セブ島日誌7
2020年2月26日 (水) 投稿者: メディア技術コース
2019.10.26 15:20
文責:榎本
さて,我々の発表の内容を紹介しておきますね.
タイトルは,
An Investigation of Prosodic Features Related to Next Speaker Selection in Spontaneous Japanese Conversation (自発的な日本語会話における次話者選択に関与する韻律的特徴の分析)
著者はYuichi Ishimoto, Takehiro Teraoka & Mika Enomoto です.
仲良し3人の会話において,話し手が次々と変わるわけですが(これを「話者交替」と言います),どういう位置で変わればよいのか,相手の発話の韻律的特徴(声の高さや発話速度や声の大きさの変化)が手がかりになっているのかどうかを分析するというものです.
発話の終了を予測するための手がかりとして,
1. 韻律的情報(話し手の声の高さ・大きさ・長さなど)
2. 統語的情報(助詞・終助詞などの品詞の出現)
があります.
これらが話者交替のタイプごとに見た時にどう変わるかを分析しています.話者交替のタイプには以下の4つがあります.
話者交替タイプ |
|
次話者選択(selecting) |
•次の話し手が誰かを指名する発話(呼びかけ,視線などで) •話し手に指名された聞き手が次の話し手になる |
次話者非選択(non-selecting) |
•次の話し手が誰かを特定しない発話 •真っ先に話しだした聞き手が次の話し手になる |
複合単位(multi-unit) |
•複雑な構造を持つ話の中ほどにある発話(3つの問題があります.1つ目は・・・」など) •韻律や統語の切れ目であっても,同一話者が話し続ける |
中断(abort) |
•発話が完成せず途中で中断された発話 |
色々と細かい結果はあるのですが,ひとつだけ代表的な結果を挙げると以下になります.
縦軸は声の高さ(上に行くほど高い),横軸は発話内お音節数(4つの音節から構成される発話中の1番めの音節,2番めの音節,3番めの音節,4番目の音節)を表します.
【最終音節(第4音節)にむかって声が低くなっていく】ということが読み取れます.もちろん最終音節には,統語的な終端記号である助動詞・終助詞も現れます.
結論として,これらの韻律的情報・統語的情報を用いて聞き手は,話し手がいつ話し終わるのかを予測できると言えます.
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