発表できなかった発表:好きな言葉でシンセサイザーの音を作る
2020年4月11日 (土) 投稿者: メディア技術コース
メディア学部の大淵です。
3月は学会のシーズンで、私の研究室でもいくつかの学会発表を予定していました。しかし、新型コロナウィルスの感染防止のため、ほとんどの学会が中止になってしまいました。学部4年生や修士2年生など、卒業までの研究の集大成を発表する予定だった人にとっては大変残念なことですが、こればっかりはどうしようもありません。ただ、どの学会も「予稿の提出をもって発表を行ったものとみなす」という方針を示してくれたので、彼らの発表実績は確かに記録されたことになりました。発表が行われ公知になったことですから、このブログでもぜひ紹介させていただこうと思います。
最初の発表は、学部4年生の木下さんの「感性表現に基づくシンセサイザー用音源選択」で、3月13日の「映像表現・芸術科学フォーラム」で発表予定でした。自由な言葉で音源を探し、シンセサイザーで使いたいというのは、私の研究室で以前から取り組んでいるテーマで、このブログでも成果を紹介したことがあります。今回の木下さんの研究の特徴は、このテーマにSD法という方法を持ち込み、いくつかの形容詞対で言葉の意味を数値化するようにしたところにあります。SD法というのはSemantic Differential法の略で、「明るいー暗い」「派手なー地味な」のように、反対の意味を持つ形容詞を並べて、どちらにどれぐらい近いかをアンケート方式で回答してもらうというものです。用意しておいた音源に対し、あらかじめこのようなアンケートを行い、数値化を行います。ただし、ユーザーがクエリ単語を入力するたびにアンケートを行っていたのでは大変なので、その部分にはアンケートを使わず、Word2VecというAIツールを用いたことが、もう一つの特徴です。
残念ながら、学会会場でデモを見てもらうことはできませんでしたが、とても面白いシステムなので、ぜひどこか別のところで紹介したいと思っています。
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