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「音楽創作論」で作曲しました

2020年1月27日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

皆さん、こんにちは。メディア学部の伊藤(謙)です。

最初に1曲お聴きください。


「Crystal」 作曲:伊藤謙一郎 演奏:伊藤謙一郎


(※アップロードできるファイルサイズの制約で音質を下げています)


今、聴いていただいた曲は、この後期に私が担当した「音楽創作論」(2年次開講)で履修生諸君からメロディのアイデアを各回で募り、それを元に作曲したものです。今回は作曲過程の一端をご紹介しましょう。

まず、「部分動機」と呼ばれる1小節の短いフレーズ(音の並び)を考えてもらい、その中からE君が考案した「ミレミソ」を私が選びました。

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E君にリズムを尋ねると、「ミ」は付点4分音符、「レ」は8分音符、そのあとの「ミ」と「ソ」は4分音符という指定があったため、このフレーズに続く第2小節のフレーズの音符を各自に書いてもらいました。78名から寄せられたフレーズの中から、私のほうでS君、Mさん、K君の3名に絞り、どのフレーズが良いか投票をお願いしたところ、K君が考案したものが圧倒的多数で選ばれました。こうして「動機」が決定しました。

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この2小節からなる最初の「動機」を「第1動機」とした場合、続く「第2動機」をどうするか諸君に尋ねました。第1動機の形態をAとすると、第2動機もほぼ同じ形態であればA、若干の変化を伴うものであればA´、異なる形態であればBと表記されます。投票の結果、Aが4名、A´が38名、Bが42名となり、「小楽節」と呼ばれる4小節のメロディ形態(A−B)が確定しました。

さて、ここから私の出番です。この小楽節の形態となるよう、前半2小節の動機と音楽的にコントラストをもつ後半2小節の動機を考えるわけですが、私は4つの小節それぞれが異なるフレーズをもつ「A(a・b)−B(c・d)」の形態を想定し、次のようなメロディを作りました。「c」の部分は大きな下行跳躍進行と3連符による躍動感、「d」の部分は付点2分音符と4分休符による落ち着きが感じられることでしょう。

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そしてこのあとは、楽曲全体の構成を考えたりメロディにつける和音を考えたりして、冒頭で聴いていただいたような曲に仕上げました。最終回の授業では楽譜を配布して実際にピアノを弾き、何気ない「ミレミソ」のフレーズからも曲作りができることを履修生諸君に体感してもらった次第です。ちなみに曲名の「Crystal」も学生の発案です。

参考までに、この曲の楽譜を掲載いたします。よろしければ楽譜を見ながらもう一度聴いてみてください。最初に聴いたときとは、また違った印象を受けることでしょう。

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(文責:伊藤謙一郎)

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