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ECHO:社会人のふるまい(卒業生の皆さんへ)(1)

2020年3月16日 (月) 投稿者: メディア技術コース

 新型コロナウィルス感染防止のため、今年度の卒業式は中止となり、19日は卒業研究室ごとでの学位記の授与となりました。たいへん残念なことですがご理解ください。
 
 卒業生の皆さんの多くは社会人として仕事を始めることになります。今日から19日までの4日間、社会人の振る舞いとして知っておくとよいことがらを4つご紹介したいと思います。4つの頭文字をとってECHOとなります。
 
 私自身は、8年前に教員になるまでは30年間サラリーマンとして数社の民間企業で働きました。30代後半と40代の15年あまりは、外資系コンピューターメーカーのシリコングラフィックス社(今はもう消滅しています)の日本法人に勤務しました。システムエンジニア、プログラマー、プログラミング講師、顧客サポート、ソフト開発、マーケティングなどいろいろな仕事をしました。管理職も少しやりました。
 
 今回の4つのトピックは、そのときに折に触れて学んだ概念です。体系だったものではなく、日本語でぴったりの訳語もないので英単語のままそれぞれ紹介します。概念としては日本の会社でも普通に使われるし通用するものです。
 
 1回目の今日はエスカレーション(Escalation)です。エスカレーターと同じ意味で「上にあげること」です。会社組織の中では「問題点を上司に報告して共有する」という意味になります。一つ上の組織階層に問題を持ち上げることです。
 
 真面目に仕事に取り組む人が陥りやすいのは、問題が起きたときに自分で何とか解決しようとすることです。心がけはそれでよいし、安易に上司に相談ばかりすると「自分で考えろ」と言われてしまいます。しかしそれも程度問題です。若手のうちは早めに直属の上司に問題点を相談しましょう。若手のうちなら安易に相談しても大目に見てもらえます。
 
 特に、純粋に技術的な問題でなく人(同僚・社内外・顧客)が関係してくる問題は、早めのエスカレーションが必要です。あなたが何日も悩んでいることを上司なら即座に解決できるかもしれません。
 
 上司に相談した瞬間に、問題解決の責任者はあなたではなくその上司になります。上司もちゃんと対応しなければならないのです。
 
 エスカレーションという概念と合わせてbad news firstとよく言われました。悪い知らせほど早く上司に知らせろということです。良いことを早く知らせたい、悪い知らせをすると怒られてしまうのでは、と思うのは人情です。
 
 報告者を責める上司にはやがて悪い知らせは上がらなくなり、問題が未解決のまま放置されがちになります。優秀な上司は悪い報告をした部下をやみくもに叱るようなことはせず、むしろ歓迎するはずです。
 
 問題を報告すれば責任は自分ではなく上司に移行する、ぐらいの気持ちをもって積極的にエスカレーションをしましょう。もちろん、やりすぎ注意です。
 
メディア学部 柿本正憲

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