隠岐での学会発表 (1)
2020年2月27日 (木) 投稿者: メディア技術コース
メディア学部の渡辺です。
1月23,24日に、島根県の隠岐にて情報処理学会デジタルコンテンツクリエーション研究会が開催され、私の指導している大学院生である栗原君と青木さんが発表を行いました。この研究会は年に4回実施されるのですが、毎年1月は離島で行われる慣習があります。この時期はいつも多忙でなかなか参加することができなかったのですが、今年はなんとか予定をやりくりして参加することができました。
隠岐自体の紹介は次の機会に行うこととして、今回は発表内容について紹介したいと思います。
まず、修士2年の青木明優花さんが発表した、イラスト画の影付けを自動的に行う理論を紹介します。イラスト画の影付けは、イラスト画にメリハリや立体感を出すための重要な技術の一つです。具体的な影付けについての解説は「イラスト・マンガ描き方ナビ」などを参照して下さい。
最近は、3Dモデルをアニメ的にレンダリングする手法もかなり高度になってきていますが、イラスト画の影付けは独特の法則性があり、3Dレンダリングを基本とする理論では実現が困難です。青木さんは有理Bezier曲線という曲線式を用いた新たな理論により、任意の光源に対応したイラスト画の影のレンダリング手法を提案しています。
イラスト画調の影付けの様子
次に、修士2年の栗原一浩君が発表した、落ち物パズルゲーム自動生成に関する研究を紹介します。ゲームの中には自動生成技術がよく用いられています。例えば、マップやダンジョンが実行のたびに新たに作られるものや、クエストの登場人物やシナリオをある程度ランダムに生成するものなどがあります。しかし、「ゲームルール」の自動生成となるとまだまだ研究の段階です。
ゲームでの自動生成というのは、なんでもランダムに作成すればいいというものではありません。例えばダンジョンの自動生成を考えると、必ずゴールできるマップである必要があります。ゲームルールの場合はさらにその点がシビアになってきます。
栗原君は「落ち物パズルゲーム」のゲームルールを言語として記述できるよう体系化し、既定した言語の範疇であれば必ず落ち物ゲームとして成立するようにしました。さらに、そのルールを入力すると自動的にゲームが起動し実行されるシステムを開発しました。これにより、新たなルールを持つ落ち物パズルゲームを事実上無限に生成することを可能としました。
自動生成した落ち物パズルゲーム
どちらの研究も参加者から強く興味を持ってもらえたようで、活発な質疑応答が行われました。
(メディア学部准教授 渡辺大地)
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