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仮面ライダーは世界をどんなふうに見ているか(学生奨励賞受賞)

2020年3月15日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

 大学院メディアサイエンス専攻修士1年の佐藤葵くんが、情報処理学会第82回全国大会で学生奨励賞を受賞しました。昨日紹介した白崎くんとともに、同じ研究室からダブル受賞です。
 
 佐藤葵, 戀津魁, 柿本正憲, 複眼構造に基づく昆虫の視覚推定, 情報処理学会第82回全国大会, 学生セッション, 6P-08, 2020年3月7日
 
 メディアサイエンス専攻としては一風変わった研究です。佐藤くんは虫が大好きで、何か昆虫に関するテーマを研究したいという希望がありました。議論の末、私が専門としているCG、特に特殊な条件の視覚での見え方の研究をやってみようということで取り組みました。
 
 昆虫の眼で世界がどんな風に見えているかを理論立てて考え、実際に画像として提示する研究です。昆虫は、多数の小さな個眼が敷き詰められた、複眼と呼ばれる眼で世界を見ています。しばしば、たくさんの小さな像が敷き詰められたような見え方として説明されることが多いのですが、実はこれは完全な間違いです。
 
 個眼一つで像を結ぶわけではありません。個眼一つからは視神経が一本しか出ていません。つまり個眼は一画素の色しか取り込めないのです。その事実に基づき、さらに個眼の視野角を考えることで、面白い現象がわかりました。
 
 それは、昆虫は、粗い画像ながらも遠くはぼんやりと、近くはより鮮明に見えているということです。特殊なカメラ(Intel Realsense)を用いて、各画素の距離データも得られる実験用画像を用意しました。この画像を入力データとし、今回考案した手法で処理をした結果が以下の画像です。
 

Sato2020ipsj_in  Sato2020ipsj_depth_20200314104101  Sato2020ipsj_out 
左から元画像、距離画像(明るいほど近い)、昆虫の見え方の推定画像

 
 花が近づくにつれてより鮮明に見えることがわかります。今後は、精密な昆虫の複眼の構造を反映させ、より正確な見え方を示すことを目指します。
 
メディア学部 柿本正憲

 

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