を模したタッチセンサーをぬいぐるみの手の部分に貼り付けて、ハイタッチすると「やったー」と歓声を挙げるものとか、圧力センサーになっているほっぺたをつねると叫び声を上げるものなどです。センサーが具体的なものを模してデザインされていると、使い方が限定されてしまう一方で、具体的な用途を思いつきやすくなる利点があるのではないでしょうか。

 

 

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             センサーの利用例

 

 

こんなのが研究になるの?と思う方もいるかもしれません。しかしながら、研究というのは新しいアイデアにチャレンジしてみることです。そんなこと考えていいの?と思う人が多いのであれば、むしろそれは研究として意義のあるテーマだということになるのではと思っています。さて、この研究では、センサーをかわいくすると興味を持ちやすくなるのでないかというアイデアでしたが、センサーを利用するにはそれがかわいかろうとそうでなかろうとプログラミングという手段が必要です。いくらセンサーのデザインを変えたとしても、プログラミングが同じままでは利用のハードルの高さは変わりません。この研究の延長には、そうした面での考察も必要になるはずです。今度から小学校でもプログラミング教育がはじまるようですし、現在高校生の方で、そうした研究に取り組んでみるのも意義のあることではないでしょうか。

 

 

太田高志

最終講義のご案内 「コンピュータグラフィックス研究からの学び」

2020年1月12日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

次のように最終講義を行います。学内の学生、教職員、さらには学外の皆さんも聴講可能です。

多くの皆さんのお越しをお待ちしています。

講師: 近藤邦雄教授

題目:「コンピュータグラフィックス研究からの学び」

開催日時:2020年1月20日(月)10:45~12:15

会場:八王子キャンパス メディアホール

「コンテンツディベロッピング論」の15回目の講義の中で行う。履修者以外の学生及び教職員は入室できます。

近藤邦雄の研究紹介ページ

メディア学部近藤邦雄教授 は、2020年3月31日をもちまして御定年を迎えられます。先生は、名古屋工業大学第Ⅱ部を御卒業後、名古屋大学、東京工芸大学、埼玉大学工学部情報システム工学科を経て、現職の東京工科大学に着任され現在に至っています。

その間、コンピュータグラフィックスにおけるNPR(Non Photorealistic Rendering)とスケッチモデリング、感性情報処理に基づくデザイン支援の研究に従事され、それらを展開させたアニメーションやゲーム作品のためのコンテンツ制作支援技術に関する研究テーマを開拓しつつ、多くの優秀な人材を育てられました。

また、画像電子学会会長、Visual Computing研究委員会委員長、芸術科学会会長、Asia Digital Art and Design Association会長、情報処理学会グラフィクスとCAD研究会主査、日本図学会副会長、ISGG理事などを歴任され、国内外のコミュニティーの発展にご尽力されました。これらの貢献により、2014年に画像電子学会フェロー、2019年に情報処理学会フェローの称号を授与されました。



メディア学フロンティアシンポジウムのご案内
 このシンポジウムはどなたでも参加できます。近藤教授のほか4名の講演者と卒業生のパネル討論があります。

2020年3月14日(土)10:00-18:00 (予定)
東京工科大学 蒲田キャンパス
http://www2.teu.ac.jp/lenz/mediafrontier/

メディア学部 兼松 祥央

人文社会系の『知恵』も、芸術系の『センス』も、理工系の『技術』も、すべて学べる学部です

2020年1月11日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

 メディア学部は1999年に設立され、昨年で20周年を迎えました。「メディア学部20周年記念誌」を企画制作し、一部の記事をWebで先行公開しています。
 
 大学の公式Webサイトで紹介していない深い情報が盛り込まれています。例えば「教務委員歴代メンバー座談会」の記事にはこんな情報も。
 
------------------------------------
 
東京工科大学メディア学部が日本初のメディア系学部として誕生したのは1999年。設立時のパンフレットには
 
「人文社会系の『知恵』も、芸術系の『センス』も、理工系の『技術』も、すべて学べる学部です」
 
とコピーが掲げられています。
 
------------------------------------
 
 この21年前のコピー、現在のメディア学部でも*完全に*通用します。変化の激しい時代にあって、当初の独自の方針や理念を貫いています。
 
 もちろん、カリキュラムをはじめとする運営については状況や時代に合わせて年々改良を加えています。でもメディア学部の大きな方針は設立以来21年間一貫しています。
 
 ここ数年で行われている「改良」は、研究力の強化です。実務で活躍する人を輩出することはもちろんですが、これまで以上に研究成果を高め、創造的なアイディアで世の中に貢献できる卒業生を出そうとしています。人文社会系でも、芸術系でも、理工系でも、もっともっと研究力を強めていきます。
 
メディア学部 柿本正憲

 

【研究紹介】デフォルメキャラクターの分類とそのデザイン原案作成

2020年1月10日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

私たちはキャラクターメイキングに関する多くの研究をしています。映像コンテンツ制作には、シナリオ、キャラクター、演出が大切な要素です。ここでは、デフォルメキャラクターの分類とそのデザイン原案作成に関する研究について紹介します。

次のような論文が公開されました。
j-Stageという研究論文公開のサイトに掲載されています。どなたでも論文のpdfをダウンロードして読むことができます。

RYUTA MOTEGI, KAZUKI SATO, YOSHIHISA KANEMATSU, NAOYA TSURUTA, KOJI MIKAMI, KUNIO KONDO
3D Drafting System based on Shape Analysis of Super Deformed Characters
International Journal of Asia Digital Art and Design Association
Volume 23 Issue 2 Pages 9-15, 2019
https://www.jstage.jst.go.jp/article/adada/23/2/23_9/_article/-char/en

本研究は、たくさんのデフォルメキャラクターを収集し、頭部、胴体、腕、足の形状を分析して、共通的なパーツ形状を構成要素として見出します。それらを3次元CGシステムを使って、3次元パーツとしてスクラップブックに登録します。それを検索して、組み合わせて、デフォルメキャラクターの概形を制作します。この形状にポーズを付けて、大まかな姿勢を決めます。これをもとに、詳細をスケッチして線画を制作します。これをデザイナーに渡して、最終的なデフォルメキャラクターを制作します。

次の図は研究全体を示しています。多くのキャラクターから構成要素を取り出す部分、それらをデータにしてデータベース(デジタルスクラップブック)とします。そのデータを用いて、キャラクター設定資料に基づいて、検索して編集してデザイン原案を制作するという構想です。

Fig1_20200109210901

次の図はシステムの概要です。

Fig3

3次元デフォルメキャラクターの画像をもとに、デザイン原案を作成した例が次の図です。

3次元モデルで、制作するキャラクターの特徴がよく出るポーズや向きを考えることが

容易にできます。制作したいキャラクターをデザイナーにきちんと伝えることが

文字情報とこのようなデザイン原案によって可能となります。

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大学院メディアサイエンス専攻 近藤邦雄

【研究紹介】ホラー映画における敵キャラクター登場ショットのカメラワークに関する研究

2020年1月 9日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.

前回の私の記事では,マレーシアで開催されたADADAという学会に参加したことをお伝えしました.今回はADADAで私が発表した研究についてご紹介します.

研究のタイトルは「Composition design support system for shot of enemy character appearance in horror movies」です.
この研究は簡単に言えば,ホラー映画において「敵キャラクターが登場するショット」のカメラワークをデータライブラリにしたものです.
このデータライブラリを使うことによって,敵キャラクターが登場するシチュエーションや,敵キャラクター自身が持つ設定などを基準にカメラワークや構図を検索することができます.

さて,新年に入り大学4年生にとってはいよいよ卒業研究の総まとめである,卒論提出と最終発表が目前になってきました.
研究室に泊まり込んで論文を書く学生が増えたりと,大学では「この時期らしさ」が出てきたところです.
マレーシアで発表したこの研究も,もとは私がメディア学部の教員になる前に,4年生(OG)と一緒に研究していたものです.
この研究では様々なホラー映画から150以上の敵キャラクターをピックアップし,各敵キャラが登場するショットのカメラワークに関して大きくわけて2つの分析をしました.

一つ目は,分析したショットで用いられているカメラワークの分析ですね.カメラの動かし方や,画角・構図などをショットごとに記録していきます.このあたりは以前の記事でご紹介した「ロボットの戦闘シーンのカメラワーク分析」などと同様です.記録した情報をデータライブラリに登録して検索できるようにするためです.また,3GCGソフトウェアで使えるテンプレートファイルを分析したカメラワーク毎に作成し,様々な作品のカメラワークを手軽に試せるようにする取り組みも,様々なテーマで学生のころから続けています.

1_20200109000201

二つ目は,上記の「敵が登場するショット」のシチュエーションを分析・分類することです.この研究の一番の特徴がコレで,「どんなシチュエーションで敵が登場するのか」ということを分析しています.例えば,「敵に追われて一心不乱に走って逃げる」シチュエーションとか「息を潜めて隠れる」シチュエーションなどと言えばわかりやすいでしょうか.
これらの情報をカメラワークと紐づけてデータライブラリにしておくことで,クリエイターが実際にショットの構図を考える際に,様々なカメラワークを検討しやすくなると考えています.

ちなみに,私自身はホラー映画はとても苦手でプライベートで自分から見ることはあまり無いのですが,やはりジャンルとしては人気のあるジャンルですね.定期的にホラー映画をテーマとして取り上げたいという学生が現れます.もちろん,私が苦手というだけで反対することはないのですが,内心,「またきてしまったか!」と毎回ビクっとしています.

(文責:兼松祥央)

卒業論文おもしろ話

2020年1月 8日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

毎年のことですが、年明けは4年生の卒業研究が佳境に入ります。ほとんどの4年生が、現在、卒業論文の執筆に励んでいることだと思います。
今日は、今まで私が体験した卒業論文提出時にあったエピソードをお話したいと思います。

卒業論文の表紙には、卒業研究のタイトル、学籍番号、氏名、指導教員名を記入します。さすがに自分の名前を間違えている学生さんはいませんが、指導教員の先生のお名前を間違えている学生さんは実は結構います(笑)特に、漢字は良く間違えています。「おしい!」というものありますが、やっぱり間違いは間違いなので、再提出してもらっています。

また、教員の役職を間違えている学生さんも結構います。基本的な教員の役職は、教授、准教授、講師、助教、助手なのですが、よくあるのは「助教」が「助教授」になっているパターンです。確かに、2007年3月までは「助教授」という役職がありましたが、学校教育法の改正により2007年4月から「准教授」と呼ばれるようになりました。日本一有名(?)な准教授の「ガリレオ」の湯川准教授(福山雅治)は、その3年前の話であるエピソードゼロでは、湯川助教授だったりします。細かい演出ですね。

卒業論文の受け取りをしていて私の中で一番おもしろかったのは出来事は・・・。メディア学部では、卒業論文提出時に受領書とチェックシートを合わせて提出してもらっているのですが、受領書とチェックシート「だけ」を持ってきた学生さんが!「卒論は?」とたずねると、「え?出さないとだめなんですか?」と(笑)結局、後で卒論をきちんと持ってきてくれました。

卒業論文提出日、大変なのは学生さんたちだけではありません。受付をしていると、いろいろな先生が、「うちの学生、ちゃんと出してますか・・・・?」とチラチラ覗きに来ます。わが子の様子を伺う親鳥のようです。

提出まで残り10日あまりですが、4年生のみなさん、がんばってください!

1/31(金)~2/6(木)は卒業研究発表会です。2年生、3年生の皆さんは、是非参加してください。

(文責:竹島)

日本図学会秋季大会(鹿児島)に参加しました

2020年1月 7日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

鶴田です。

11月23-24日に鹿児島大学で開催された2019年度日本図学会秋季大会に参加してきました。学術講演が28件と田中達也氏の特別講演会がありました。
この記事では特に特別講演について触れたいと思います。

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田中達也氏はミニチュアアーティスト/見立て作家であり、ミニチュア模型の写真、特に、あるモノを別のモノのように見せる「見立て」のユニークさが注目されています。NHKの連続テレビ小説「ひよっこ」のタイトルバックも担当されました。また、Volkswagenとコラボレーションして「Miniature Drive」というVR作品も制作されています。今回は、氏が鹿児島出身という縁があり、講演をしていただきました。

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似ているものを連想していくようなアイデア出しの方法自体は一般的かと思いますが、氏のスゴいところはその継続力!毎日常に意識し続けることがどんどんアイデアを膨らませているように感じました。子どもの頃に(あの雲パンみたい。。)とか考えたことが一度はあると思いますが、このような見立てを意識することで「日常がより楽しくなる」という言葉が印象的でした。

興味を持った方は田中達也氏のWeb, Twitter, Facebookをぜひチェックしてみて下さい!


ところで、鹿児島に行って初めて「灰が降る」というのを体験しました。雨の予報でなくても傘が要りますね。

文責:鶴田

一般入試A日程の予定が合わない受験生は奨学生入試がおすすめ

2020年1月 6日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

 東京工科大が「奨学生入試」を始めて3年が経ちました。奨学生入試に合格した入学者は、4年間の学費をほぼカバーする奨学金(返還不要)が受けられます。工科大は私立理工系大学ですから学費はそれなりに高額で、これがほぼ無償になるのはたいへん大きな話です。
 
 奨学生入試の募集人員はメディア学部だと17名です。狭き門です。しかし、仮に奨学生として不合格でも、一般入試合格者と同等以上とみなせる成績をとれば【一般入試免除合格者】として入学できます。つまり一般入試を受けなくても合格となります。
 
 受験日程が合わなくて本学の一般入試A日程(2月7日~10日)が受けられない、という方は奨学生入試(1月27日実施)を検討してみてください。
 
 大学経営という観点では収入が減りますので損をする話です。なぜ損になる制度を行うかというと、将来より良い大学にするための投資だからです。大学の使命には教育のほか、研究があります。優れた研究成果で世の中に貢献する大学は良い大学だと言えます。奨学生入試で入学した学生は基礎学力が高く、4年生になったときの卒業研究や大学院に進学した場合の研究で成果を出す可能性が大きいのです。
 
 大学生にとって研究は、問題発見、問題解決、成果発表を一通り経験する機会です。将来研究者になりたい人はもちろん、就職する人にとっても社会で活躍するための能力が確実に高まります。
 
 ぜひ、奨学生入試の受験を考えてみてください。
 
 メディア学部 柿本正憲

年末年始は、なぜ、この時期なのか(7:最終回)

2020年1月 5日 (日) 投稿者: メディア社会コース

この連載の最終日です。
ユリウス暦が使われたため、1月始まりになったわけですが、こまったことというのは、肝心の春分がずれてきたのです。
農業でもキリスト教でも重要な春分が、毎年、同じような時期だったことが、ユリウス暦が1000年以上も使われてきた理由だったのですから、本末転倒というわけです。
この修正を行うために、閏年を減らすということがおこなわれました。これが、グレゴリオ暦です。16世紀のことでした。春分の日は毎年ほとんど同じになります。
私たちが使っている、現行の暦は、ほぼグレゴリオ暦です。それに、日だけではなく必要であれば時間の単位でも修正を加えます。
現在の時計はきわめて正確です。一方、春分や冬至は天文現象なので、これからも暦とはずれが生じ、修正が必要となってきます。暦の年末年始は絶対ではないわけです。
この年末年始、なぜこの時期が年末年始なのかについて、お読みくださって、ありがとうございました。

このようなことが考えられるのも3つのコースを融合させようというメディア学部ならでは、です。高校生のみなさん、ぜひ、メディア学部に来てください。きっと思いがけないことが勉強できるはずです。

(メディア学部教員 小林克正)

年末年始は、なぜ、この時期なのか(6)

2020年1月 4日 (土) 投稿者: メディア社会コース

今日は土曜日なので、休みの人が多いと思いますが、本来、1月4日は仕事始めで、官職の人が仕事を始めます。
ここでは、同じ官職といっても古代の執政官の話から始めます。カエサルあるいは英語読みでシーザーはご存じかと思います。執政官から皇帝にあたる地位にまでなった人物です。
このカエサルが紀元前45年ごろに定めた、ユリウス暦と呼ばれる暦があります。ユリウスはカエサルのミドルネームです。
ユリウス暦は1月から始まっていました。太陽暦であり、1年を冬至の直後から始めるようにしたらしいふしがあり、現在の暦にきわめて近いのです。違いは閏年がわずかに多いことです。
このユリウス暦に採用されたことで、1月始まりが定着したと考えられています。
もっとも、1月始まりは、その直前のローマ暦からだったそうなので、カエサルが決めたことではないことになります。ローマ暦は何回も改変されていますが、初期には3月始まりで、カエサルの直前の時代に1月始まりになっています。農業が大規模化したためとも戦争が関係したとも考えられていますが、本当の理由はわかっていないようです。
カエサル以降も、暦は、たびたび改変されました。しかし、合理性があったせいだと思われますが、結局、ヨーロッパでは、ユリウス暦に落ち着いたのでした。
ユリウス暦は1000年以上も使われてきました。
ところが、こまったことが起きてきたのです。
何が起きて、どう対処したのかは、明日に続きます。

(メディア学部教員 小林克正)

年末年始は、なぜ、この時期なのか(5)

2020年1月 3日 (金) 投稿者: メディア社会コース

三日ですね。三が日というのも、お正月ならではの気持ちになります。
最初の頃の暦は、年始が三が日ならぬ3月だったというのが昨日の結論でした。それは春分を含んでいるからでした。
おそらく春分は確実に春なので、それまでに準備をしておくために、その3週間ほど前を年始にしたと考えられます。
では、春分はどうやって調べたのでしょうか。
人類が最初に作り出した時計は、日時計でした。紀元前2000年と言われています。これは、太陽が出ている間はいいのですが、曇りや雨、また太陽が出ない夜 には時間がわからないという不便さがあります。ただ、それとは別に、いま考えている点で本質的なのは、太陽の出ている時間は計れないという点です。つまり、自分で自分を直接、見ることはできないように、日時計だけを使っても昼の長さはわかりません。
それでも、よく観察して太陽の位置がずれていくことには気づいていたと考えられますが、絶対的な昼の長さはわからなかったと思われます。
進展があったのは、日時計の次の時計であるとされる、火時計や水時計が作られたとき だったでしょう。これらは太陽に関係ないという意味で絶対的な時間がわかるの で、昼の長さを計ることができたことになります。水時計は紀元前1500年ころには作られていたとされています。もっと早い時期という説もあります。
こうして、人類は、実は、割合早くから春分を知ることができていたはずなのです。だから、3月が年始のはずなのです。ちなみに、現在の閏年が2月の最後で調整されるのは、2月が年末だった、そのなごりです。
では、なぜ、いつの間に1月が年始になったのでしょうか。
それは、また明日。

(メディア学部教員 小林克正)

年末年始は、なぜ、この時期なのか(4)

2020年1月 2日 (木) 投稿者: メディア社会コース

今日二日は、初夢の話をしたり、書き初めをしたりということになりますが、初春という言葉もあります。そう言えば、なぜ、春なのでしょうか。
学校関係者は、ときどき春は2回あると言うことがあります。暦の1月と年度初め の4月です。4月だけでなく、1月もまた春なのです。
季節の順も春夏秋冬と、春から始めますね。これは社会を支える農業にとって種まきなどを始める春が重要だったからです。
だから現在でも暦が始まる1月が、実際には冬でも、日本では始まりを意味する春とよぶわけなのでしょう。

もちろん、この傾向は日本だけものではなく、暦が作られた時代から事情はあまり変わっていないようです。冬よりも春のほうが社会的に重要というわけです。
暦を作る場合も重要だったのは、冬であると知ることができる冬至よりも、農業に役立つ春になったことがわかる時期でした。それが春分です。今年の春分の日は3月20日です。
春分の日は昼と夜の長さが同じということになっていますが、実はそれはおよそです。
天の赤道という赤道を空に映したものと、黄道(こうどう)とよばれる太陽の地球から見た通り道の交点の片方を春分点といい、そこを太陽が通る瞬間が春分、それを含む日が春分の日です。ちなみに、もう片方が秋分点です。
春分の日は、日本では、春のお彼岸のまん中の日でもあります。そして、暑さ寒さも彼岸までというように、春の彼岸は寒くなくなる、すなわち、春になったことがわかる日だったのです。
また、キリスト教でも重要だったのは、クリスマスより復活祭で、これも春分をもとにしています。
こうして、実は、最初の頃の暦、古代ローマのローマ暦では、年始は春分を含む3月だったのです。
続きは、また明日。

(メディア学部教員 小林克正)

年末年始は、なぜ、この時期なのか(3)

2020年1月 1日 (水) 投稿者: メディア社会コース

あけましておめでとうございます。本年も東京工科大学メディア学部をよろしくお願い申し上げます。
2020年の最初のメディア学部ブログですが、実は続きです。まだ読んでいない方は12月30日分からお読みいただけるといいと思います。
冬至が正確にはわからなかったから、その1週間以上あとが冬至と思われて年末年始になった、というわけではない、という話の続きです。
日本の正月と欧米のクリスマスの時期で街の雰囲気が似ているとはよく言われます。どちらも帰省して家族と過ごす人が多いからということらしいです。
ちょうど1週間前がクリスマスだったわけですが、年末年始の話に戻ると、冬至が年始でなければ、12月25日がキリストの誕生日なので年始にしようとしたのに、何かの理由で1週間ずれてしまったのでしょうか。
クリスマスはもともと何の日なのでしょうか。キリストの誕生日に決まっていると思うかもしれませんが、それは実は間違っているそうです。あくまで生誕を祝う日で、生まれた日はわかっていない、聖書の記述から秋の初めという説が あります。
実は、クリスマスは、キリスト教が、別の宗教ミトラ教から転用したとされています。布教のためにこういうことはよくあったようです。たとえば、ハロウィーンもそうだったようです。
紀元前1世紀に成立したミトラ教は太陽神崇拝だったので、冬至が重要でした。 冬至から1週間をフェスティバルにしたと考えられます。
太陽が出ている時間が一番短い冬至を太陽の誕生日と考えていたようですが、それを利用したキリスト教が25日を太陽のようなキリストの誕生日としたらしいのです。
だから、クリスマスは、もともとキリスト教では重要ではなく、それを年始にするという考えもなかったはずです。
結局、冬至もクリスマスも年末年始の基準ではありませんでした。
それでは、一体、なぜ、年末年始はこの時期なのでしょうか。
それはまた、明日に続きます。

(メディア学部教員 小林克正)

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