肉眼でもボケの見える装置がInteraction2020でインタラクティブ発表賞を受賞
2020年4月 7日 (火) 投稿者: メディア技術コース
情報処理学会のシンポジウムの一つであるインタラクション2020において,本研究室修士2年生の小野龍一君がインタラクティブ発表賞(PC推薦)ならびにインタラクティブ発表賞(一般投票)の2部門での受賞を果たしました.
インタラクションは20年以上の歴史を持つ情報処理学会の中でも大きなシンポジウムであり,今年は20件の登壇発表と223件のインタラクティブ発表(デモやポスター展示)がありました.
コンピュータの新しい操作方法について考えるデモを重視した学会ではありますが,新型コロナウイルスの影響でこの学会も急遽オンライン開催となり,インターネットを介しての参加や発表が行われることとなりました.
小野君の研究のタイトルは「振動モーターによる擬似的なボケの生成と被写界深度変化への応用」というもので,肉眼において,マクロレンズや望遠レンズで撮影したように,被写界深度の浅いいわゆるボケのある映像を見ることができるというシステムです.
振動モーターを用いて,物体を細かく振動させることでブレて輪郭がはっきりしなくなります.この効果を平面上の特定の場にある物体のみに適用することで,レンズのピントがあっていないいわゆるボケのような状態をカメラなどを使わない肉眼でも再現することができるシステムです.
今回のデモでは小さなジオラマを準備し,その一部をボケさせることで肉眼であってもマクロレンズを使って撮影したような一部のみにピントのあった像を見ることができるシステムを構築しました.
図の(a)は人間の目で直接見た場合のジオラマの様子ですが,振動をコントロールすることによって(B) のように真ん中のカウボーイのいる部分以外はボケてみえるようになります.この効果を写真で撮影したときだけではなく,レンズを通さない肉眼でもはっきりと感じることができるのがこの装置の面白いところになります.
レンズを通さずにレンズのような効果が体験できることが最大の売りである本システムを,カメラを通じてのプレゼンテーションで魅をを伝えることになってしまったのですが,事前の準備を充分にやった成果もあり,二つの賞に選ばれることになりました.
223件のインタラクティブ発表は3日にわけて発表がおこなわれ,毎日70件ほどの発表が行われます.
一般投票賞はこれを見た参加者の投票よよって決められる賞で,もっとも人気のある楽しかった研究といった意味合いがあるかと思います.
こちらは例年1日あたり3件程度が目安となっています.
また,PC推薦というのはプログラム委員のメンバーがあらかじめ選択した研究の発をを見た中で賞を決定するものです.
見た目の楽しさだけではなく研究内容も問われるもので三日間すべての223件の発表の中から,7件が選ばれました.
今後はさらに発展させることで,より細かな制御やボケ映像の定量化などをやっていきたいと思っています.
コロナウイルスの落ち着いたころ,オープンキャンパスでは展示をしたいと思いますのでその時はぜひ見にきてください.
(羽田久一)
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