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令和に因んで数字の0(零/ゼロ)についてあらためて考える

2020年1月21日 (火) 投稿者: メディア社会コース

前回の話の流れに乗る形で、今回は数字としての0に関する基本的なことをいくつか再認識します。人はものを見てその存在を認識し、同じものが複数あれば、それがどのくらいあるかということを考えます。その昔は、手元にある別の個体との一対一対応を取る形で、対象個体の数を確認していました。そして、それはやがて数える道具(基数)としての自然数(123,…)という数体系を生み出しました。ただ,この自然数も、あくまで見えることが前提の数の概念です。見えないものを数えるという道具にはなりません。

しかし現実には、本来目の前に存在すべきもの(ケーキ?スマホ?)が消えていたら、それをどう数字で表せばよいでしょう? このような課題への対応として“無”(存在しないこと)を意味する0(零)という数字が考案されました。

この0の発祥には諸説ありますが、最も有力なのは紀元前2,0003,000年頃に栄えた古代バビロニアと言われています。ただ、当時のバビロニアでは0は自然数とは別に扱うシンボルに過ぎず、のちにインドで0が自然数体系に組み込まれたとされています。なお、バビロニアとは全く交流のなかった今の中南米で栄えていた古代マヤ文明でも0は数として扱われるようになったとされています。

さて、このままでは単なる0の歴史探訪に過ぎないので、0にまつわる演算に関する性質を最後に扱ってみましょう。まずは、0で割るということですが、これは多くの人がご法度であることを知っています。逆演算の掛け算に矛盾が生じるためで、小学校の算数ですぐに習います。ご法度というよりかは“値なし”と教えるきらいもありますが…。

次に、00乗はどうでしょう。これは、もはや算数で片づける話ではなく数学です。結論としては、微妙なのです。0の0乗を1として定義する向きと、不定とする向きとがあります。ただ、それまで積み上げてきた代数的あるいは解析的な性質との都合上、00乗を1と定めるのがよいということで、特別な定義として1と見なす向きの方が多いです。

最後に、O!(0の階乗)はどうでしょう。これは0!1と定めると、やはり数学の他の関係式の説明に都合がよくなる(/普遍性が生まれる)ことから、そうすることにしています。わかりやすい例の一つに、階乗の再帰式(n1!(n+1)n! があげられます。この式はn≧1のときは明らかに成り立ちます。そして、これがn0のときにも成り立つようにするには、0!1とすると都合がよいですね。

以上

文責: メディア学部  松永 信介

2020.01.11

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