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2020年2月

エクセルとうるう年のお話

2020年2月29日 (土) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。

今日は2020年の2月29日、4年に一度のうるう年のうるう日ですね。
せっかくなので、うるう年にまつわるおもしろメディア学です。

うるう年は4年に一度、2月に29日が入るというものですが、実は単に4年に一度ではありません。
西暦の年数が・・・

・4で割り切れるときはうるう年とする
・ただし100でも割り切れるときはうるう年としない
・ただし400でも割り切れるときはうるう年とする
という条件になっています。

条件だけ見ると複雑ですが、後ろ2つは具体的には1900年はうるう年ではなく、2000年はうるう年です。
100年単位で見れば次は2100年・2200年・2300年がうるう年ではなく、2400年がうるう年ということです。

2000年もうるう年だったので、4で割り切れるうるう年でない年は120年間来ていないことになります。

ここまでうるう年自体のお話でしたが、エクセルとはどんな関係があるかというと、実はエクセルの日付計算機能にはうるう年に関するバグがあるのです。
先ほど話した通り、1900年はうるう年ではないのですが、エクセルの機能で日付を見ると1900/2/29が存在しています。
1900年から2400年までの2/26から7日間を表示してみました。

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2100年から2300年は2/28の次が3/1になっていて、2000年、2400年は正しく2/29になっています。
そして、1900年にも2/29が現れています。
つまり、エクセルの日付計算機能上は1900年がうるう年として扱われているのです。一般的に考えて、これはバグですね。

なぜこうなっているかというと、エクセルが開発された当時はLotus 1-2-3というソフトが表計算ソフトの主流でしたが、このソフトに1900年をうるう年とするバグがありました。
マイクロソフトとしてはエクセルを売り出したいので、現在主流のLotus 1-2-3を使っている人が同じデータをそのまま使って乗り換えできるようにする必要がありました。
そのため、Lotus 1-2-3と同じ方式で日付計算を行うように設計し互換性を持たせました。これによってエクセルでも1900年はうるう年という誤った情報のままになっているというわけです。

この、互換性を優先して故意にバグを仕込むというのは大変興味深い判断です。
バグ、つまり誤りは正すのが普通ですが、あえて残すどころかわざわざ発生させています。

しかし、もちろんそれをするに足る合理的な理由があります。もしこれを開発当時に修正すればLotus 1-2-3との互換性がなくなり、厳しいシェア争いが必要になりました。
また、もしも今からこのバグを修正すると、これまでに作られた世界中のエクセルファイル全ての日付が1日ずれてしまうという甚大な問題が発生します。

それに対し、1900年をうるう年のままにした場合に起きる問題は、「1900年の1月1日~2月28日の曜日がズレてしまう」というだけです。
エクセルでは1900年以前をもともと日付として扱えないので、このごくわずかな期間、しかもその期間の曜日を計算するというごくごく限られた場面でのみ問題が生じます。(そんなことする人いるのかな・・・?)
つまり、バグを修正した方がより大きな問題が発生するということになります。
これらを総合的に判断した結果、今でもエクセルには1900年の2月29日が存在しているというわけです。

うるう年にまつわる、表計算ソフトの歴史のお話でした。

研究紹介 - 足から伝える情報

2020年2月28日 (金) 投稿者: メディア技術コース

今回は、博士課程の学生の研究について紹介いたします。この研究は、情報を足から伝えようというものです。どういうことかというと、そこに立っていたり歩いている人に道路の表面を振動させて、その振動のパターンの違いによって多様な状況がわかるようにしようとする試みです。このような仕組みができると何がいいかというと、例えば、目の不自由な人が交差点を渡ろうとしているところを想像してみてください。その人が交差点に来たときに、どうやって信号が青に変わったことがわかるでしょうか?ところによっては音によって知らせる信号がありますが、騒音の激しいところで聞き分けるのは大変でしょうし、十字路であったとしたらどちらの方向が青信号になっているかを判断するのも大変そうです。

 

そこで、信号が変わったときに、道路を振動させることで情報を伝えてみようと考えたのです。道路の表面を使えば、目が不自由なかたも含めてそこにいる人に特別な装置やアプリの使用など無しに情報を伝えることができるでしょう。スマホに夢中になっている人にも状況が変わったことを伝えることができます。また、音が常に鳴っているような状態をさけることができます。

 

足から情報を伝えるということでは、駅などに、凸凹の黄色のタイルがあってホームの縁や方向を知らせているものがあります。これらは特定の状況を伝えますが、状況の変化を伝えることはできません。波のように特定の方向に進むような動きを道路の表面に作ることができれば、その方向を変えることで、どちらの信号が青になっているかを直感的に感じられるものとして伝えることができるのではないでしょうか?

 

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ところで、そうは言っても本当にそんなことが可能かどうかはわかりません。しかし、わからないことを試してみるのが研究です。また、どうやったら実現できるだろうかと工夫をしていくのも研究です。ということで、現在、大学院生が研究をして、それを試してみようとしているのです。まず、波を作って情報を伝えることが可能なのかどうかをテストするために、検証用の装置を作っています。

 

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この装置は、複数のタイルを格子状に並べ、それぞれの上下運動を独立して制御できるようにしたものです。これをコンピューターで制御して、色々なパターンの運動を作れるようにしました。また、そこに足を置いて、実際にそれらの動きを感じることができるかどうかを試しています。これは実際に稼働して、振動を足で感じられることは確認できました。きちんと情報を伝えられるようにするためには、タイルのサイズや数、どのような速度で動きを与えるかなど細かく検証する必要があります。その実験のために、サイズ調整が可能な二つ目のプロトタイプも作成中です。

 

この研究は、デジタル機能をスマホなどのデバイスから利用するのではなく、生活環境の中に統合させたデザインを考えようとするアプローチの一つです。そうすることによって、スマートフォンを常に持ち歩き、アプリを操作して自分から情報を取りに行かなくても、便利な機能を利用できるような社会を作ることができるのではないでしょうか?今後の研究の発展に期待しています。

 

 

太田高志

隠岐での学会発表 (1)

2020年2月27日 (木) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の渡辺です。

1月23,24日に、島根県の隠岐にて情報処理学会デジタルコンテンツクリエーション研究会が開催され、私の指導している大学院生である栗原君と青木さんが発表を行いました。この研究会は年に4回実施されるのですが、毎年1月は離島で行われる慣習があります。この時期はいつも多忙でなかなか参加することができなかったのですが、今年はなんとか予定をやりくりして参加することができました。

隠岐自体の紹介は次の機会に行うこととして、今回は発表内容について紹介したいと思います。

まず、修士2年の青木明優花さんが発表した、イラスト画の影付けを自動的に行う理論を紹介します。イラスト画の影付けは、イラスト画にメリハリや立体感を出すための重要な技術の一つです。具体的な影付けについての解説は「イラスト・マンガ描き方ナビ」などを参照して下さい。

最近は、3Dモデルをアニメ的にレンダリングする手法もかなり高度になってきていますが、イラスト画の影付けは独特の法則性があり、3Dレンダリングを基本とする理論では実現が困難です。青木さんは有理Bezier曲線という曲線式を用いた新たな理論により、任意の光源に対応したイラスト画の影のレンダリング手法を提案しています。

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イラスト画調の影付けの様子

 

次に、修士2年の栗原一浩君が発表した、落ち物パズルゲーム自動生成に関する研究を紹介します。ゲームの中には自動生成技術がよく用いられています。例えば、マップやダンジョンが実行のたびに新たに作られるものや、クエストの登場人物やシナリオをある程度ランダムに生成するものなどがあります。しかし、「ゲームルール」の自動生成となるとまだまだ研究の段階です。

ゲームでの自動生成というのは、なんでもランダムに作成すればいいというものではありません。例えばダンジョンの自動生成を考えると、必ずゴールできるマップである必要があります。ゲームルールの場合はさらにその点がシビアになってきます。

栗原君は「落ち物パズルゲーム」のゲームルールを言語として記述できるよう体系化し、既定した言語の範疇であれば必ず落ち物ゲームとして成立するようにしました。さらに、そのルールを入力すると自動的にゲームが起動し実行されるシステムを開発しました。これにより、新たなルールを持つ落ち物パズルゲームを事実上無限に生成することを可能としました。

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自動生成した落ち物パズルゲーム

 

どちらの研究も参加者から強く興味を持ってもらえたようで、活発な質疑応答が行われました。

(メディア学部准教授 渡辺大地)

 

セブ島日誌7

2020年2月26日 (水) 投稿者: メディア技術コース

2019.10.26 15:20

文責:榎本

 

さて,我々の発表の内容を紹介しておきますね.

タイトルは,

An Investigation of Prosodic Features Related to Next Speaker Selection in Spontaneous Japanese Conversation  (自発的な日本語会話における次話者選択に関与する韻律的特徴の分析)

著者はYuichi Ishimoto, Takehiro Teraoka & Mika Enomoto です.

 

仲良し3人の会話において,話し手が次々と変わるわけですが(これを「話者交替」と言います),どういう位置で変わればよいのか,相手の発話の韻律的特徴(声の高さや発話速度や声の大きさの変化)が手がかりになっているのかどうかを分析するというものです.

発話の終了を予測するための手がかりとして,

1. 韻律的情報(話し手の声の高さ・大きさ・長さなど)

2. 統語的情報(助詞・終助詞などの品詞の出現)

があります.

これらが話者交替のタイプごとに見た時にどう変わるかを分析しています.話者交替のタイプには以下の4つがあります.


話者交替タイプ


 


次話者選択(selecting)


次の話し手が誰かを指名する発話(呼びかけ,視線などで)

話し手に指名された聞き手が次の話し手になる


次話者非選択(non-selecting)


次の話し手が誰かを特定しない発話

真っ先に話しだした聞き手が次の話し手になる


複合単位(multi-unit)


複雑な構造を持つ話の中ほどにある発話(3つの問題があります.1つ目は・・・」など)

韻律や統語の切れ目であっても,同一話者が話し続ける


中断(abort)


発話が完成せず途中で中断された発話

 

 

色々と細かい結果はあるのですが,ひとつだけ代表的な結果を挙げると以下になります.

ダウンロード - f0.pdf

 

縦軸は声の高さ(上に行くほど高い),横軸は発話内お音節数(4つの音節から構成される発話中の1番めの音節,2番めの音節,3番めの音節,4番目の音節)を表します.

 

【最終音節(第4音節)にむかって声が低くなっていく】ということが読み取れます.もちろん最終音節には,統語的な終端記号である助動詞・終助詞も現れます.

 

結論として,これらの韻律的情報・統語的情報を用いて聞き手は,話し手がいつ話し終わるのかを予測できると言えます.

 

 

サウンド×ヒューマン研究まとめ

2020年2月25日 (火) 投稿者: メディア技術コース

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こんにちは。今回はサウンド研究が中心の大淵・越智研のメンバーが取り組んでいる、または今年度卒業研究・修士論文研究で行った研究課題の概略を図示してみました。これ以外にもサウンドの可視化や画像から音を作る(可聴化)、プログラミングで音楽を奏でるライブコーディングへのAIの導入、音声認識、音声合成など、描ききれない色々な研究テーマがあります。サウンドと一口に言っても色んなことができることがわかりますね。共通するのは、大淵・越智研ではサウンドを芸術的な側面だけではなく技術(機械学習(AI)や統計、音響分析)と結びつけて研究していることです。サウンドを技術的な切り口でとらえてみたい学生の皆さんは是非大淵・越智研で一緒に研究してみませんか?

 メディア技術コース 越智

AIは代わってくれない研究のプロセス

2020年2月24日 (月) 投稿者: メディア技術コース

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研究のプロセス

こんにちは。メディア学部では卒業研究発表と大学院の最終審査がちょうど終わった時期です。ここではメディア学部に限らない研究そのもののプロセスをまとめてゲームマップ風?にまとめてみました。図では単純化していますが、各プロセスは場合によっては前の段階に戻って方針を練り直す必要が生じることが多々あります。卒業研究や大学院の研究活動では、1年(または2年)かけて試行錯誤とチャレンジを繰り返すことそのものが、研究以外においても今後必要となる問題発見や科学的・論理的思考といった力を培うのに役立つことでしょう。これから研究を始める皆さんも、厳しくも楽しい1年を過ごすことにより自分の成長を実感できると思いますのでぜひ頑張ってください。

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夕日を浴びる本部棟   

メディア技術コース 越智

Global Game Jamから得るものは?

2020年2月23日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

2020年1月31日から2月2日にかけて開催されたGlobal Game Jam(GGJ).怒涛の週末が過ぎて参加者の皆さんは日常に帰っていきました.わずか48時間,足掛け3日の出来事なのですが,プロ・アマ・学生問わず,様々な人がいろいろなことに気付く貴重な時間になっています.

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もともとGGJがスタートした2008年ごろはコンソールゲーム(家庭用ゲーム)やPCゲームが主流で,大規模なゲームだと開発に3,4年かかることもあります.企画から完成まで同じプロジェクトにいられないこともあったり,仕事が細分化されてゲーム開発の全体像が見えにくいなどいろいろ課題がある時期でした.そこで,「もっとゲームを作る根本を楽しもう,週末だけでもはじけて,あの大好きなゲームを作ってみよう!」みたいな風潮のもと,不可能ともいえる48時間のなかでゲームを生み出すこのイベントがスタートしています.

東京工科大学は2010年1月からGGJの会場運営をスタートさせました.そして翌年の2011年にはUnityがGame Jameのシーンに君臨します.それまでは開発することそのものがチャレンジで,完成したら称賛されるというような状況でしたが,ゲームエンジンがその環境を変えます.

プロの現場でも利用できるレベルのツールを自由に会場に持ち込み,他の参加者と共通で使える.今では「ゲーム開発の民主化」などと言われるように,専用の開発会社だけが,独自の開発環境を駆使して開発できた時代から,誰でもが挑戦できる時代に変わったと言えます.

そして,それはスマートフォン向けゲームの隆盛と相まって,ゲーム開発が新たなフェイズを迎えることにつながっていったと言えると思います.

さて,GGJに参加した学生は,プロと同じ課題に取り組み自分の現時点の実力やプロとの違いに気付いたと思います.通用するところ通用しないところ,自分のいいところダメなところ.GGJの期間だけで成長するものではなく,そこで得た気付きをもとにこれからどのように学んでいくのか,自分を高めていくのかが大事だと思います.

何しろ,プロだって遊びに来ているわけではなく,GGJを通じていろいろなことを試したり,気付いたりしてまた成長していくのですから.

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文責:三上浩司

卒業論文提出物語(2019年度編)

2020年2月22日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

こんにちは。

メディア学部では、卒業論文の提出の機会が2回あります。1回目は、卒業研究発表会の審査用の論文を1月20日前後(2019年は1月17日と20日でした)に、2回目は、2月28日までに卒業研究発表会での質疑やコメントなどを踏まえて修正した、最終論文を提出します。
今日は、1月の卒業論文提出で起きたおもしろ事例を紹介します。

1月の審査用論文提出は、論文のハードコピーと一緒に、論文の内容に誤りがないかを確認したチェックシートと、論文を提出したという証明になる受領書を提出します。

ある学生さんが、参照エラーが起きている論文を提出しに来ました。
チェックシートには、受け取り会場での確認の手間を削減するために、卒業論文のタイトルに間違いがないか、概要が書いてあるか、キーワードが書いてあるか、参照エラーが起きていないか、などのチェック項目があります。
「あぁ、あまりチェック項目を読まず、適当にチェックしてきちゃったのかな・・・」と思って、チェックシートを見てみると、ちゃんとその欄はチェックされていないのです。きちんとチェックシートに沿って確認はしているのです!
結局、参照エラーを修正してもらいましたが、気づいた時点で直してくれていれば2度提出に来なくてもよかったのに…と思います。

もう1つ。卒業論文は2穴のファイルに綴じて提出するのですが、穴あけパンチで一度に開けられる枚数が少ないのか、穴の位置がずれてガチャガチャな状態で提出してくる学生さんがいます。
通常、穴あけパンチにはセンターの印がついていると思うので、ガイドがないパンチでも、1枚不要な紙を半分に折って、それで中心を合わせれば、きれいに穴が開くはずなのですが、何となくの匙加減で開けたのでしょうか・・・。
あまりにもひどい学生には再印刷をお願いしましたが、来年は、大型の穴あけパンチを提出会場に用意しようかなと思っています。

今年もほかにもいろいろありましたが、やっぱり忘れられないのは、昨年の「チェックシートと受領書だけを持参し、卒業論文を持ってこないという強者がいた」ことでしょうか。

来年度はどんなことが起きるのか、ちょっと楽しみです。

(文責:竹島)

仕事は楽しいもの

2020年2月21日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース



私のうちのカレンダーには、毎週ひとつだれかの金言が載せられています。それを見るのが楽しみですが、ときどき「おやっ?」と思うことがあります。例えば、以下は寛政の改革で有名な松平定信の言葉がだそうです。

 楽しきと思うのが
 楽きの基なり

 松平定信

これはちょっと、意表をつかれた気がしますね。腐敗した賄賂政治を立て直した堅物政治家かと思いきや、粋な言葉を残されたものです。なにごとも楽しんでやらなければいけない。そうですよね、むしろ、こういう考え方ができたからこそ、天明の大飢饉から藩政を立て直す難事業をやりとげられたのですね。

一方で、先週のNHKラジオ講座では、こんな言葉が紹介されていました。「ピーターパン」の原作者でもある、J.M.バリイ 氏が残された言葉です。

 できれば何かほかのことをしたいと思わない仕事は、本当の仕事ではない。

 Nothing is really work unless you would rather be doing something else.
 James Matthew Barrie


「家に帰って寝てたほうがまし」とか「こんなの早く終わってゲームしたい」とか思うくらい大変でないと、それは本物の仕事ではない。仕事はツラくて当然ということですね。現代にも通じるポイントを押さえた、いい言葉ですね。

でも、このふたつの金言格言を並べてみると、おたがいに矛盾して聞こえます。
はたして仕事というものは、楽しむべきものなのでしょうか。
多少辛くとも、頑張ってやるべきものなのでしょうか


私は答えを、次のように考えてみました。

 本当の仕事というものは「早く終わって別のことしたい」と思うほどツラい。
 しかし、それでもそれを楽しんでやることが大事である。


あれ、ちょっとこれでは仕事中毒みたいですね。
あまり、いい答えではないようです。
みなさんも考えてみていただけますか?

 

コンテンツコース・佐々木が担当しました。

 

二番目も大事です

2020年2月20日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース




「二番ではダメなんですか?」というフレーズが、一時期流行となりました。私の答えは「二番も大事」と決まっています。特に、映画の撮影では絶対にそうなのです。

映画のオープニングタイトルで、クレジットされるのは、監督、カメラマン、編集マン、作曲家、キャスティングディレクターなど「一番メインのスタッフ」と決まっています。ところがエンド・クレジットをよく見ると「二番目」の人たちの名前も載っているのです。みなさん、お気づきだったでしょうか?

その二番目の人たちは「セカンド・ユニット( 第二班 )」と言って、メインのスタッフが撮影する余裕の無いシーンを担当するのです。遠方の海外ロケや、俳優が登場しない情景シーンなどを担当することが多いです。

ジョージ・ロイ・ヒル監督の名作「明日に向かって撃て」でも、その第二班が活躍しました。第二の監督の名前は、ニッキー・ムーア、第二のカメラマンは、ハロルド・ウェルマンと言って、メインのカメラマンである、コンラッド・L・ホールの親友です。

この映画で彼らが担当した仕事が、実はまさにオープニングタイトルの映像だったのです。ブッチ・キャッシデイとサンダンス・キッドが活躍した時代の列車強盗のシーンを、古びたクラシック映画のテイストで撮影しました。悲しげなトーンのピアノと、この映像の組み合わせがあまりに良くて、肝心のメインスタッフのクレジットが頭に入らないくらいです。

私自身は、実はこのオープニングタイトルは、何か昔の映画のフィルムを拝借して作ったものとばかり思っていたのですが、最近これが、セカンド・ユニットによって新たに撮影された映像であったと知りました。騙されるほど、よくできたクラシック映画のシーンですし、メイン監督のジョージ・ロイ・ヒル監督もとても気に入っていたとか。

「明日に向かって撃て」では、このように本編とテイストを別にする挿入シーンがいくつかあって、それが映画全体を引き締めて、いい意味での気分転換となっています。「雨にぬれても」の挿入歌で有名な自転車シーンもその一つで、ともすれば悲劇的なトーンになりそうなこの作品に、永遠に消えない明かりを一点灯しています。「第二のチーム」が残した映像も、あちらこちらでこの映画を引き締める役割を果たしています。

撮影賞も含めて、アカデミー賞を三つも受賞したこの作品ですが「二番目」のクルーの働きがなければ、ここまでの名作にはならなかったはずです。「二番目」あっての「一番目」だったのです。ということで、私の答えは「二番目も大事」なのです。

さて、現代の日本に目を向けてみましょう。
「一番」や「二番」と、順位を競うというのは社会のひとつの仕組みでもあります。

大学でもやはり、良い成績をとることは大事です。しかし大学での勉強や研究で、もっと大事にされていることは「独創的」であることかもしれません。たとえ何番目であろうとも、自分らしく自分の視点でものごとを考えることこそが重要なのです。

みなさんも、大学に入学したら、順位や競争から一旦フリーな気持ちになって「自分らしい研究テーマ」をみつけてみてはいかがでしょうか。


(この記事は、佐々木の個人ブログの記事から転載・修正したものです)

 

ショーウィンドウ

2020年2月19日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース



ショーウィンドウというものは「ショー」というくらいだから、お店の品物を展示して見せるためのもの。でもこの絵のように「これでもか」と品物を詰めて並べたウィンドウには時々驚かされます。

古い石造りの建物にむりやり開けたようなドアとウィンドウ。しかたなく、こんな詰め込みになってしまうのでしょう。ヨーロッパの古い街角で、よく見かけるスタイルですが、日本で見たらこれは質屋さんかな。

このお店はいわゆる金物屋。時計やら工具やら小物がいっぱい並んでいるだけなのですが、遠くから見るとなんだか博物館のようです。前を通るたびに、ついつい惹かれて近寄って見るのですが、結局一度も中には入りませんでした。

でも、外から見ただけでこのお店の「気持ち」がわかったような気もします。

人間にもこんなウィンドウがあったらいいかもしれない。通りすがりの人から「いい心がけですね」とか「すごいもの持ってますね」とか覗いてもらえます。


コンテンツ・コース 佐々木が担当しました。

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[ 追記 ]
この文章を書いた後で、この記事を読んでいただいた大先輩から、以下のコメントをいただきました。まったくそのとおりでした。SNSを使う時には、ショーウィンドウに品物を並べるように、心を込めて丁寧にやらなければならないですね。

「人間にとっては、フェイス・ブックなどがショーウィンドウなのかもしれませんね」


(挿絵は、ポーランドの小都市チェシンの裏通り)




 

図と説明文の話

2020年2月18日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

鶴田です。

先日、Taylor's Universityのみなさんが来学した際に、日本文化の紹介として折り紙のワークショップを行いました(大学からのお知らせはこちら)。

ワークショップは1時間予定されていたので、折り紙の数学や歴史、技術応用の話をした後、簡単な箱の作品を折ってもらうことにしました。
しかし、手元にあるのは日本語の折り図です。当然みなさん読むことができません。とはいえ図が書いているのだから日本語が読めなくてもおおよそ理解できる気もします...。

迷った結果、全部翻訳するのは手間がかかるので「難しそうな手順だけ英語の訳を付けた」のですが、結局「難しい部分は英訳があっても間違える」という結果になりました笑

さて、折り紙の手順を示した図では下記のような説明文が付いていますね。この「半分に折る」という説明は本当に必要なのでしょうか?例えば、立川とかにある某北欧家具メーカーの組立説明書は、説明文をなくして、図だけで理解できるようにしています(本当に理解できるかは別ですが)。

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いろんな国のいろんな言語を話す人が入り混じる世の中で、翻訳というのは大変なコストになります。私にとっては、図の在り方についてちょっと考えたワークショップになりました。

メディア学フロンティアシンポジウムを開催します!【2020年3月14日】

2020年2月17日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

鶴田です。
コンテンツプロダクションテクノロジー研究室(近藤・鶴田研)では、来る2020年3月14日に「メディア学フロンティアシンポジウム」と題して公開シンポジウムを開催します。コンテンツ制作に関する様々な分野の先生方をお招きして議論するとともに、卒業生によるパネルディスカッションを行い、メディア学のさらなる展開を探ります。後半のパネルディスカッションには、メディア学部の卒業生であり、現在助教として勤務されている兼松先生も登壇します。
シンポジウムは誰でも無料で参加できますが、事前登録が必要です。詳細はこちら http://www2.teu.ac.jp/lenz/mediafrontier/ をご覧ください。皆様のご参加をお待ちしております!
開会
10:00 開催のあいさつ  
講演
10:15-11:15 近藤 邦雄 (東京工科大学) 『Media & Human』
11:15-12:00 藤代 一成 (慶應義塾大学) 『スマートアンビエントメディアの挑戦』
司会:竹島 由里子(東京工科大学)
13:00-13:45 三谷 純  (筑波大学) 『折り紙がつくる形』
司会:鶴田 直也 (東京工科大学)
13:45-14:30 伊藤 貴之 (お茶の水女子大学) 『Multimedia meets 3D User Interface』
司会:伊藤 彰教 (東京工科大学)
14:30-15:15 馬場 哲晃 (首都大学東京) 『プロトタイピング思考の育て方』
司会:茂木 龍太 (首都大学東京)
卒業生によるパネルディスカッション
15:30-17:30 渡邉 賢悟
竹内 亮太
兼松 祥央
Kenneth Chan
岩渕 栄太郎
『メディアフロンティア時代の学び ~メディア学のこれまでとこれから~』
司会:三上 浩司(東京工科大学)
祝賀会(※別途申込および参加費が必要です)
18:00-20:00 東京工科大学蒲田キャンパス内

マレーシアのテーラーズ 大学 メディア学部に訪問「2」

2020年2月16日 (日) 投稿者: メディア社会コース

こんにちは!飯沼瑞穂です。2月5日にマレーシアのテーラーズ大学から80名程の学生が参加しました。異文化交流を体験したいとのご要望に応えるため文化紹介を中心としたワークショップを用意しました。メディア学部 鶴田直也先生のご専門である折り紙をテーマにしたワークショップでは、折り紙の歴史的な資料や、数学を使った折り紙作品の紹介をした後、実際に折り紙を使って作品を作ることをしました。

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学生達は楽しそうに折り紙を、作っていました。

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上手ですね!

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マレーシアでも折り紙は有名らしく、ワークショップが終わった後は、マレーシアの学生達が何人も鶴田先生の周りに集まり、詳しく先生の御研究の内容を興味深そうに聞いている様子が印象深かったです。ワークショップ後はランチタイムで、学生達はマクドナルド派、学食派、コンビニ派に分かれて、本学のマレーシアからの留学生たちの案内の元ランチを楽しみました。このような交流の場はもっと学内で増えることを願っています。

東京工科大学公式HPからの記事も是非、ご覧ください。

テイラーズ大学(Taylor`s University)との国際交流報告

 

 

 

マレーシアのテーラーズ 大学 メディア学部に訪問「1」

2020年2月15日 (土) 投稿者: メディア社会コース

こんにちは、飯沼瑞穂です。2月5日にマレーシアのテーラーズ大学から80名程の大学生と4名の教員の方達が訪問しました。テーラーズ大学はマレーシアでも有名なデザイン学部を有する大学で、クアラルンプール近郊にあります。この日、メディア学部を訪問した学生達は異文化交流のテーマにしたプロジェクトを履修中の学生達で、メディアに興味がある子達でした。1週間ほどの滞在で、日本訪問が初めての学生さんや教員の方も多かったです。

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そこで日本の文化を積極的に知りたいとの要望に応える形で様々なイベントを教養学環の勝浦先生率いる英語の先生方のご協力のもと、準備しました。

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プログラムの紹介をメディア社会コースの飯沼准教授が行いました。

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オープニングでは柿本学部長が東京工科大学とメディア学部の紹介をされました。

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その後太田教授が、国際交流と大学院の紹介をされました。

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午前中はその後、鶴田先生による折り紙のワークショップ、午後は卒研ポスター発表の見学や、茶道によるデモンストレーション、剣道部の紹介とコスプレサークルの紹介など盛りだくさんのイベントが用意されました。(つづく)

 

 

 

 

 

グローバルメディア論 Room To Read Japan 代表 松丸佳穂氏

2020年2月14日 (金) 投稿者: メディア社会コース

 こんにちは!社会メディアコースの飯沼瑞穂です。私の担当している、グローバルメディア論という授業ではグローバルメディアの歴史や、SDGsに代表されるグローバル課題の解決のためのメディアの役割について取り扱っています。グローバルメディア論のゲストスピーカーとしてルーム・トゥ・リード ジャパン代表の松丸佳穂氏に御登壇をいただきました。松丸さんご自身幼少時代を海外で長く過ごし、本を読むことが大好きな少女だったそうです。

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ルーム・トゥ・リード は識字能力の育成と男女の教育格差の是正を目標に、開発途上国を中心に活動を行っている非営利団体です。[子供の教育が世界を変える」の信念のもと、元マイクロソフトの重役だったジョン・ウッドにより設立されました。ルーム・トゥ・リード

今回のお話では、特に女子教育プログラムについて近年の活動をご紹介頂きました。ミャンマーの少数民族の家庭からルーム・トゥ・リードのプログラムに参加し、日本語に興味を持ち、現在では日本の某有名大学に交換留学生として来日している子のお話などしていただきました。開発途上国と言われる国で、家庭でも高等教育を受けた家族が周りにいなく理解を得ることが難しいなか、ルーム・トゥ・リードの女子プログラムに参加し成功した、才能と意欲にあふれた少女達の成長を見ることが何より仕事のやりがいに繋がっているとのことです。メディア学部の学生達からは、識字能力のない大人がまだ世界には多くいることや女子として生まれただけで差別されてしまう社会があることを改めて、知り大変驚いた、何か自分にもできることがあれば参加したいなど意見が上がりました。

 

 

 

 

 

第6回Symposium for Women Researchersにて大学院生の園部由美子さんが発表

2020年2月13日 (木) 投稿者: メディア社会コース

こんにちは!メディア社会コースの飯沼瑞穂です。女性の研究者は日本ではまだまだ、男性に比べると数が少ないのはみなさん、ご存知だと思います。残念ながら、日本は先進国でありながら、研究分野における男女共同参画の状況は他国に比べると低く、OECDの平成29年度の調査結果によると15.7%だそうです。第6回SWR Symposium for Women Researchersは、「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」事業の一環で、女子の中高生、大学生、大学院生によるポスター発表会です。2019年11月3日に行われ、場所は都立戸山高校です。私は審査員の一人として参加しましたが、 メディア学部からは、ソーシャル・デザインプロジェクトに所属している大学院生の園部由美子さんがポスター発表を行いました。

 

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修士2年生の園部由美子さんです。ポスターセッションでは積極的に女子高校生に研究内容の説明をしていました。

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女子高生、女子大生、女子大学院生、それぞれユニークな研究発表をたくさん拝見しました。まだまだ、少ない女子研究者がもっともっと将来増えて、女性らしい感性が研究分野でも認められる時代が来ると良いですね!

 

実践型インターンシップ「地域ベンチャー留学」についての紹介 NPO法人ETIC.

2020年2月12日 (水) 投稿者: メディア社会コース

こんにちは!社会メディアコースの飯沼瑞穂です。みなさんは地域ベンチャー留学という言葉を聞いたことはありますか?地域ベンチャー留学とは、地域社会に根付いたベンチャー企業や地域の企業に短期インターンとして参加することを指し、NPO法人ETIC.が行っている実践型インターンシップです。起業支援のプログラムも行っています。社会メディアコースでは、毎年、グローバルメディア論という2年生の講義科目で、NPO法人ETIC.の方に地域ベンチャー留学について説明しに来てもらっています。今年もETIC.のローカルイノベーション事業部の杉山真之介さんに、お話に来てもらいました。昨年は1か月の実践型インターンシップに、総数52名が参加したとのことでした。実際に参加された方とのお話を学生達は伺いました。 NPO法人ETIC.

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メディア学部の学生もこれから、もっと社会を良くするために活動し、地域社会で大切にされる存在になると良いなと思います。大学生は色々なことにチャレンジできる、絶好の場所です。頑張ってほしいですね。

 

専門講義ソーシャルアントレプレナーシップのゲストスピーカー

2020年2月11日 (火) 投稿者: メディア社会コース

こんにちは、飯沼瑞穂です。社会メディアコースでは、社会やビジネスに関する様々な授業が用意されています。ソーシャル・アントレプレナーシップは3年生後期の専門講義科目ですが社会課題を解決するためのビジネスや起業家精神について学ぶ授業です。近年SDGs持続可能な開発目標が注目されていますが、グローバル課題の解決に向けたソーシャルビジネスや、AIなど新しいテクノロジーを使ったソリューションなどが期待されています。本講義では、ソーシャルビジネスの歴史や、社会起業家の活躍、更には近年のグローバルトレンドなどを取り扱っています。今期は、ゲストスピーカーとして、株式会社 風とつばさ 代表の水谷衣里氏をお招きしました。水谷さんは

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インパクト投資と言われる、社会貢献を目的とした投資やソーシャルビジネスを専門にご活躍されています。講義では将来NPOやNGOなど非営利団体などが従来培ってきた社会問題を解決するためのノウハウが、企業でも重要になってくると指摘されていました。更に、日本の社会問題の解決を行ってきた社会起業家の成功事例などの紹介するとともに、学生同士が活発に議論する機会を設けて頂きました。

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授業では、全員、立ち上がって近くの人と話し合う機会を設けました。そうすると、隣の人のほかの人とも話がはずみますね。水谷さんが良く企業研修で使う、アイスブレークのテクニックだそうです。楽しい授業で学生達も生き生きしていました。

 

 

ソーシャル・デザインプロジェクト主催 卒業生によるコーチングワークショップ

2020年2月10日 (月) 投稿者: メディア社会コース

こんにちは!社会メディアコース担当の飯沼瑞穂です。メディア学部の2019年度後期ももうすぐ終わりです。少し、今期を振り返って、社会メディアコースで行ったワークショップやゲストスピーカーの紹介を数回にわたり行いたいと思います。後期のはじめの10月23日に卒業研究プロジェクト ソーシャル・デザインでは本学部の卒業生の杉村慎吾君をゲスト講師に、コーチングのワークショップを行いました。

 

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自分のキャリアを形成する際に必要なコミュニケーションの方法を中心に、会話をする際にジェスチャーやボディランゲージがもたらす印象の違いなどについてアクティビティを行いました。

 

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研究室の先輩のワークショップは、大盛況に終わりました。教員としても、卒業生の成長ぶりを見ることは本当にうれしいです。

プロジェクト演習「IoTプロトタイピング」の紹介

2020年2月 9日 (日) 投稿者: メディア技術コース

寺澤です。

私はいくつかのプロジェクト演習を担当していますが、今日はその一つの「IoTプロトタイピング」について紹介したいと思います。この演習は以前からあった2つの演習を統合リニューアルして2019年度から開始しました。近年はmicro:bitやRaspberry Piなどの安価で小型のコンピューターが登場し、様々な実験や試作、教育に使用されています。これらについてはこちらでも紹介しています。

以前から、Arduinoという一種の小型コンピューターがあり、センサーを接続して計測を行ったり、モーターを制御するなどの用途に使われていましたが、やや、ハードルが高いところがありました。micro:bitは様々なセンサーを搭載しながら、小学生でも扱えるようにコンパクトに作られ、プログラムもScratchに似たビジュアルプログラミングで作ることができます。キット製品も豊富です。また、Raspberry PiはLinuxを動かすことができ、インターネットにそのまま接続することができる一方で、外部にセンサーや他のデバイスを接続することも簡単にできるようになっています。

このような「道具」が容易に安価に入手できるようになったことで、以前ならば電気回路・電子回路の知識がなければ難しかった装置や仕掛けを比較的簡単に実現できるようになりました。つまり、アイディアをすぐに形にして試すことが簡単になったのです。それを受け、このプロジェクト演習では、前半をMESH、micro:bit、Raspberry Piの使い方を中心にレクチャー+実習形式で実施し、その後、受講生各自がどんな道具や仕掛けを実現したいか考えてプレゼンを行います。後半の演習では、各自の目標に従って、TAやSAの助けを借りながら数週間かけて実際にモノを制作します。IFTTTなどのインターネット上のサービスを利用すると、例えば、ネット上の天気予報サービスからデータを取得して動作を変えるとか、モノがある状態になったらTwitterに投稿するなどの連携を実現できます。もちろん、LEDを光らせるとかモーターを制御することもできます。

2019年度後期の受講生は、前期の演習を受講した学生でしたので、後期は最初から、3人グループで少し大掛かりなものを作成することにしました。11月に構想を練り始め、彼らが作ることにしたのは、ネット側からの指示に応じて動き回る「ムービング門松」でした。竹の代わりにアクリルパイプを使い、色を変えられるLEDを使ってやはり外部からの指示で「竹」の色が変わるというものでした。動力系の制御にはmicro:bitを、ネット接続とLEDの制御はRaspberry Piを選択しました。

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キットも活用しながら制作を進めましたが、アクリルパイプの切断やLEDの固定、バランスをとって走行できるようにするなどのことに手間取り、残念ながら、ネット側からの制御というところまでは手が回らなかったようです。そこが肝心なのですが...。代わりにBluetoothで接続したもう一つのmicro:bitをリモコン代わりとして、動き回ることだけはできるようになりました。目標通りの完成とはなりませんでしたが、工作の楽しさや工夫の醍醐味を感じてくれたと思います。

寺澤卓也

寺澤研 卒研最終発表会

2020年2月 8日 (土) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の寺澤です。

他の先生からも卒業研究の最終発表会の記事が投稿されていますが、私の研究室でも2月3日に発表会を行いました。私の研究室ではPowerPointを使った口頭発表の形式で毎年発表会を行っています。今年は11名の学生が発表を行いました。

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私の研究室ではコンピュータネットワーク、インターネットの研究を行っていますが、どちらかといえば応用寄りのテーマが多く、広くITを用いて問題解決を行うことを目標にしています。その分野は検索の応用やフィッシング対策、情報フィルタ、プログラミング教育支援など多岐にわたっています。今年の特徴としては、機械学習の手法を取り入れた研究が多いことです。

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2年生、3年生も発表会を聞きに来てくれました。発表は練習をつんで本番に臨むのですが、スライドを早く仕上げて練習を繰り返す人もいれば、ギリギリまでスライド修正をして当日、私も初めて見る(!)スライドを披露してくれる学生もいました。聞きに来てくれた学生の中には、積極的に質問してくれた人もいました。質問対策も練習の時にするのですが、緊張もあり上手に対応できないケースもありました。

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後姿は、レビュアーをしていただいた山崎晶子先生です。卒研発表会は分野の異なる先生が必ず1名、審査のために参加するルールになっています。山崎先生からも多くの質問やコメントをいただきました。結果的に発表会は全員乗り切った形となりましたが、これから、今月末の卒業論文の最終版の提出に向けて追加実験や加筆修正作業が待っています。また、3名の学生は卒業論文の内容で3月に学会発表を行うことになっています。そちらについてはまた報告したいと思います。

寺澤卓也

卒研ポスターセッションの内覧会

2020年2月 7日 (金) 投稿者: メディア技術コース

1月末から2月初めにかけては、卒業研究の最終発表会のシーズンです。私の研究室でも、2月3日に発表会を開催したのですが、今年からの新しい試みとして、当日の午前中に「内覧会」を行いました。

研究室の卒研生は人数が多いので、いつも4つのグループに分けてミーティングを実施しています。そうすると、同じグループの人がどんな研究をしているかはわかるのですが、他のグループの人の研究のことは、意外と知らないまま卒業することになってしまいます。せっかく同じ研究室になったのに、それではもったいないですね。

最終発表会が口頭発表形式なら、それを聞いて研究内容を知ることができるのですが、あいにくうちの研究室はポスター発表です。発表時間中、4年生はずっと自分のポスターのところにいなければいけないので、他の人の発表を見に行くことができません。そこで、当日の午前中に「内覧会」として、4年生だけでの発表の時間を取ったというわけです。

Preview

これはなかなかのグッドアイディアでした。他の人の発表を知ることができたうえに、良い予行演習になって、午後の本番に向けての改善点なども見つかりました。研究室の恒例行事として、来年以降も続けていこうかなと思っています。

さて、その後の本番はどうだったかというと…。それはまた別記事でご紹介したいと思います。

研究紹介 - 音楽の塊: Soluble Concrete Music

2020年2月 6日 (木) 投稿者: メディア技術コース

ミュージックコンクレートとという音楽の分野をご存知でしょうか?楽器ではなく、生活音や騒音、川の流れや鳥の音などの自然の音を使って創作される音楽?のことです。ビートルズやピンク・フロイドといった有名なバンドも、そのような手法で曲を創っています。コンクレート(フランス語、英語ではコンクリート、って両方日本語(カタカナ)か)は「具体的な」という意味です。ところで、英語のコンクリート(concrete)という言葉にはもう一つ、「固体の」という意味があります。ここで紹介するのは、音楽の塊(固体となった音楽、Concrete Music)を創ろうというものです。

 

「音楽の塊」は、色々な形の固体物で、一つ一つが異なる曲に対応しています。これを水に落とすと、泡をだしながら曲が溶け出してきますというものを創ろうとしているのです。ですから、溶ける音楽の固体ということで、Soluble Concrete Musicとなりました。まだ、この研究は試作段階ですので、とりあえず適当?ないくつかの固体を造ってみました。

 

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これらは、3Dプリンターを使って作成しています。この物体に空洞を用意し、そこに入浴剤など水に溶けて泡を出すものを仕込んで音楽の塊を用意します。これを水に落とすと、光と音が溶け出してくる様子が次の画像です。用意されている瓶に塊を落とすと、溶けて泡がではじめます。それに合わせてその固体となっていた音楽が映像とともに、瓶から溢れてきます。溶ける部分が無くなったらそれとともに音も映像も消えていきます。

 

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いったい何でこんなことをしようとしているのでしょう?実はこの研究の目的は、新しい音楽との出会いをデザインしようという意図があるのです。現在では、ネット上のサービスで曲名を指定することで、いくらでも希望の音楽を簡単に聴くことができます。「ジャケット買い」という言葉がありましたが、曲を知らないけど、アルバムの表紙が格好いいので買ってしまうというような音楽との出会いかたがありました。そうして入手した音楽をはじめて聞くときのドキドキ感が、現在のネットを中心とした音楽の聴き方では得られなくなっているように思います。そうした音楽との初めての出会いを、色々な物体から、その形状のデザインだけで曲を想像して選び、いったいそれはどんな曲なのだろうと期待するような体験を創ろうということを考えているのです。

 

さて、このようなことを実現するのには、大きく分けて二つのことを実現しなければなりません。一つは、音楽の塊を水に落としたことを感知し、その形状から対応する曲を特定して、曲と映像を流すインタラクティブなシステムを作成しなければなりません。もう一つは、曲の一つ一つから、それに対応する塊の形状を自動的にデザインする方法が必要です。これらを組み合わせることで、上で述べたような体験を創り出すことができるでしょう。

 

これは、修士課程の研究として行っているもので、現在1年目の準備段階が終わったところです。ですから、上に挙げた実現に向けての作業はこれから進めていかなくてはいけません。とりあえず現状までの内容を、3月に行われる「映像表現・芸術科学フォーラム」でポスター発表する予定です。

 

 

 

太田高志

大学から見える意外なランドマーク(2)

2020年2月 5日 (水) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。

先日の記事に続き、学内から見えるもうひとつの意外なランドマークのお話です。
片柳研究所から都心の方を見ると、頭一つ(という表現はちょっと違うかもですが・・・。)抜けた高い高い建造物が見えます。

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流石に遠いのでズームします。

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更に拡大・・・。

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はい。スカイツリーですね。特徴的なシルエットと、何より大変高いのでわかりやすいです。

探してみたら総務省の公開するこのようなデータがありました。関東広域圏東京親局というのですね。
関東平野の広域にテレビ電波を発信できるように建造されているので、山などに遮られない限り非常に広範囲まで電波が届いていることがわかります。

電波は基本的には直進します。つまり、テレビの電波が届くということは間に何もないということになります。
(厳密には回折や反射といった現象や、中継局などがあるので
その限りではないですが・・・。)
そのため、東京工科大学からは44Kmほど離れていますが、高い位置からであれば視認可能なんですね。

そういう意味ではあまり意外ではないのですが、そんなに遠いのに見えるんだという意味で意外なランドマークのお話でした。

大学から見える偉大なランドマーク(2)

2020年2月 4日 (火) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。

兼松先生、三上先生から紹介があった通り、先週末は本学でグローバルゲームジャムというイベントがありました。
会場は片柳研究所の10階、アクティブラーニングセンターを利用しています。私もスタッフとして参加していました。

さて、先日紹介した通り、本学からは敷地に対しほぼちょうど直角(まっすぐ)の方向に富士山が見えます。
先日は講義実験棟を紹介しましたが、片柳研究所からもよく見えます。もちろん、上階であればなおさらです。

ちょうどよく土曜朝に晴れて空気が澄んでいたので、とても綺麗に見えました。

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冬の朝は寒いですが、その分こういった遠くのものが綺麗に見えるのは嬉しいところですね。

ADADA Internationalで、こっそりゲームをしている人を発見する方法の発表

2020年2月 3日 (月) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

1月19日の記事に続いて、ADADA Internationalでの発表の紹介です。2件目は、私自身が"Playing Games or Writing Papers? User Activity Detection from Typing Sound"というタイトルで発表を行いました。

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この研究は、もともとは前の記事でも紹介した「先端メディア学」という科目で、履修生の正田ゆきのさんが担当していたものです。その後、彼女は研究テーマを変えてしまったのですが、なかなか面白いテーマだと思ったので、私が引き継いで追加の実験などをして、今回の発表に至りました。

研究の内容は、キーボードを叩いている音を聞いて、その人がゲームをしているのか、それとも文章をタイプしているのかを推定しようというものです。発表のときは、「研究室の学生がゲームばっかりしていて困っていても、このシステムがあれば簡単に見つけられます」なんてことを言ったのですが、決して自分の研究室で使いたくてこんな研究をしたわけではありませんよ。

私自身、学会で発表するのは久しぶりだったのですが、普段の授業とは違った緊張感があって、なかなか楽しかったです。今は学期末でなかなか時間が取れませんが、春休みには自分の研究もがんばって、また学会発表してみたいと思っています。

 

今年のテーマは「Repair」 Global Game Jam 2020

2020年2月 2日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

今年で12回目を迎える,全世界同時48時間ゲーム開発ハッカソンGlobal Game Jam.東京工科大学は2010年から会場を運営して今年で11回目を迎えます.

今年は65名の参加者が全9チームに分かれて開発をスタートさせました.今年のテーマは「Repair」です.

65名のうち20%の13名が海外出身の方でインターナショナルな会場になっております.また,40%の26名が社会人ということで例年にない国際化率と社会人率の会場になりました.

テーマの「Repair」は修繕する,修理する,訂正する,償う,賠償する,回復する などの意味をもつ英単語です.多くのチームは修繕,修復のような意味でとらえていましたが2チームほど「賠償」という意味を使っていました.

 

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開会式の様子

 

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会場の様子

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企画会議の様子

 

 Global Game Jam開催にあたっては様々な企業からの支援を受けております.48時間ゲームを開発し続けるために必要な開発のお供を用意するための資金として活用させていただいております.


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Global Game Jam 2020 開催中!

2020年2月 1日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさんこんにちは.メディア学部の兼松です.
昨日(1月31日)から,いよいよGlobal Game Jamがはじまりました!

東京工科大学会場公式サイト
東京工科大学会場FB
Twitch
Youtube

Global Game Jam (GGJ)は毎年,1月のこの時期に開催される世界最大のゲームハッカソンです.
世界各地の会場にゲーム開発者が集まり,テーマに沿ったゲームを開発するイベントです.
東京工科大学は今年も会場の一つになっており,会場運営は今回で11年連続になります.
大学が会場という特性上,参加者の学生率の高さも一つの特徴かなと思いますが,本学の学生だけでなく,他大学・専門学校の方,業界のプロフェッショナルの方など,多くの方々にご参加いただいています.
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それぞれ経験も専門も立場も異なる参加者が,当日組まれたチームに分かれて3日間に渡ってゲームを作り上げるこのイベントは,参加する学生にとっては,多くのことを吸収できるイベントです.
今はプロとして業界で活躍する卒業生達が,このイベントで再び大学に戻ってきてくれて,後輩達と交流してくれるのもとても嬉しいですね!
(本学のOBである私が学生のときにはこんなイベントなかった・・・.今の学生が羨ましくてしかたない!)
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また,このイベントの運営も多くの学生スタッフに支えられています.
会場設営や参加者対応,そして配信など,一丸となって頑張ってくれています.
会場の様子や発表会などはYoutubeTwitchで配信していますので,こちらもご覧ください.
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そして,今年も多くの企業から応援・協賛いただいています.ありがとうございます!
私も着任以来それなりの数のイベントに関わらせていただいていますが,GGJの時の補給物資コーナーの充実っぷりは毎回びっくりします.
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GGJは日曜日まで続きます.続報と出来上がるゲームにご期待ください!
(文責:兼松祥央)

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