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【研究紹介】ホラー映画における敵キャラクター登場ショットのカメラワークに関する研究

2020年1月 9日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.

前回の私の記事では,マレーシアで開催されたADADAという学会に参加したことをお伝えしました.今回はADADAで私が発表した研究についてご紹介します.

研究のタイトルは「Composition design support system for shot of enemy character appearance in horror movies」です.
この研究は簡単に言えば,ホラー映画において「敵キャラクターが登場するショット」のカメラワークをデータライブラリにしたものです.
このデータライブラリを使うことによって,敵キャラクターが登場するシチュエーションや,敵キャラクター自身が持つ設定などを基準にカメラワークや構図を検索することができます.

さて,新年に入り大学4年生にとってはいよいよ卒業研究の総まとめである,卒論提出と最終発表が目前になってきました.
研究室に泊まり込んで論文を書く学生が増えたりと,大学では「この時期らしさ」が出てきたところです.
マレーシアで発表したこの研究も,もとは私がメディア学部の教員になる前に,4年生(OG)と一緒に研究していたものです.
この研究では様々なホラー映画から150以上の敵キャラクターをピックアップし,各敵キャラが登場するショットのカメラワークに関して大きくわけて2つの分析をしました.

一つ目は,分析したショットで用いられているカメラワークの分析ですね.カメラの動かし方や,画角・構図などをショットごとに記録していきます.このあたりは以前の記事でご紹介した「ロボットの戦闘シーンのカメラワーク分析」などと同様です.記録した情報をデータライブラリに登録して検索できるようにするためです.また,3GCGソフトウェアで使えるテンプレートファイルを分析したカメラワーク毎に作成し,様々な作品のカメラワークを手軽に試せるようにする取り組みも,様々なテーマで学生のころから続けています.

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二つ目は,上記の「敵が登場するショット」のシチュエーションを分析・分類することです.この研究の一番の特徴がコレで,「どんなシチュエーションで敵が登場するのか」ということを分析しています.例えば,「敵に追われて一心不乱に走って逃げる」シチュエーションとか「息を潜めて隠れる」シチュエーションなどと言えばわかりやすいでしょうか.
これらの情報をカメラワークと紐づけてデータライブラリにしておくことで,クリエイターが実際にショットの構図を考える際に,様々なカメラワークを検討しやすくなると考えています.

ちなみに,私自身はホラー映画はとても苦手でプライベートで自分から見ることはあまり無いのですが,やはりジャンルとしては人気のあるジャンルですね.定期的にホラー映画をテーマとして取り上げたいという学生が現れます.もちろん,私が苦手というだけで反対することはないのですが,内心,「またきてしまったか!」と毎回ビクっとしています.

(文責:兼松祥央)

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