ECHO:社会人のふるまい(卒業生の皆さんへ)(4)
2020年3月19日 (木) 投稿者: メディア技術コース
メディア学部第18期卒業生の皆さん、メディアサイエンス専攻修了生の皆さん、本日はご卒業おめでとうございます。
「ECHO:社会人のふるまい」最終回4日目の概念はオーナーシップ(Ownership)です。近い日本語を挙げるとしたら「当事者意識」でしょうが、「当事者」には、意に添わず巻き込まれてしまった、というニュアンスが漂います。オーナーは「持ち主」という意味です。「自分ごと(として考える意識)」という表現の方が明確かもしれません。
仕事を遂行する際にオーナーシップを持っているかは、その人の能力を発揮できるかどうかに大きな影響を与えます。ここでいう「仕事」は職業とか会社といった全般的なことを指すのではなく、個別かつ具体的な個々の業務を指します。もちろん、仕事全体はすべて個々の業務で構成されるという前提です。
新卒のうちは明確な具体的業務が与えられることが多いです。与えられた業務は自分のものだという気持ちを持っていれば全力で取り組むことにつながります。基本的にはそれでよいのですが、注意すべきは、範囲が能力を超えている場合です。何らかの理由で過重な量または質の業務が与えられ、自分だけで何とかしようとすると結果的に期限が来てもできないという結果になります。最悪の場合心身を病んでしまうことすら起こり得ます。早めにエスカレーションをし(bad news firstです)、論理だてて説明して範囲変更してもらうことも必要です。
若手中堅となるにつれて、業務範囲は広く抽象的になり、他者との境界もあいまいになることが多くなります。部下もできてきます。すべての業務に100%のオーナーシップを発揮するのは難しいだけでなく、意図的に加減すべきときも出てきます。この辺は今回のお話の主題から離れるので省略します。
ここから先は人によっては異論があるかもしれませんし、職種業種によってはなじまないかもしれませんが、新人のうちからでも参考になる一つの考え方を示します。私自身は、多くの場合、個別業務の成果はある種の作品だと考えることでオーナーシップ発揮に努めているように感じています。
このブログ記事(私の業務です)のような記名の仕事だと、オーナーシップは当然強くなりますよね。そうじゃない業務、名前が出なくても、自分がやったことがほとんどの人にはわからない個々の瑣末な業務でも、署名付の作品のように思ってやってみてはどうでしょうか。自然とオーナーシップが反映された、心のこもった仕事になります。
私が若手のころ、個々の業務で少し手を抜くと、上司から「心がこもっていない」とすぐに見抜かれました。逆に言うと、細かい業務や目立たない業務でも、あなたがオーナーシップを持って取り組めば、近くの人は必ずだれか見てくれているはずです。これの日々の蓄積は大きな財産になります。
メディア学部 柿本正憲
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