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社会問題としてのストレスの対策アプリの企画デザイン

2020年1月18日 (土) 投稿者: メディア技術コース

健康メディアデザイン研究室の千種です。

近年、ハラスメントや働き過ぎが問題となり働き方改革が叫ばれております。ストレスと人体の反応はよくボールを指で押すことにたとえられます。人間はボールでストレスは指です。ボールは指で押されると凹みますが、押すのをやめると元の球体に戻ります。しかし、長時間指で押し続けていると、押すのをやめても球体の凹みが元に戻りません。この状態がストレス過多による人体への悪影響、すなわちストレス状態になります。凹みきってしまうと元に戻りにくくなりますが、少しの凹みなら、すぐに元に戻ります。この少しの凹みを自分自身で元に戻す科学的な一連の行動のことをストレスコーピングと呼び、現在注目されている方法です。

今回は、健康メディアデザイン研究室の学生が、2019年12月に大学コンソーシアム八王子にて、このストレスコーピングの仕組みをアプリに組み込み、デザインし、その結果をまとめた研究報告をしましたので、その概要を紹介したいと思います。

https://gakuen-hachioji.jp/wp-content/themes/cuh/images/presentation-pdf/2019/2019_D113_121.pdf

研究に先立って、まずストレスの原因を先行研究を調査して5分類しました。それらは、①暑さ・寒さ・騒音などの物理的・環境的要因、②多忙・残業・夜勤などの社会的要因、③病気・けがなどの肉体的要因、④挫折・失恋などの精神的要因、⑤アルバイト先や友人とのトラブルである人間関係的要因、です。

そして、先行研究を調査し、さらに研究者本人の過去の行動を分析することにより、ストレス対策を50~100種類ほど選定します。少な目から始めて追加してもよいです。これも同様に先行研究をもとに5分類します。つまり、(A)ストレス源に働きかけ自助努力により軽減しようとする問題焦点型コーピング、(B)身近な人に協力を求める社会的支援探索型コーピング、(C)ストレスに対する自分の考え方や受け止め方を転換する情動焦点型コーピング、(D)ストレスそのものを前向きにとらえるポジティブシンキングを取り入れた認知的再評価型コーピング、(E)気分転換してストレスを忘れようとする気晴らし型コーピング、です。

これで、事前準備は完了です。ストレス対策を用意するのは大変なので50種類あるいはそれ以下から始めてもよいです。その場合、随時追加していきましょう。

そして実際に、ストレスを感じた時にそのストレス源がどの分類の属するかを選択し、次に、ストレス対策の中から効果がありそうなものを選択して実行します。そして選択したストレス対策とそのストレス低減の度合いを記録します。これを一定の期間繰り返していきます。そうすると利用者自身のストレス源とその際に使用したストレス対策&ストレス低減効果、の関係が可視化できます。ストレスを感じた時に、この過去のストレスの原因と対策とその効果を確認して、適切な対策を選ぶようにすると、効果的なストレス対策となります。

ここまでの調査研究とアプリデザインを完了したものが今回の発表になります。

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