十進体系と大数表記の万進法
2020年1月22日 (水) 投稿者: メディア社会コース
今回の話では十進単位の表記に焦点を当てますが、前回に続いて0繋がりの身近な話題とします。
高額商品の買物をする際、値札を見て、一、十、百、千、万、… などと心の中で呟くことがあると思います。これは、経験知として脳裏に植え付けられている数ボリュームに基づく概算に対する無条件反射です。値札にまとう細かな数値は後で考慮するとして、とりあえず十進の位取りの数感を働かせて数の大きさを概観し、損得勘定(/安い・高いの判断)を行っているのです。
小さな数の例えとしては、4円(=4/一円 → 高々一円単位)、72円(=7.2/十円 → 高々十円単位)、382円(=3.82/百円 → 高々百円単位)、8956円(=8.956/千円 → 高々千円単位)、61943円(=6.1943/万円 → 高々万円単位)などです。
そして次に、最高位の桁やそれに続く位の桁(支配桁)の数字を四捨五入するという別の数処理機能が働いて、例えば、8956円≒10000円、61943円≒60000円となり、買いか買いでないかの判断が下されます。もちろん、買い物には値段以外の要因も考慮されますが…。
さて、この10進法(十進法)の位取りですが、万に続いて使われる次の単位の漢字は何でしょう。一、十、百、千、万まではいいですが、その先は10万・100万・1000万と続き、次いで1億という新しい単位が出てきます。さらに、その先は10億・100億・1000億と続き、次いで1兆という新しい単位の登場へと繋がります。そして、その後は同様のルールで、京(ケイ)・垓(ガイ)…のような単位が用意されています。
日本のスーパーコンピュータとして21世紀初頭に登場して一世を風靡し、惜しくも2019年8月末にプロジェクトに幕を閉じた「京」には、プロジェクト発足時の社会で主流であった兆レベルのデータを凌駕する京や垓といった次世代の膨大な量のデータ(今でいうビッグデータ)の演算処理へのチャレンジの思想があったのです。
ところであらためてですが、国際協調という意味では、10進法での位取りの処理はそれとなく複雑です。日本は、中国の文化なども取り入れながら、大数は10000倍を基本に拡張して万進法が採用され、億・兆・京・垓・…という単位が誕生してきました。
一方、欧米では、大数に対して1000倍で単位を繰り上げるmillion,billion,trillionなどの数単位体系が確立されてきました。また、その1000倍がわかりやすいように、数値記述において、区切り記号としての“,”(カンマ)や“.”(ドット)が用いられるようになりました。
しかし、このグローバル社会において、ローカル記述は多少足かせです。日本の10000倍での位取りと米国の1000倍での位取りを例に考えてみますと、1million=100万,1billion=10億,1 trillion=1兆 となります。それとなく、millionと万、billionと億、trillionと兆、というように対応付けたくなるのですが、位取りの理屈上、100milion=1憶 というように、millionに対して日本では一つ上位の億という単位の助けを借りる必要があります。ルールを把握していれば形式的に処理できるのですが、ややストレスを感じますね。
余談ですが、約10年前の2010年頃のアフリカのジンバブエという国には、Z$ 100000000000000(100兆ジンバブエドル)というお札が流通しました。ハイパーインフレでできた紙幣で、額面こそ大きいものの、当時でも数円に満たない価値でした。その後、通貨Z$は2015年に大胆なデノミを行い、経済の健全化が進みました。
文化的な背景も考慮しつつですが、もう少し統一的(国際標準的)な数表記ができないものかと悩ましい限りです。
以上
文責: メディア学部 松永 信介
(2020.01.12)
「雑感」カテゴリの記事
- ランニングマシンもインタラクティブな時代に(2019.03.02)
- 映画鑑賞(2019.02.21)
- 転ばぬ先の....(2019.02.19)
- 論文を書くためのソフトウェア(2019.02.18)
- 3学年合同で最終発表してみた(2019.02.17)
「高校生向け」カテゴリの記事
- チュラロンコン大学からのインターン学生との再会(2019.03.14)
- 大学院授業:プロシージャルアニメーション特論の紹介(2019.03.08)
- ゲームの学会?!(2019.03.07)
- 香港理工大学デザイン学部の紹介(2019.03.04)
- 香港理工大学デザイン学部を訪問し、学部長Lee先生にお会いしました!(2019.03.03)