漢字文化に見る60(六十)という節目
2020年1月25日 (土) 投稿者: メディア社会コース
少し時代と地域は変わりますが、前回に続いて60進法に焦点を当てます。中国発祥の漢字に目を向けてみましょう。日本には紀元5世紀頃に中国から漢字が伝来しましたが、それとともに暦や方角に関する様々な考え方や慣習、宗教感なども伝わってきました。その暦関連に、前回のブログの冒頭で触れた干支があります。しかし、われわれ日本人は、干支=十二支(子・丑・寅・…・酉・戌・亥)と捉えがちです。実際には、干支の“干”は十干(じっかん)、“支”は十二支という中国由来の概念体系にそれぞれ依拠しています。いずれも紀元前の中国で誕生しました。
前者の十干の方は、少し馴染みが薄いかと思いますが、甲(こう)・乙(おつ)・丙(へい)・丁(てい)・…と続く漢字系列を見たり聞いたりしたことがあると思います。十干の名の通り、10の漢字が使われます。また、この十干の各漢字には、二文字ごとに語尾を少し変化させて表現する別称があります。具体的には、甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戊(つちのえ)・己(つちのと)・庚(かのえ)、辛(かのと)、壬(みずのえ)、癸(みずのと)です。
ブログの内容が漢字の話にシフトしているように感じられているかと思いますが、ここから60進法の話に戻ります。干支はこの十干と十二支を組み合わせることで、暦(年)を60で回すシステムになります。例えば2020年は、十干でいう庚(かのえ)の暦であるとともに、十二支でいう子(ね)の暦に当たります。それゆえ、それらを連ねて庚子(かのえね)の年と捉えます。話の筋が少し見えてきたのではないかと思いますが、十干の10と十二支の12を組み合わせると、いくつの単位ができるでしょう?
この問題の結論を出す前に、自分の誕生年の干支を考えてみるとよいでしょう。十二支はおそらくわかっていることと思います。馴染みのない十干のヒントですが、2000年は十干で庚(かのえ)です。十干は10年で一巡するので、当然2020年と同じになります。一年ずれる1999年は己(つちのと)で、2001年は辛(かのと)となります。皆さんの誕生年の干支はわかりましたか?
さて、先ほどの十干の10と十二支の12を組み合わせると…という問いに戻りますが、10と12の最小公倍数である60が答です。先ほど2020年の干支が庚子であると言いましたが、前回の庚子は1960年で、次回の庚子は2080年ということになります。
古来の中国では、60年という時間幅を人生の一つの節目と捉える向きがあります。これが還暦です。干支とうまく合致した論理的な考え方で納得できますね。ちなみに、120年は大還暦とよばれます。漢字を通して見えてくる60進法も雑学として知っておくとよいかもしれません。
以上
文責: メディア学部 松永 信介
(2020.01.15)
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